仮想通貨には最も有名なビットコイン(Bitcoin/BTC)を筆頭に、それとよく似た新たな通貨が誕生しました。それがビットコインキャッシュ(BitcoinCash/BCH)とライトコイン(Litecoin/LTC)で、どの通貨も支払い手段として開発が進められていることから、「決済型通貨」と呼ばれます。
今回は、上記3つの仮想通貨の性能を比較しながら、決済手段に最適な通貨を選んでみました。決済型通貨の優劣を知ることで、将来的な通貨価値の行方を判断する材料にもなるでしょう。
目次
BTC,BCH,LTC三つの通貨の機能性を比べてみる。
ビットコイン(Bitcoin/BTC)とビットコインキャッシュ(BitcoinCash/BCH)、ライトコイン(Litecoin/LTC)の機能性を比べてみましょう。
各通貨の機能性は以下の項目で比較しています。
- ブロックサイズ
- ブロック生成速度
- マイニングの難易度調整
- リプレイアタック
- フォークのしにくさ
それでは、まず以下の表をご覧ください。
BTC | BCH | LTC | |
---|---|---|---|
ブロックサイズ | 1MB | 可変 (現状最大32MBまで) |
1MB |
ブロック生成速度 | 10分 | 10分 | 2.5分 |
マイニング難易度調整 | 二週間 | 10分 | 2016ブロックごと=約一週間 |
フォークのしにくさ | フォークしにくい | フォークしにくい | フォークしやすい |
ここからはブロックサイズやブロック生成速度など、それぞれの項目について詳しく解説していきます。
BTC,BCH,LTCのブロックサイズを比べてみる
ビットコインやライトコインのブロックサイズは1MBで固定されています。
一方、ビットコインキャッシュは可変ブロック式で、送金量に応じて最大32MBまでサイズを拡張可能です(ビットコインキャッシュの基本ブロックサイズは8MBに設定)。
基本的にブロックサイズが大きいと、それだけ中に入るデータの数も増えます。
1MBの容量では約4,000件ほどのデータを格納できますが、普段から送金(取引)量の多いビットコインは度重なる送金トラブルを起こしました。
ビットコインの送金量が増えると、1ブロック4,000件程度の容量では足りず、ブロックからあふれた取引はリアルタイムに処理ができません。
つまり、送金遅延が発生してしまうのです。
そこで、送金トラブルを解消するために、ビットコインはSegwit(セグウィット)を導入しました。
このSegwit導入によって、理論上ビットコインのブロックサイズは4MBまで拡張されたことになります。
しかし、実際にはブロックの拡張サイズは1.7MB程度で、最大32MBまで拡張できるビットコインキャッシュには遠く及びません。
ブロックサイズを比べるとビットコインキャッシュがビットコインとライトコインを圧倒します。
BTC,BCH,LTCのブロック生成速度を比べてみる
ビットコインとビットコインキャッシュは10分、ライトコインは2.5分となります。
決済や送金を行うときは、ブロック生成スピードが速いほど性能が高いです。
なぜなら、決済や送金時のデータ反映までの待ち時間が少なくなるからです。
ライトコインはわずか2,5分という短時間でブロック生成を完了します。
そのため、取引所で通貨同士を交換したり、店舗で支払い手段として利用する時は、待ち時間の少ないライトコインが適していると言えるでしょう。
しかし、店舗で商品を購入するときは、ゼロタイム決済というシステムを導入していることが多いです。
ゼロタイム決済はビットコインやビットコインキャッシュでも利用できます。
つまり、ブロック生成スピードの速いライトコインが確実に優位というわけではありません。
BTC,BCH,LTCのマイニング難易度調整頻度を比べてみる
ディフィカルティーとも呼ばれ、ビットコインは2週間に1度、ライトコインは約1週間ごと、ビットコインキャッシュは10分ごとに行われます。
マイニング難易度が下がるほど計算作業は簡単になりますが、基本的に各ブロック生成時間に合うように調整が行われるのです。
たとえば、ビットコインのブロック生成時間は10分なので、過去2週間の平均作業時間が10分より短ければ難易度を上げ、逆に10分より長ければ難易度を下げます。
基本的にマイニング調整頻度が高いほどブロック生成時間のムラが少なくなります。
ブロック生成時間のムラが抑えられると、送金に長時間かかる遅延問題も発生しにくくなるでしょう。
つまり、ビットコインキャッシュは調整時間が最も短く(10分ごと)、それだけ遅延問題に対処しやすい通貨と言えます。
BTC,BCH,LTCのセキュリティを比べてみる
ビットコイン、ビットコインキャッシュ、ライトコイン、どの仮想通貨もセキュリティに大きな違いはありません。
