日本は仮想通貨の波に乗り切れるのか?【G20】



2008年にサトシ・ナカモトと名乗る人物が仮想通貨に関する論文を発表したことにより、仮想通貨ビットコインが世界に誕生しました。
特定の国家に依存せず、これまでの海外送金でかかった手数料を大幅に節約できたことによって、ビジネスがより効率的になってきています。

日本はもちろんのこと、世界各国でビジネスの手段として利用されるようになり、単なる金融商品ではなく新しいお金として知名度も上がってきました。

このような世の中の流れにG20も仮想通貨を無視できなくなり、現在では参加国同士で頻繁に議論が行われています。
日本でも、仮想通貨の技術は普及しつつあります。
私達の住む日本ではどのような法整備が行われているか、また仮想通貨がどんな形で普及しているかを紹介します。

日本の概要を解説する

東京都を首都として構える日本は、日本海、オホーツク海、太平洋、東シナ海に囲まれた島国です。
農業や水産業、そして工業や金融業では世界でも高い水準になり、日本の製品を支持する国は多いです。

2018年の時点で日本の人口は1億2000万人を超えており、福祉制度や医療技術の向上によって平均寿命も伸び続けています。
反面、少子高齢化や貧困層の増加、更に過剰な労働など、日本が抱える問題も増えているのが現状です。

日本はG5設立の時点でG20の加盟国となっており、独自の衣食住や技術力によって世界に多大な影響を与えています。日本が抱える課題は多いですが、海外からは評価されている声が多いことも事実です。

日本の仮想通貨の認知度と保有率は世界をリードする

2018年5月、ダリア・リサーチは仮想通貨の流通が活発となっている国の利用者2万9000人を対象にして、仮想通貨に対する認知度や保有率に関する調査を行いました。

調査の結果、韓国と日本がトップの傾向にあり、また保有率は11%と世界で最も高いです。全体の平均が7%であることを踏まえると、日本は保有率をリードしていると言えるでしょう。

教育水準が高い人ほど保有率が高い傾向にあり、また認知度も上昇しています。今後の向上にも期待できるでしょう。

日本 他国
認知度 83% 約73%
保有率 11% 約7%
保有人数 約1000万人 約2000万人

参照:How many people actually own cryptocurrency?ーDalia

日本で人気の仮想通貨とは何か

日本ではビットコインの決済が徐々に広まりつつあり、2017年4月よりビックカメラでも決済が導入されるようになりました。

また、Bitcoinmalllやいろいろストアなど、ビットコインの決済が可能となるサイトは増えており、Bitcoinmallはビットコインの他にもモナコインの決済にも対応しています。

イーサリアム(Ethereum/ETH)の人気も高く、日本ではイーサリアム・ジャパンと呼ばれるコミュニティが2018年2月に設立されるほどに勢いを増しています。投資家に限らず、イーサリアムに興味を持つ全ての人が参加の対象となっており、イーサリアムに関わる多くのプロジェクトが設立されるようになりました。

仮想通貨は投資手段としての人気が高いですが、既に日常の決済としても導入されており、仮想通貨を中心にしたコミュニティも設立されるほどに勢いを増しています。
ビットコインやイーサリアムを中心に、モナコインなどの仮想通貨も徐々に人気を上げつつあります。

日本での仮想通貨の歴史を読み解く

日本では仮想通貨の技術が浸透しつつあり、世界でもトップクラスの保有率を誇ります。
しかし、仮想通貨の登場と同時に日本でも流通した訳ではなく、現在の知名度に至るまでに様々な取り組みがありました。

仮想通貨取引所の設立や企業における決済導入がその一例となります。

日本で仮想通貨が人気になったきっかけと時期を解説する

日本で最初に仮想通貨取引所が設立されたのは2010年3月末であり、Bitgateが国内で初めての取引所となります。

Bitgateはビットコインのみを取り扱っている取引所であり、シンプルな操作性とセキュリティの堅牢さによって人気を呼んでおり、2018年10月時点までにハッキングの被害に遭った報告がありません。近年でも注目を浴びている取引所の一つです。

2012年8月には多数の仮想通貨を取り扱っているcoincheckが設立されて、2014年5月にはbitbankが、2014年6月にはZaifが、2014年9月にはbitFlyerが、それぞれ設立されています。
また、2016年も仮想通貨取引所が徐々に設立された年であり、3月にはBITPOINTが、10月にはGMOコインが、11月にはDMM Bitcoinが設立されるようになりました。

