POW、POS、POIコンセンサスアルゴリズムまとめ



コンセンサスアルゴリズムという名前は仮想通貨をしている方はよく耳にするのではないでしょうか。
コンセンサスは「合意、承認」という意味があり、コンセンサスアルゴリズムは「合意や承認を行うための仕組み」を表します。

そして、ブロックチェーンの各取引を計算処理(承認)して整合性を確かめることをマイニングと呼び、そのマイニングにコンセンサスアルゴリズムが用いられています。
コンセンサスアルゴリズムは大きく分けて「POW」、「POS」、「POI」という方法があり、それぞれメリット・デメリットが存在するのです。

POWやPOSなどの仕組みによっては、今後の通貨価値にも強い影響を与えるため、各銘柄の将来性を考える上で欠かせないのです。

それでは、ここからはコンセンサスアルゴリズムの種類ごとの特徴や仕組み、該当する仮想通貨などを解説していきましょう。

POWとは

仮想通貨のコンセンサスアルゴリズムとして初めて登場したのが「POW(プルーフ・オブ・ワーク)」という仕組みです。
POWはBitcoin(ビットコイン)にも使われており、コンセンサスアルゴリズムの始祖とも言えるでしょう。

ビットコインが発行されたのが2009年ですので、このPOWというコンセンサスアルゴリズムはおよそ10年ほどの歴史があることになります。

ここからはPOWとはどんなものか、他のアルゴリズムよりも優れている点や劣っている点について解説していきましょう。

POW仕組みとは

POW(プルーフ・オブ・ワーク)
仕事量に応じて承認権が得られるコンセンサスアルゴリズムです。
仕事量というのは取引が正しいことを確かめる計算処理により発生します。計算処理で正しい答えを見つけた人が報酬を受け取ることができる仕組みです。

仕事量は、取引に対する整合性を確認するための膨大な計算処理によって発生します。
作業は全てコンピュータによって自動処理する仕組みのため、高速処理が可能なマシンパワーが求められます。

POWのマイニングを行う方は世界中に存在する有志。
個人でも団体でも自由に参加することができ、速く計算の解を出した人ほど多くの報酬が受け取れる仕組みです。

POWがあえて計算によって承認権を与えようとする理由は、データの改ざんや不正を働こうとする方にとっても膨大な作業が必要なため、これが抑止力となって高いセキュリティ耐性を保つことができるからです。

POWの強みと弱み

POWの強みはセキュリティの高いことで、安心して送金が可能な点です。
悪意のある人は過去のブロックチェーンに遡り、データを改ざんすることで不正を働くことができますが、POWの場合、1つのデータを変えようとするだけでも過去全ての記録の整合性を確かめなければなりません。

これでは労力の他に、コンピュータを動かしておく電気代も高くつき、「得られるもの<失うもの」が成立するため、実質的に不正は不可能と言われています。

ただし、仮に全ての承認権の過半数を占めることがあった場合、データの改ざんは容易になってしまいます。
これを「51%攻撃」と言い、POWの弱みと考えられています。

もし電気代の安い中国などで超大規模なマイニング業者が生まれた場合、この51%攻撃も現実味を帯びるようになるため、POW通貨を扱う上で大きな注意点になり得るでしょう。

POWを用いている通貨一覧
  • Bitcoin(ビットコイン、BTC)
  • Bitcoin Cash(ビットコインキャッシュ、BCH)
  • Ethereum Classic(イーサリアムクラシック、ETC)
  • Monero(モネロ、XMR)
  • Litecoin(ライトコイン、LTC)
  • DASH(ダッシュ、DASH)
  • Zcash(ジーキャッシュ、ZEC)
  • MONA(モナコイン、MONA)

POSとは


POWの次に生まれたコンセンサスアルゴリズムがPOS(プルーフ・オブ・ステイク)です。
POWほど多くの仮想通貨に導入されているわけではありませんが、今までのコンセンサスアルゴリズムの弱みを克服する仕組みとして開発されました。

POSの代表的な仮想通貨と言われるのは、Bitcoinに次ぐ人気を誇るEthereum(イーサリアム)。
EthereumはPOWのコンセンサスアルゴリズムを採用していましたが、今後のハードフォークによってPOSへ移行する予定です。

では、POSとはどんな仕組みなのか、POWとはどのように違うのか、それぞれ詳しく解説していきましょう。

POSの仕組みとは

POS(プルーフ・オブ・ステイク)
「その仮想通貨を保有している量に応じて承認権が得られる仕組み」のことです。
POSの承認権は「保有量×保有年数」の数値が高い人に与えられます。

POWがマシンパワーに依存していたことと比べると、POSは全く異なる仕組みと言えるでしょう。

POWで行われる承認作業を「マイニング」と呼びましたが、POSの場合は「フォージング」という名称が一般的です。

仮に同一通貨で同じ保有量がある人が2人いたとしても承認権は異なります。
それは、POSでは、保有量とともに保有年数も重要になるからです。
POSの承認権は「保有量×保有年数」によって求められ、その数値が高いほど報酬として受け取れる通貨量も増えていきます。

POSの強みと弱み

POSにもPOWと同じように51%攻撃という危険性があるものの、POWよりも遥かにリスクは低いです。
POSの場合で51%攻撃を行おうとすると、その仮想通貨総発行量の過半数を保有している必要があり、これは金銭的に大変難しくなります。

たとえば、2018年6月27日付けのEthereum時価総額は約4.8兆円です。POSによって過半数を得ようとすると約2.4兆円もの資金が必要となるため、いかに51%攻撃が難しいかが分かります。

