インターネットを介して、業界を飛び越えての交流ができたり、はたまた世界の裏側の人とビジネスをすることができるこの時代。
このようなスタイルで仕事を単発で受注するスタイルは、「ギグエコノミー」と言われ、
Paypalの調査によると、このような働き方を選ぶ人は2020年までに労働者の5人に1人になると言われています。「PayPal」公式HP
俗にいう「フリーランス」と呼ばれる人や契約社員が増えることは、個人が最小単位で社会に価値を提供できる自由な時代が待ち受けているとも言えます。
そんな中、個人の熱狂を支える社会の形成には、何が大切になってくるのでしょうか。
世界を支配するGAFA(Goole,Apple.Facebook,Amazon)の脅威や非中央社会に焦点を当てて考察していきます。
目次
Paypalの調査で明らかになったギグエコノミーの実態
Paypalが顧客データから米国、日本、ドイツ、ロシア、ブラジル、南アフリカなどの国ではフリーランサーに対する支払いが急増していることが明らかになりました。
また、米国におけるフリーランサーの傾向を調査した
最新の LinkedInの調査によると、2020年までに米国の労働人口の43%がフリーランサーとしてキャリアを築くことが予測されています。
このようなフリーランサーの市場は熟すことが見込まれており、個人が価値を発信する社会が広まっていくことを示していると言えます。
フリーランサーが抱える課題とは
ますます拡大する見込みのあるフリーランス市場。
その中で、フリーランスが抱える課題は何があげられるでしょうか。
やはり一番大切なのは確実な収入源の確保です。
そのためにモバイル環境を整えたり、できるだけ仲介料を抑えられる送金手段を選択する必要があります。
Paypalなどの決済手段が広まっているが、仮想通貨も決済手段として機能することが大いに期待されています。
仮想通貨決済はPaypalより優れているのか
Paypalなどのデジタル決済が多く利用されている中で、同じく決済手段として比べられることが多いのが仮想通貨です。
その仮想通貨のPaypalに対する優越性は以下があります。
- 手数料が安い、ほぼ無料
- ウォレットの秘密鍵やマルチシグの強固なセキュリティ
- ブロックチェーンによる非改ざん性
- システムダウンがない
ですが、本当に仮想通貨はデジタル決済と同じステージで比べていいのでしょうか。
仮想通貨の本来の目的は決済サービスではない
仮想通貨は決済手段としてとても評価されますが、
本来の仮想通貨の目的を忘れている人が多いです。
では、その本来の目的とは何なのかを見ていきましょう。
仮想通貨決済はあたらしい経済をつくる
仮想通貨はそもそも世界通貨になって決済サービスを牽引することが目的なのではありません。
なぜなら、仮想通貨は特定の組織や国家に縛られない価値を個人が自由に創造する社会を実現するために誕生しました。
発行元が個人や特定のコミュニティである仮想通貨、ないし、トークンによって独自の経済圏を築くことが本来の目的なのです。
そして、その独自の経済圏こそ「トークンエコノミー」と呼ばれるものです。
トークンエコノミーは小規模なコミュニティの中で双方向に、仲介者や中央集権的な組織を介さずに、独自の価値を交換できる経済圏です。
そこでは個人が中央集権的な発信媒体や組織から解放されて、独自の価値を発揮できるのです。
では、このようなトークンエコノミーが形成される社会では何が必要となってくるのでしょうかを見ていきましょう。
GAFAの弱点を突く鍵は仮想通貨が握る
今テクノロジーの発達に依って巨大テック企業は、人々の個人情報をがっつり掴んで、それを囲みこんでいます。
例えば、GAFAがそれにあたります。
世界的に個人データを圧倒的な規模で集めている企業をいいます。
そしてその代表的な4社、Google、Amazon、Facebook、Appleの頭文字をとってGAFAと表されます。
では、このような中央集権社会をトークンエコノミーが成り立つ非中央集権社会へと変えるのに、これから重要視されることは何でしょう。
その答えを12月13日、東洋経済での株式会社SHOWROOM代表取締役、前田裕二氏の発言からヒントを得て、考えていきます。
GAFAになくてトークンエコノミーにあるものとは
前田裕二氏は、12月13日の東洋経済にて、支配的な力を持つGAFAには弱点があることを明言しました。
「GAFAには大きな隙・弱点があると思っています。端的に言うと、彼らは、”精神”を奪えない。これから、所得や時間を奪う時代から、”可処分精神”を奪い合う時代に入っていくという強い仮説を持っています。(中略)」「東洋経済」
ここで出てきた「可処分精神」とは、簡単にいうと、熱中するモノ・コトについて、つい考えてしまう状態の精神です。
例えば、授業中も仕事中も同じクラスや同僚である好きな人のことを考えてしまうコトなんかが当てはまります。
そして、それを考えてしまうのは好きな人が
小規模コミュニティの中の誰かに奪われてしまうかもしれないという危機感、
ともするとワクワク感があるからではないでしょうか。
もちろん通学、通勤途中の不特定多数もライバルになる可能性はありますが、見えるライバルの方がよりあなたの恋心を加速させるのでは?