仮想通貨取引所は2010年に設立されて、それから2年ごとに取引所の数が徐々に増えつつあります。
2014年から2016年の間に仮想通貨取引所の数が増えたことで、日本でも仮想通貨の人気が劇的に上がりました。

日本での仮想通貨に関するニュースを読み解く

仮想通貨に限らず、日本ではブロックチェーンの技術も確実に広まりつつあります。
2014年9月より一般社団法人 日本ブロックチェーン協会が設立されて、2016年4月より名称が変更されました。(2014年の設立時点では一般社団法人日本価値記録事業者協会となっています)
ブロックチェーンはビットコインを支えるシステムとして期待されており、重要なデータの保管と改ざん防止に役立つ技術として、インターネットの登場にも比較するほどのインパクトを与えています。

日本ブロックチェーン協会は、ブロックチェーンを安心・安全な技術として普及させるため、日夜尽力しています。

2017年10月には金融庁よりICOに関する注意喚起が発表されました。
ICOは仮想通貨を利用した資金調達の手段として利用される機会であり、日本でも積極的に行われています。
ただし、詐欺に等しいICOが含まれていることがあれば、配布されたトークンが唐突に価値を失うリスクもあります。

様々なリスクを踏まえて自己責任として運用する義務があり、そして何らかのトラブルに巻き込まれた際の相談先も提示しています。
2018年1月末に仮想通貨取引所のコインチェックより、約580億円規模の仮想通貨ネムが流出した事件は記憶に新しいでしょう。

日本に限らず、海外のメディアからも取り上げられるようになり、日本の仮想通貨取引所におけるセキュリティ体制が問われるようになりました。
ただし、この事件はコインチェックの運営体制が原因で起こったのであって、決してネム(NEM/XEM)自体に問題があった訳ではありません。

日本の大手金融企業であるSBIホールディングス株式会社は、2016年11月より仮想通貨取引所のSBIバーチャル・カレンシーズを設立しており、更に2018年9月より独自仮想通貨のSコインの運用実験を発表しました。

SBIは仮想通貨に対して大いに期待している企業であり、バーチャル・カレンシーズでもビットコイン・ビットコインキャッシュ・リップルに加えてSコインを上場しています。
Sコインは2020年の東京オリンピックに向けたキャッシュレス促進の一種として、電子マネーとしての利用や仮想通貨との交換が可能となっています。

将来的には生体認証の導入も検討されており、大きな期待を集めています。

時期 出来事
2010年3月 仮想通貨取引所のBitgateが設立
2012年8月 仮想通貨取引所のcoincheckが設立
2014年5月 仮想通貨取引所のbitbankが設立
2014年6月 仮想通貨取引所のzaifが設立
2014年9月 仮想通貨取引所のbitFlyerが設立
2014年9月 一般社団法人日本価値記録事業者協会が設立
2016年3月 仮想通貨取引所のBITPOINT
2016年4月 一般社団法人日本価値記録事業者協会が日本ブロックチェーン協会に名称変更
2016年10月 仮想通貨取引所のGMOコインが設立
2016年11月 仮想通貨取引所のDMM Bitcoinが設立
2016年11月 仮想通貨取引所のSBIバーチャル・カレンシーズが設立
2017年10月 金融庁よりICOに関する注意喚起が発表
2018年1月 coincheckより約580億円規模のネムが流出する
2018年2月 イーサリアム・ジャパンが設立される
2018年5月 ダリア・リサーチによる日本の仮想通貨保有率・認知度が発表
2018年9月 SBIバーチャル・カレンシーズが独自仮想通貨のSコインの運用実験を開始

各機関の仮想通貨への姿勢と見解を読み解く

日本国内では仮想通貨に関するニュースが頻繁に報道されており、仮想通貨の将来性を信じる企業も増えつつあります。
日本政府・日本銀行・日本企業が仮想通貨に対して、具体的にどのようなイメージを抱いているか関連するニュースに合わせて紹介します。

日本政府の仮想通貨への姿勢と見解を読み解く

日本政府は2016年3月より、ビットコインを貨幣として認定することを発表しました。

オンライン決済にも利用できるようになり、またこの法規制案と同時に取引所も登録制となって監督強化が行われるようになっています。

また、2018年1月には衆議院によって、日本政府の仮想通貨規制とイノベーション政策に関する質問主意書が公開されました。

2018年2月には安倍首相による答弁書が送付されました。英国やシンガポールなどの国々に備えられた金融当局との間に、情報共有を行うことを進め、仮想通貨とブロックチェーン技術の活用に必要な取組を行うことを発表しています。