POSは寡占的事態に陥りにくいという強みを持ちますが、一方で通貨の保有そのものが目的化しかねないという弱みも兼ね備えています。
本来、通貨というものは市場に流通して価値をもたらしますが、資産保有が目的になってしまうと流動性を損ない通貨価値の下落に通じる危険性も持っているのです。

また、通貨を保有する人が増えることで価格の乱高下を避ける強みがあります。
長期的に見ても通貨価値が変動しにくく、決済通貨には欠かせない価値の安定性に繋がります。

しかし、通貨保有量の多い人ほど承認権が得やすいため、富める者は富み、貧しい者は貧しいまま、つまり貧富の差が拡大しやすい弱みも指摘できるでしょう。

POSが生まれた経緯

POSが開発されたのは、POWの脆弱性を指摘する声が大きかったことに原因がありました。
POWを動かすために欠かせないのは電気です。
しかし、仮想通貨市場が10兆円以上と規模が拡大するに伴って、マイニングに要する電気も膨大になってしまいます。
すると世界中のエネルギーが大量消費されることで環境面に甚大な被害が予想されるようになります。

また、POWには51%攻撃という非常に危険性の高い問題もはらんでいました。
世界中のマシンパワーの過半数さえ取れてしまえば、その通貨の承認権を全てコントロールできるため、一部の企業や団体が独占を狙って動き出す事態にも陥りかねません。

そこで開発されたのがPOSという仕組みで、電力を必要としないシステム、51%攻撃も極めて難しいというPOWの問題を解決する内容が高い評価を受けています。

POSを用いている通貨一覧
  • Ethereum(イーサリアム、ETH)
  • Factom(ファクトム、FCT)
  • Cardano(カルダノ、ADA)
  • Qtum(クアンタム、QTUM)

POIとは

コンセンサスアルゴリズムで3つ目に開発された仕組みが「POI(プルーフ・オブ・インポータンス)」です。

2018年6月時点でPOIを採用している仮想通貨はNEM(ネム)以外にはありません。POWは「マイニング」、POSは「フォージング」の呼称がありましたが、POIは独自に「ハーベスト」という呼び名があります。

ここでは、POIの仕組みや長短所、開発の背景について解説していきましょう。

POIの仕組みとは

POI(プルーフ・オブ・インポータンス)
通貨を保有する人の「重要度」に応じて承認権が変わる仕組みです。
POSの「通貨保有量」だけでなく、「通貨の取引数・取引量」により承認権を得ることができる仕組みです

この重要度を左右するのは、POSの「通貨保有量」と共に、POI独自の「通貨の取引数・取引量」。
つまり、「たくさん通貨を持っていて、他の人よりも多く送金したり売買した人」ほど承認権を得やすくなっています。

POIの強みと弱み

POIは、POSに見られた流動性の低下という弱みを解消し、仮想通貨の流動性を高める仕組みが大きな強みです。
取引数や量に応じて承認権が得られるため、通貨を保有するだけでなく積極的に送金したり交換する市場が生まれやすいと言えるでしょう。

通貨の流動性が高まることで保有量に応じた格差は縮まります。これはPOIの大きなメリットです。

ただし、NEMでは1万XEM(約20万円、2018年7月7日時点)以上を保有していない限り承認権が得られない仕組みとなっています。
そのためPOWやPOSに比べると参入障壁が高いという弱みも兼ね備えているのです。

現状ではNEMの保有量が多い人に市場を独占されてしまっている問題もあり、これからNEMに投資する方が承認権を得るのは難しくなっています。
そのため、格差の解消というメリットを完全に活かしきれていない、というのが現実です。

POIが生まれた経緯

POSはPOWの電気代や51%攻撃の脆弱性を解決するために生まれ、そしてPOIはPOSの流動性問題を解消するために開発されたコンセンサスアルゴリズムです。

承認権獲得のために通貨の取引数や取引量を条件に加えることで、POSの強みを残したまま、さらに強力なコンセンサスアルゴリズムという特徴を備えました。

POIを用いている通貨一覧
  • NEM(ネム、XEM)

三つのコンセンサスアルゴリズムを表でまとめてみた

最後に、上記で紹介したPOW、POS、POIのコンセンサスアルゴリズムを一覧にまとめました。
それぞれの特徴、強み、弱みを簡単に比較できるので、もう一度見返して完璧にマスターしてみましょう。

名前 内容 強み 弱み
POW 計算量に応じて承認権を得る仕組み セキュリティ体制の高さ 51%攻撃の脅威、膨大な電気代がかかる
POS 通貨保有量に応じて承認権を得る仕組み 51%攻撃、電力消費の問題解消 通貨流動性の低下=通貨価値の下落
POI 通貨保有量と取引によって承認権を得る仕組み 通貨流動性を持たせつつ、POWの弱みも解消 今のところNEMのみで参入障壁が高い

POW、POS、POIコンセンサスアルゴリズムまとめ

今回は基本的なコンセンサスアルゴリズムとしてPOW、POS、POIの仕組みや特徴を紹介してきました。

仮想通貨の取引承認システムとしてまずPOWが生まれ、POWの弱みを解消するためにPOS、そしてPOIという仕組みが誕生しました。
新しく開発されたアルゴリズムが必ずしも正しいというわけではなく、開発から約10年が経過するPOWにも、世界中誰もが参加できる最もオープンな環境というメリットがあります。

仮想通貨投資を始める際は、それぞれのコンセンサスアルゴリズムをしっかりと理解することが欠かせません。
今後このアルゴリズムに大きな変更が生じるにあたって、各銘柄の盛衰が決まってくるからです。

今回は基本となるコンセンサスアルゴリズムの3つを紹介しましたが、実は他にもPOCやDPOSなどの仕組みも存在します。
次回はその他のコンセンサスアルゴリズムについても紹介していきましょう。