上記3つの通貨は、ブロックを生成するときに複雑な計算式を解き、送金情報や取引内容の整合性をチェックしています。
この方法を「PoW(プルーフオブワーク)」といいますが、各通貨は全てPoWの方式を採用しているため、セキュリティに大きな違いが生まれないということです。
しかし、仮想通貨の分裂(フォーク)が起こってしまうと、セキュリティに穴が生まれやすいと言えます。
フォークが起きる理由は、ブロック生成時の計算作業を行う途中で複数の人が同時に解を出したとき、ブロックチェーンの分岐という現象が起こります。
そのため、短時間で何度もブロックを生成する通貨ほどフォークが起きやすいのです。
たとえば、Aというバス停から2台のバスが同時に出発したとします。
そこからZという遠く離れたバス停まで行くには複数の停留所にとまったり、途中の信号や渋滞の可能性もあり、2台のバスがZにつく時間は大きくずれるはずです。一方、Aというバス停から隣のBというバス停まで行くには、信号もなく、2台のバスはほぼ同時刻に到着します。
この状況はブロックチェーンでいうと、短い計算作業の途中で同時に解を出した時と同じです。
ライトコインは2分半という短い時間でブロックを作成できるため、それだけ通貨分裂の可能性が高まります。
フォークが起きるとブロックチェーンは2つの列に分岐し、続けてブロックの生成が行われます。
しかし、ある程度チェーンが長くなると、一方の短いチェーンを削除し、もう一方の長いチェーンが採用されるのです。
つまり、フォークの起こりやすいライトコインは、いずれ削除されるチェーンで無駄な計算作業が発生する確率が高いと言えるでしょう。
余分な作業が生まれてしまうと、それだけ計算作業(セキュリティ)のコストが高まります。
つまり、セキュリティの観点からは、フォークが起こりにくい方が安全性が高く、ライトコインよりもビットコインやビットコインキャッシュの方がセキュリティ耐性が強いと言えるでしょう。
BTC,BCH,LTCの中で一番決済手段として優れている通貨はどれか
ビットコインやビットコインキャッシュ、ライトコインは全て「決済目的」で開発されました。
つまり、店舗で商品を買うときの支払い手段として活用できるのです。
では、決済手段として最も優れる仮想通貨は一体どれなのでしょうか。
ここでは以下の順位で各通貨の優劣を付けています(あくまで今回の判断基準で順位付けしました)。
- ビットコインキャッシュ
- ライトコイン
- ビットコイン
ビットコインキャッシュが決済手段として優れている理由は以下の4点です。
- ブロックサイズはBCHが一番であるから送金詰まりの可能性が低いこと
- ブロック生成スピードはライトコインの方が早いがゼロタイム決済があるためBCHも早く決済が可能
- セキュリティ面でもビットコインキャッシュがライトコインよりも優れている。
- 難易度調整はビットコインキャッシュが一番頻繁に行われる。
ビットコインキャッシュは、ブロックサイズの大きさ、そしてマイニング難易度調整頻度も高く、ビットコインやライトコインを大きく突き放しています。
ブロックサイズが最大32MBと大きく、なおかつ難易度調整が10分ごとに行われるため、送金遅延問題に対処しやすく、安定して資金を移動できるのです。
また、ブロック生成時間が10分ということもあり、ライトコインよりもフォークが起きにくい性質を持ちます。
ブロックチェーンの分岐も発生しにくいため、ライトコインよりもセキュリティ面で優れています。
ただ、ライトコインは2分半でブロックを生成する性能が特徴で、スピード感のある送金が可能です。
一方のビットコインキャッシュのブロック生成時間は10分と遅いですが、ゼロタイム決済を利用することで、店舗での決済は瞬時に完了します。
このように、上記4つの理由からビットコインキャッシュが決済手段として最も優れていることが分かります。
決済型通貨まとめ
今回は、決済通貨として開発された3つの仮想通貨を紹介してきました。
基軸通貨のポジションを確立したビットコイン、ハードフォークによってブロックサイズが拡張されたビットコインキャッシュ、決済処理スピードに優れるライトコインです。
そして、それぞれの比較を行うために以下の4つの指標を用いました。
- ブロックサイズ
- ブロック生成速度
- マイニングの難易度調整
- フォークのしにくさ
各通貨にはそれぞれ優れた特徴がありましたが、その中でもひときわ決済手段として適応しやすいのがビットコインキャッシュです。
送金遅延問題が発生しにくく、セキュリティ耐性も高いので、もしかしたら将来の決済通貨にはビットコインキャッシュが採用されているかもしれません。
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