ユヴェントスFCとナポリ市がトークンエコノミーを実現へ:イタリアの仮想通貨事情【G20】



仮想通貨はバーチャルなお金として著しい活躍を見せるようになり、既に世界規模で流通しています。

2008年にビットコイン(Bitcoin/BTC)の論文がサトシ・ナカモトと名乗る人物によって発表されたのをきっかけに、世界各国でビットコインを始めとする1000種類の仮想通貨が活躍しています。

G20でも仮想通貨に関する話し合いが頻繁に行われるようになり、各国で法整備が行われています。世界でも仮想通貨を注目する国が増えており、海外送金で仮想通貨が利用される現象も起きています。

G20参加国の一つであるイタリアでも、仮想通貨に対する導入や法整備が求められています。そこで、イタリアが実際にどのような対応を行っているのかを当記事で紹介していきます。

イタリアの概要を解説する

イタリア共和国は約6000万人の人口を誇る南ヨーロッパの単一国家であり、ブーツ状の国土の大半が温帯に属していることが大きな特徴です。

ワインやオリーブ、オリーブオイルやチーズの生産が活発で、特にイタリアのワインとチーズは世界的に人気です。

自動車の生産もフェラーリなどのメーカーが大きな人気を呼んでいるため、工業面でも非常に優れています。服飾ブランドでもグッチやジョルジオ・アルマーニが世界各国で展開されているので、産業においても世界に大きな影響を与えています。

G20が設立される以前、1975年にイタリアがG5に加わってG6に変わったので、既に参加から40年もの時間が流れています。国内で生産される有名なブランドから、G20の中でもひときわ目立つ存在になっています。

イタリアでの仮想通貨の歴史を読み解くイタリアで仮想通貨が人気になったきっかけと時期はいつか

2016年11月にはイタリアで最大の規模を誇るタクシー協会Cooperativa RadioTaxi 3570が、ビットコインによる決済受付を発表しましたTHE BIG BLAND)。

ビットコインによる支払いを取り入れればブロックチェーンを利用した追跡が可能で、料金支払いのごまかしの防止にも期待できます。

また、仮想通貨による決済がタクシーで可能になれば、海外からの旅行者もビットコインを利用しやすくなります。

人々の移動手段の決済など、まずは生活に浸透させることが国内での普及に繋がります。

イタリアで人気の仮想通貨とは何か

世界的に高い人気を誇るビットコインは、イタリアでも高い支持を得ています。

2017年10月にはイタリアの競売会社であるSant’Agostino社は、ビットコインによる決済が可能なオークションの開催を発表しました(BITCOIN AUCTION)。

オークションの決済でビットコインが扱われるのは世界で初めてとなり、高級な家具や絵画の支払いに仮想通貨が利用される事例となりました。今後は更に高額の買い物でも仮想通貨が利用されることが期待できます。

2018年8月にはイタリアのサッカークラブであるRimini FC 1912の買収にQuantocoinが利用されました(Forbes)。

Quantocoinの支払いシステムは自動的に記録されるため、賄賂を支払われないことがメリットであると、QuantocoinのパートナーであるPablo Dana氏は語ります。Dana氏はスポーツにおける汚職と戦うため、Quantocoinの導入しました。

イタリアではビットコインとQuantocoinを中心に、数多くの仮想通貨が利用されています。今後は他のアルトコインの活躍が、イタリア国内で期待できるでしょう。

イタリアでの仮想通貨に関するニュースを読み解く

2018年2月にはイタリアの仮想通貨取引所のBitGrailにて、1700万Nano(日本円にして約200億円)が流出した事件が起こりました(THE WALL STREET JOURNAL)。

仮想通貨Nanoは送金の手数料が無料で、かつ決済の速度が速いことが特徴で、大手取引所のBinanceへの上場をきっかけに話題となっていました。Nano以外の流出は起きていませんが、この事件によってNanoは一時的に入出金が停止となっています。

また、上記のハッキング事件をきっかけに、2018年4月にBitGrailはイタリアの裁判所に破産申請を申し立てました(Medium)。

ハッキング事例を読み解く。個人で防ぐことは可能なのか?