日本政府は仮想通貨やブロックチェーンの技術を評価しており、仮想通貨の法整備を積極的に行い、金融庁も仮想通貨に関するルールや注意を告知しています。政府がルールを定めているからこそ、国内の普及も活発になります。

日本の銀行の仮想通貨への姿勢と見解を読み解く

2018年10月より日本銀行の雨宮正佳副総裁は、『マネーの将来』という題材で、日本金融学会2018年度秋季大会における特別講演の中で仮想通貨について言及しました。

ビットコインなどの仮想通貨が支払い決済として普及する可能性は低いことを言及しており、既存の中央銀行と競うほどの信用が築きあげるハードルが高いことが理由に語っています。
マイニングによる計算に伴った大量の電力を必要とし、仮想通貨の利用が日常的になるハードルは非常に高いことも大きな要因です。

一方で、雨宮副総裁はブロックチェーンの技術は有望と評価しており、通貨との信用に結び付けることで取引や決済の効率化にも期待しています。
また、欧州の中央銀行と、分散型台帳技術に関する共同調査『Project Stella』を行っており、安全で迅速な金融取引を可能にしようとしています。

仮想通貨の普及には課題が多いものの、ブロックチェーンに関する技術を日本銀行は高く評価しています。

日本の企業の仮想通貨への姿勢と見解を読み解く

仮想通貨に対して強い関心を持つ日本の大企業は多く、2016年4月より発足した日本仮想通貨ビジネス協会でも会員となる会社は増えています。
住信SBIネット銀行や楽天証券など、日本の重要な金融企業は加盟しており、仮想通貨の健全な発展のために力を尽くしています。
参照:会員紹介ー日本仮想通貨ビジネス協会

また、2018年10月にも、ブロックチェーン技術の開発や新しいアプリやサービスの提供を目指す企業ソラミツも、ロシア証券取引所グループに対して仮想通貨の取引履歴の管理システムを提供しています。

ソラミツは2016年10月に『Hyplerledger Iroha』と呼ばれるブロックチェーンの開発に成功しており、多くのユーザーに支持される企業と金融機関が扱いやすくなることや、安全で効果的な社会の実現を目指しています。

日本では仮想通貨やブロックチェーンに対して好意的な姿勢で向き合っており、積極的な導入を心がけています。今後は導入する企業も増えることが期待されます。

日本での仮想通貨の将来性と日本が世界に与えるインパクトを考察する

日本国内では仮想通貨に関するニュースが徐々に増えており、国内でも仮想通貨取引所の数が確実に増加しています。
国内でも法整備が整いつつあり、参入する企業も増えています。
そんな日本国内で仮想通貨の将来性には期待できるのか、また日本で仮想通貨が発展することでどんなインパクトを世界に与えるのかを述べていきます。

日本での仮想通貨の将来性を考察する

日本では仮想通貨に関する企業が徐々に増えており、決済の手段としても利用が増えるようになりました。
何の前触れもなく値段が暴落する事態になっても、決して仮想通貨から撤退せずに技術を評価している企業は多く、関連するサービスの構築を続けています。

政府や銀行も仮想通貨の技術は評価しており法整備を行っているからこそ、国内でも仮想通貨取引所の設立が増えていると言えるでしょう。
仮想通貨に関連するコミュニティも増えているので、日本でも仮想通貨の将来性は大いに期待できます。

日本での仮想通貨の発展が与える世界へのインパクト

日本ではソラミツのように、自国で培ったノウハウを海外にも提供する企業が登場するようになりました。
仮想通貨の相場が低迷する事態に陥っても、確実に技術を進化させていることによって、インフラの整備は進みつつあります。

日本はブロックチェーンの技術においても、世界と並ぶほどに優れています。
Sコインの発行もキャッシュレスにおいて大きな前進となっており、海外からの旅行者も電子決済が更に行いやすくなります。日本では仮想通貨に対応する店舗が増えているので、観光客の増加にも役立つでしょう。

日本で仮想通貨やブロックチェーンが発展すれば、今後のビジネスが成長するきっかけにもなり、海外の仮想通貨分野のビジネスとも渡り合えるようになります。

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