2018年頭より仮想通貨の価格は下落の傾向にあり、ビットコインの価格も2018年10月末時点で200万円から約70万円にまで下落しています。
個人の間でも賛否両論が議論されており、国際機関でも同様に今後の慎重な対応が求められています。
仮想通貨の技術は世界規模で普及していますが、価格暴落や犯罪に悪用されるリスクも懸念されていることから規制の動きもあります。
一方で、仮想通貨とブロックチェーンの技術は今後の将来を支えていく可能性が期待されており、積極的な導入を進める意見も多いです。
それぞれの国際機関はどのような対応を行っているのか。世界各国で報道されているニュースを元に、仮想通貨の将来性についても挙げていきます。
目次
各国際機関の仮想通貨への見解を読み解く
仮想通貨は特定の国家で管理されておらず、決済手段を導入している場所があればどんな場所でもお金として利用することが可能です。
反面、世界情勢次第でいくらでも価格が暴落するリスクがあり、利用者の資産を守るための制度も用意しなければいけません。
各国連機関で仮想通貨に対してどんな見解で挑んでいるのか、それぞれの立場から考察していきます。
国連の見解を読み解く
2018年6月、国連機関のUNOPSはIOTA財団との提携を発表して、UNOPSのブロックチェーン技術特別顧問の山本 芳幸氏によるQ&Aも公表されました。
IOTAはIoTの決済をより効率化させるための仮想通貨であり、世界的に広まりつつあるIoTが扱いやすくなります。
モノとインターネットが密接に繋がれば、データ収集とUNOPSの業務効率化に貢献とが期待されます。
2018年9月には国連のSDGsと呼ばれるプログラムの資産運用として仮想通貨やトークンが運用されることが発表されて、2030年までに世界的な貧困や不平等の世界的な改善を目指してながら、より大きな繁栄と平和のために活動しています。
持続的な目標達成のために設立されたSDGインパクトファンドの取り組みに仮想通貨とブロックチェーンが導入されれば、今後の発展にも期待できます。
同時期にはアフリカのシエラレオネにて、ブロックチェーンを基盤にした身分証明システムの構築を発表しました。
国連開発計画のUNDPとUNOPS、そしてNPOのKivaによる共同開発で実施されて、国民のデータを安価かつ安全に運用することが可能です。
発展途上国や難民の人たちの救済にも役立ち、銀行などの公的機関を利用するきっかけにもなり、2019年よりプロジェクトが実施されます。
国連は仮想通貨やブロックチェーンの積極的な導入に力を入れており、世界の貧困を改善する新しい手段として技術を高く評価しています。
世界銀行の見解を読み解く
世界銀行でも仮想通貨に関わるニュースが頻繁に報じられています。
2017年9月、ブロックチェーンの技術を応用して中央銀行が新しい通貨を発行しやすくなるUBSというプロジェクトに、また新しく三菱UFJなどの大手銀行が6件も加わりました。
仮想通貨の技術であるブロックチェーンを活かすことで、国際的な銀行同士の送金や取引記録の改ざん防止に役立ち、顧客の資産を守る効果にも期待されています。
ハッキングで不正送金も阻止できるので、銀行の信頼もより堅牢になります。
2018年8月には発展途上国への支援を目的にして、世界で初めてブロックチェーンの技術を用いた債券のbond-iを発行しました。
イーサリアムのブロックチェーンをベースにしており、世界の貧困を撲滅するために実施した債権です。債券の発行及び流通を更に効率化させるので、世界規模で注目を集めています。
1億1000万豪ドル(日本円にして約87億円)の調達に成功したプロジェクトであり、CBAやアメリカの金融企業であるNorthern Trustなどの大企業が融資しています。
世界銀行のJim Yong Kim総裁は仮想通貨とブロックチェーンの技術に大きな将来性を感じており、2018年10月にブロックチェーン技術の更なる進化と普及について言及しています。