2018.06.11

3000人を超える被害者に向けてBitGrailは返金を約束しており、独自のトークン発行とNanoで損失をカバーしています。また、BitGrailのオーナーであるFirano氏がTwitterのアカウントで行ったアンケートの結果、8割近くの人が破産を望んでいることを明らかにしました。

イタリアのナポリ市の市長であるLuigi de Magistris氏は、2018年9月にナポリ市で独自通貨の発行自身のFacebookアカウントで発表しました。

ナポリ市は、ユーロに対して不信を抱き、イタリア政府の負債から脱却するために独自通貨の発行に踏み切りました。仮想通貨は特定の国家に依存しないため、有事の際に資産の避難先としても期待されていることから、リスク分散としても評価されています。

2018年9月末ではイタリアがEUのブロックチェーンパートナーシップに加入したことが報道されました(COINTELEGRAPH)。

イタリア下院議員のMirella Liuzzi氏は「このパートナーシップがEU加盟国の協力で成立している」と語り、今回の加盟からイタリア国内で仮想通貨に関わる技術の向上にも期待しています。

イタリアは、EU加盟国とも仮想通貨に関わる技術で競合しつつ、技術の発展につなげていくことができます。

時期 出来事
2016年11月 タクシー協会Cooperativa RadioTaxi 3570がビットコインによる決済受付を発表
2017年10月 Sant’Agostino社はビットコイン決済が可能なオークションを開催
2018年2月 仮想通貨取引所BitGrailにて約200億円の流出事件が起きる
2018年4月 仮想通貨取引所BitGrailはイタリアの裁判所に破産申請を行う
2018年8月 サッカークラブであるRimini FC 1912の買収にQuantocoinを利用
2018年9月 ナポリ市のLuigi de Magistris市長は独自仮想通貨の発行を表明
2018年9月 イタリアがEUのブロックチェーンパートナーシップに加入

各機関の仮想通貨への姿勢と見解を読み解く

イタリアでは取引所BitGrailで多額の流出事件が起きてしまい、仮想通貨の厳重な管理が求められるようになりました。

ただし、流出事件は仮想通貨自体に問題があった訳ではなく、取引所の管理体制が原因です。

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2018.07.04

国内では仮想通貨の決済やブロックチェーンの導入が進みつつあります。そこで、イタリア政府・イタリア銀行・イタリア企業がそれぞれどのような姿勢で仮想通貨と向き合っているかを紹介します。

イタリア政府の仮想通貨への姿勢と見解を読み解く

2018年2月にミラノ工科大学で行われたイベントにて、イタリアのPierre Carlo Padoan経済大臣は仮想通貨市場のバブルが崩壊すれば損害が発生する可能性を指摘しましたcoindesk)。

ブロックチェーンのテクノロジー自体には好意的な姿勢を示していますが、最大の問題はテクノロジーをどう使用するかであることと、出席者に対して語っています。

ブロックチェーンの技術は評価していますが、中央銀行がビットコインのバブル崩壊による損害に巻き込まれないよう、警戒を示しているのが現状です。ナポリ市の独自通貨も、普及には管理体制が求められます。

ナポリ市の取り組みで地域が活性化して、ブロックチェーンと仮想通貨のテクノロジーがプラスになることを証明できれば、イタリア政府も仮想通貨を本格的に導入する可能性が出てきます。

イタリアの銀行の仮想通貨への姿勢と見解を読み解く

2015年にイタリア中央銀行は仮想通貨の使用に関する声明文を公開し、仮想通貨の使用にはリスクを伴うものの、基本的には合法であるとみなしています。

暴落のリスクには警告し、その上で正しいリテラシーの元で仮想通貨を運用することを銀行は仮想通貨の保有者に求めています。

2018年6月には、14ものイタリアの銀行がブロックチェーンを利用して、実験を行っています(FINTECH FINANCE)。

ブロックチェーンによって、異なる銀行間で行われる取引の検証が行われて、互いの銀行のマシンにデータが保管されるようになります。結果、銀行間の取引にかかる時間も大きく節約されて、業務もより効率的になります。

