仮想通貨は数多く存在し、この文章を読んでいる今でさえ開発が進んでいるものが数多くあります。
仮想通貨の代名詞的な存在であるビットコイン(Bitcoin/BTC)を筆頭に、即時送金ができるリップル(Ripple/XRP)。契約の自動化を実現するスマートコントラクト機能をもつイーサリアム(Ethereum/ETH)。それらを応用した技術をもつ仮想通貨…。
実に数多くの仮想通貨があります。
仮想通貨の全体像に関してはこちらの記事で詳しく解説しているので、ご覧ください。
その中で「匿名性」に特化した仮想通貨があるのをご存知でしょうか。
本記事では匿名仮想通貨について代表的な銘柄を取り上げながら仕組みなどを解説していきます。
目次
そもそも匿名仮想通貨とは何か
そもそも匿名通貨(匿名仮想通貨)とは何かを簡単に解説します。
匿名通貨とは「取引記録」が追跡されないものを言います。
ビットコインに代表される仮想通貨はブロックチェーンに取引記録が残されます。
送金や受金に必要なアドレス(銀行で言えば口座番号のようなもの)が分かってしまい、どのアドレス間でどれだけの取引があったか公開されています。
匿名通貨の場合、取引記録が追跡できないように様々な仕組みが使われています。
匿名通貨では、取引記録が分からないようになっているのでプライバシーが守られます。
逆に、取引記録が分からなくなることから、いわゆるマネーロンダリングなど犯罪に使われやすいデメリットもあります。
この匿名通貨に関して詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
匿名仮想通貨の仕組みを解説する
一言で匿名通貨といっても、仕組みによって秘匿化する部分が異なっていきます。
匿名通貨は、秘匿化する部分で3つに分類できます。
- 取引内容を秘匿化
- 取引経路を秘匿化
- 取引アドレスを秘匿化
取引内容を秘匿化する
一つ目の秘匿化の仕組みは取引内容を分からなくするものです。
具体的に取引内容とは「AさんがBさんにどれくらい送金した」というものです。
送金アドレスから送金数量までが秘匿化の対象になり得ます。
取引経路を秘匿化する
二つ目は取引経路を秘匿化するものです。
取引をする二者間にワンクッション置いて受取側が予定額を受け取っても送金元が分からず、取引経路を断定できなくします。
AさんからBさんに送金しているのか、AさんからCさんに送金しているのか、BさんからCさんに送金しているのかをわからなくします。
取引アドレスを秘匿化する
最後は取引に必要なアドレスを秘匿化して匿名性を保つ方法です。
送金用のアドレスを一時的に別の数値に置き換え(ワンタイム化)、どのアドレスから送金されたかを特定できないようにします。
代表的な匿名仮想通貨の秘匿化の仕組みを比較してみた
秘匿化の仕組みを使っている匿名通貨として代表的なものは「ダッシュ(DASH/DASH)」、「モネロ(Monero/XMR)」、「ジーキャッシュ(Zcash/ZEC)」があります。
3つの代表的な匿名通貨の秘匿化の仕組みを深掘りしてみていきます。
ダッシュ(DASH/DASH)の秘匿化の仕組みとは
ダッシュは秘匿化のために「Coinmixing(コインミキシング)」という仕組みを採用しています。
Coinmixingは取引経路を秘匿化します。
上で説明した1番に当たるものです。
ダッシュの取引ではまず、複数の送金依頼を集めて一箇所に集めます(プールする)。
次にプールされた場所でコインをごちゃ混ぜ(ミキシング)にします。
その後、受金者にコインが届きます。
一度ミキシングすることで、誰から誰へコインが送金されたのかをわからなくしています。
モネロ(Monero/XMR)の秘匿性の仕組みとは
モネロは取引アドレスを秘匿化する仕組みを採用しています。
上でいう2番に当たるものです。
モネロではステルスアドレス、ワンタイムリング署名という仕組みでアドレスを秘匿化します。
モネロ(Monero/XMR)が採用しているステルスアドレス、ワンタイムリング署名とは?
ステルスアドレスとは送金者と受金者しか取引を特定することができないアドレスです。
第三者が記録を追跡するのは極めて困難なアドレスです。
また、ワンタイムリング署名とはグループで公開鍵を管理して複数の人で署名することで誰が誰に送ったかを分からなくします。(通常の取引では秘密鍵と公開鍵が一対ですから誰と誰の取引か分かります)
ジーキャッシュ(Zcash/ZEC)の秘匿性の仕組みとは
ジーキャッシュは、取引内容自体を秘匿化する仕組みを採用し強靭な匿名性を実現しています。
上でいう1番に当たるものです。
ジーキャッシュでは、取引の全てを秘匿化できるゼロ知識証明が採用されています。
ジーキャッシュ(Zcash/ZEC)が採用しているゼロ知識証明とは?
ゼロ知識証明とは送金者と受金者のトータル値に注目し、取引の前後で数値に相違がなければ取引を承認する仕組みです。
取引経路がどうであれ最初と最後が間違ってなければ正しい取引として処理されるイメージです。
取引の承認は第三者に公開しなくても証明できるようになっていて送受信のアドレスから取引内容まで全てを隠すことが可能です。
匿名仮想通貨の中で最強の通貨はどれか
匿名通貨の代表的なものを3つみてきましたが、最後に秘匿性について順番をつけます。
全てを比べて一番秘匿性のある通貨は「ジーキャッシュ」でしょう。
取引内容を全て隠せるのは最強の仕組みです。
二番目に秘匿性の高いと考えられるのは「ダッシュ」です。
受け取る側が誰からのコインをもらったか分からないので取引を追跡するのは困難であるからです。
最後は「モネロ」になりますがステルスアドレスやワンタイムリング署名により秘匿性は十分高いのですが、2つある秘密鍵(閲覧用)の公開で取引記録だけですが公開可能ですのでその分だけマイナスになってしまいます。
順位 | 仮想通貨 | 特徴 |
---|---|---|
1位 | ジーキャッシュ(Zcash/ZEC) | アドレス、取引内容など全てを秘匿化できる |
2位 | ダッシュ(DASH/DASH) | 送金元がわからなくなるので記録の追跡が困難である |
3位 | モネロ(Monero/XMR) | 秘匿性は十分高いが取引内容だけは公開可能である |
仮想通貨の全体像に関してはこちらの記事で詳しく解説しているので、ご覧ください。
匿名仮想通貨に実装されている秘匿性の仕組みのまとめ
今回は匿名通貨の代表的存在の3銘柄について秘匿化の仕組み、そして仕組みをもとに順位をつけてみました。
順位はつけたもののどの銘柄も非常に匿名性が高いのは間違いありません。
もともと仮想通貨は匿名性が高いわけですが、その中でも秘匿化を特徴にしているわけですからプライバシーなどの情報が漏れる可能性はかなり低いです。
ただ、懸念材料とすれば犯罪に使われやすく規制の対象になることです。
2018年9月現在、日本の取引所では匿名仮想通貨の取引は規制の対象になっています。
注目を浴びている銘柄だけに今後、取引所や各国政府がどのように対応していくのかは注意してみていきましょう。
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