世界銀行総裁がブロックチェーンの可能性を認めれば、ブロックチェーンをビジネスとして手掛ける企業にもチャンスが訪れます。貧困や腐敗と戦うための画期的な手段として、そしてブロックチェーンがペーパーレスや経費削減に役立つことをKim総裁は期待しています。
2020年までに金融サービスの発展も目指しており、世界銀行ではKim総裁自らが仮想通貨に対して好意的な姿勢で挑んでいます。
G20とFATFの見解を読み解く
FAFTとは『Financial Action Task Force』の略称であり、マネーロンダリングやテロの資金供給などの犯罪行為に向けた対策を行っている政府機関です。
2018年3月にアルゼンチンで開催されたG20では、仮想通貨に対して否定的な意見は少なく、イングランド銀行のMark Carney知事も仮想通貨によって現在の金融システムが破壊されるリスクは少ないという旨のコメントも残しています。
一方で同年7月に開催されたG20では仮想通貨に関する新しいルールの設定が予測されて、また日本の財務省でも仮想通貨のメリットとデメリットに対して言及されました。
仮想通貨は充分に評価されている一方、まだまだ犯罪に悪用されることを懸念する声も多いことが現状です。日本に限らず、世界各国でも同様です。
11月に開かれるG20の結果次第で、今後の仮想通貨の運用方法も変わっていくでしょう。
WTOの見解を読み解く
WTOとは世界貿易機関のことであり、自由貿易の促進を目的にして作られた国際機関です。
WTOも仮想通貨に対する高い関心を持っており、ワールド・トレード・レポートの中にビットコインやイーサリアム、そしてリップルなどの仮想通貨について言及していました。
ビットコインやイーサリアムは取引の処理速度がまだ不充分である課題を抱えつつも、ブロックチェーンによって大きな利益が得られることも期待されています。また、リップルの圧倒的な送金速度について、両替の時間と費用の効率化となることを評価しています。
仮想通貨が世界の貿易に与える影響は計り知れず、従来のシステムを一変させてしまうほどのポテンシャルを秘めていることをレポート内で発表しました。
IMFの見解を読み解く
IMFは国際通貨基金の略称であり、為替市場を安定させるための機関です。
2018年3月にIMFのクリスティーヌ・ラガルド氏がIMFBlogに仮想通貨とブロックチェーンに関する意見を発表しました。
ブログの中には仮想通貨に対するリスクも書かれており、マネーロンダリングなどの犯罪に悪用される危険性を述べました。一方、テクノロジーの問題にはテクノロジーで立ち向かうことも強調しており、今後の将来性にも期待しています。
2018年6月にはIMFの金融市場局・副局長は仮想通貨との競争に勝つため、法定通貨の質を向上させて提供する必要があることを述べました。
仮想通貨に参入する企業が増えており、注目する世界機関も続々と登場しています。その一方、現在世界で出回っている円やドルなどの法定通貨も向上が求められます。
法定通貨の信頼と仮想通貨の技術は、同時に向上させることも考えられています。
また、2018年9月にはマーシャル諸島が法廷通貨として利用するために仮想通貨を導入を試みましたが、IMFによって止められました(BBC.com)。
マーシャル諸島は海外送金にコルレス銀行を経由しなければならず、依存からの脱却のために仮想通貨の利用を検討しています。一方でIMFは充分なリスク対策をしなければコルレス銀行との関係が打ち切られる恐れがあり、経済で大きな打撃を与えると警告しました。
IMFは仮想通貨とブロックチェーンのシステムは評価しているものの、2018年時点では大きく警戒していることも事実です。
ユニセフ(UNICEF)の見解を読み解く
ユニセフも募金の効率化を図る目的で、仮想通貨による募金も受けるようになりました。
2018年2月には、仮想通貨のマイニングによってシリアの難民を救うGAME CHAINGERS unicefというプロジェクトを開始しました。
PCでマイニングした仮想通貨を寄付するため、マイニングを行ったことがない人にも専用のソフトを提供します。
2018年5月にはThe Hopepageと呼ばれるサイトを開設し、HPを開くだけでマイニングを行うことが可能です。