GAFAのような少数のプレーヤーが権威を握る中央集権的でいて、守備範囲が広すぎるプラットフォームは「可処分精神」を奪うには適していないです。
厳密にいうと、インスタグラムやYouTubeは可処分精神を奪う脅威になる可能性はありますが、利用者一人一人の深いインサイトを獲得するという点は、まだ充分ではないと言えます。
可処分精神を獲得する例としてはオンラインサロンの流行があります。
そこではサロンの中心人物のマインドに共感した人たちが集まって、互いにリアクションをします。
そのことによって、そのコミュニティはさらに文化が濃くなり、可処分精神をグっと掴むでしょう。
このように今、社会は「集約から分散」に向かっていて、その原動力は「個人の熱狂」ということが言えます。
個人の熱狂、「可処分精神」が原動力になることによって、
独自の価値を形成するコミュニティはさらに勢いを増すでしょう。
これこそがトークンエコノミーに必要なものです。
そして、そのトークンエコノミーがさらに実生活で形成されるとどのような変化があるのかを見ていきます。
トークンエコノミーで今いままで見えなかったコトに価値がつく
トークンエコノミーが形成されることによって、中央集権社会では見向きもされなかったモノ、コトに価値がつきます。
例えば、仕事が手いっぱいになっている同僚を手伝ってあげた時に返ってきた小さな「ありがとう」にトークンという”しるし”をつけることによって価値が付与されます。
実際に株式会社じげんでは、社内仮想通貨として「GAT」が2008年より採用されています。
社員同士で助け合い、月に1回、お世話になった人に手書きのメッセージとともに1000GATを渡せる仕組みで、その「GAT」はAmazonポイントなどに変換して利用できます。
また、「VALU」のような個人が株式のようになって資金を集めるサービスもあります。
個人が自分のVAと呼ばれるトークンを発行して好きな価格で取引ができます。
さらにそのVAには個人が考えたインセンティブがつけられます。
VAを購入する人は、その個人の活動や熱意などから応援するかを決めて、その可能性に投資します。
そのVAがやりとりされる限定的なコミュニティは、
個人の熱狂によって支えられるトークンエコノミーと言えます。
トークンは個人や特定のコミュニティで価値が認められるものだからこそ、このような自由な使い方ができます。
ちなみに「ALIS」や「Nemlog」はブログサイト内で、
他人の投稿に対しての「いいね!」にトークンを付与することによってトークンエコノミーを形成しています。
GAFAに対抗するのはトークンエコノミーである
いままで述べてきたように、インターネット時代において検索や情報発信、買い物の履歴などの膨大なデータがGAFAに集約しています。
そして市場を圧巻するプラットフォームは公平な競争を阻害する懸念されています。
ですが、
PayPalの調査で明らかになったフリーランサーとして働く人が急増していることや
前田裕二氏によってGAFAの弱点が明らかになったように
社会は確実に個の時代へと変化しています。
このような流れに見られるように、個人が自由に価値を創造して、
独自の経済圏を築ける社会を支えるトークンエコノミーが今社会で求められています。
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