イタリア中央銀行も仮想通貨に対しては好意的に見ていますが、政府と同様に暴落のリスクには警告しています。

2018年時点ではブロックチェーンの導入や仮想通貨の浸透を目指しているので、銀行も仮想通貨の技術自体は評価しています。

イタリアの企業の仮想通貨への姿勢と見解を読み解く

2018年7月、イタリアのカリアリ大学はブロックチェーンの技術を利用した学位証明書の発行を行いました(BitcoinExchangeGuide)。

2018年度の卒業生から授与が始まり、ブロックチェーンの利点である情報の改ざん防止を活かした卒業証書なので、学歴が正当であることを証明できます。

既に世界各国でも教育機関でブロックチェーンの導入機会が増えており、カリアリ大学の取り組みが成功すれば、イタリア全域の教育機関でブロックチェーンの浸透も期待できます。

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2018.06.19

2018年9月には、世界的に有名なイタリアのサッカークラブであるユヴェントスFCがブロックチェーン技術の導入を発表しましたユヴェントス公式サイト)。

ブロックチェーンに基づくユヴェントス公式ファントークンの発行も発表し、ファン同士のコミュニケーションやサッカークラブとファンの間の距離を縮めることが期待されます。

イタリア企業では仮想通貨はもちろんのこと、ブロックチェーン技術が確実に広まりつつあります。

サッカーチームにも仮想通貨が密接に関わるようになり、タクシーの決済にもビットコインが導入されるようになっているため、イタリア企業の仮想通貨の更なる浸透が期待できます。

イタリアでの仮想通貨の将来性とイタリアが世界に与えるインパクトを考察する

イタリア国内では仮想通貨の普及が進んでおり、交通やスポーツを始めとして様々な場面で利用されています。

国内では仮想通貨が支持されつつあり、今後の発展にも期待できます。

そんなイタリアでは仮想通貨の将来性に更なる期待ができるのか、また仮想通貨でどんなインパクトを世界に与えることができるのかを紹介します。

イタリアでの仮想通貨の将来性を考察する


イタリア国内では仮想通貨の決済を導入する店舗が一般でも増えており、2018年10月の時点でcoinmapでも確認が可能です(coinmap.org)。仮想通貨の影響力は確実に増している傾向にあります。

Cooperativa RadioTaxi 3570のビットコインの決済導入から、イタリア国内で仮想通貨に関するニュースが頻繁に報道されるようになり、ブロックチェーンの技術も評価されるようになりました。

ナポリ市の独自通貨発行も、イタリア国内での普及を後押ししています。

交通や日常の決済で仮想通貨が普及した分だけ、国民が触れるきっかけも増えます。イタリア国内では仮想通貨は投資手段ではなく、生活を支える新たなる技術として期待されるようになりました。

イタリアでの仮想通貨の発展が与える世界へのインパクトを考察する

近年、政治の混迷によってイタリアの情勢は不安定になりつつあり、2018年5月よりユーロが下落の傾向にあります(JIJI.COM)。

イタリアの情勢が揺らぎがあるからこそ、ナポリのLuigi de Magistris市長も仮想通貨の発行に踏み切っています。

世界では仮想通貨を募金の手段として扱ったり、あるいは銀行口座を持てない人のための救済手段としての利用が広まっています。

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2018.10.15

2018年9月より実施されたナポリ市の取り組みは、国を救うきっかけにも繋がります。

取引所BitGrailによるNanoの流出事件によって管理体制は問われつつありますが、国内では充分に仮想通貨の技術が広まっています。

銀行や企業でもブロックチェーンが広まっており、イタリアは仮想通貨で情勢を回復させる可能性を充分に秘めています。

今後、イタリアの情勢が仮想通貨とブロックチェーンで回復すれば、世界からの信用も取り戻せるでしょう。

イタリアの仮想通貨事情をまとめてみた

タクシーなどの移動手段はもちろんのこと、オークションの決済でビットコインが導入されるほどにイタリアでは仮想通貨が浸透しています。

銀行や企業でもブロックチェーンを利用したビジネスが展開されており、大学でもブロックチェーンを元にした卒業証書が注目を浴びるようになりました。

BitGrailのNano流出事件によって大きな衝撃も与えましたが、イタリア国内で仮想通貨の技術が支持されつつあることに変わりはありません。

仮想通貨の価格暴落を危惧する声もありますが、ナポリ市のように仮想通貨とブロックチェーンによって国を発展させる可能性も期待されています。

今後、イタリアで仮想通貨に関連するニュースには要注目です。

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