マイニングによって得た仮想通貨は子どもたちのために水や食料、病気を治す薬の費用として使われます。
参加も非常に簡単で、サイト中央の『START DONATING』というボタンをクリックすればマイニングが始まります。
誰でも気軽に参加できる新しい募金方法として注目を浴びています。
そして2018年9月にはビットコインやイーサリアムなど、9種類の仮想通貨による募金を受け付けました。
仮想通貨は海外送金にかかる手数料や時間を大幅に削減可能で、新しい送金手段としても期待されています。ビットコインやイーサリアムなどの人気が高い仮想通貨で送金できれば、仮想通貨の普及と共に募金額も増えるでしょう。
ユニセフも仮想通貨の技術には大いに評価しており、今後の導入が期待されます。仮想通貨が募金の手段として普及すれば、ユニセフと仮想通貨のイメージアップにも役立ちます。
各機関の仮想通貨への見解をまとめる
仮想通貨が登場してから10年もの時間が経ち、世界各国で1000種類を越える仮想通貨も開発されています。
国際機関も仮想通貨を評価されて、実際に業務で利用する機会も増えています。一方で、仮想通貨の技術に対してネガティブな意見も多いです。
それぞれの意見について把握してみましょう。
仮想通貨にポジティブな機関の意見とは?
仮想通貨に対して好意的な機関は多く、特に国連や世界銀行は実際にブロックチェーンを利用しています。
ブロックチェーンに保管したデータは改ざんが困難となり、仮想通貨を利用した取引を成立させるには承認が必要です。不正な改ざんや送金を防ぐので、貧困や腐敗の改善に大きく期待されています。
仮想通貨の送金は手数料の節約に役立ち、世界銀行のKim総裁も仮想通貨とブロックチェーンの技術には大きな将来性を抱いています。今後、ブロックチェーンを利用したシステムも増えていくでしょう。
仮想通貨にネガティブな機関の意見とは?
仮想通貨にポジティブな機関が多い一方、IMFは仮想通貨が犯罪に悪用されるリスクを警戒しています。
また、仮想通貨は世界情勢やG20の議論結果次第で暴落する可能性も潜んでいて、顧客の資産を守るには法整備や厳重なリスク管理が必要です。
ブロックチェーンの技術自体は評価しており、悪用を防ぐためには密接な国際協力が必要であることも述べています。
マーシャル諸島の仮想通貨導入を止めた事例から、仮想通貨の運用にはリスク対策が必要であることがIMFは述べています。
各機関からの見解からみる仮想通貨の将来性を考察する
IMFを除く各機関は仮想通貨の技術を積極的な導入を目指しており、またIMF自体もリスク対策が確実になれば本格的な導入に踏み込みます。
ビットコインやイーサリアムが世界的な規模で支持を得ており、時点でリップルの決済速度が注目を浴びています。仮想通貨のブロックチェーンを利用すれば送金履歴が確実に残るので、今後の不正撲滅にも役立ちます。
仮想通貨は単なる金融商品ではなく、世界で起こる問題を解決する手段としても期待されています。今後のリスク管理や法整備が整い、また実際に仮想通貨とブロックチェーンによる成果を出し続ければ、世界でより大きく普及するでしょう。
世界機関の仮想通貨の見解のまとめ
仮想通貨は価格の暴落や犯罪に悪用されるというリスクが懸念されていますが、技術自体は高く評価する機関が多く、国連や世界銀行などが積極的な導入を目指しています。
仮想通貨とブロックチェーンの技術は貧困で悩む人達を救う手段にもなり、身分を持てない人に新しいIDを提供することも可能です。
また、仮想通貨はウォレットさえあれば誰でも利用することが可能であり、海外からの募金も用意になります。加えて、両替するために必要な時間と手数料も節約することも可能です。
今後、仮想通貨の話題は世界的な規模で増えていくことが期待されており、世界機関も導入と技術向上を目指しています。仮想通貨とブロックチェーンによって、世の中は更に良くなっていくでしょう。
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