イーサリアム(Ethereum/ETH)はビットコイン(Bitcoin/BTC)に次ぐ、時価総額第2位の人気を誇る仮想通貨です。
そんなイーサリアムの生みの親こそ、ヴィタリック・ブテリン氏なのですが、元々はヴィタリック・ブテリン氏が、ビットコインのブロックチェーン技術に魅了されたことで、イーサリアムが誕生することになりました。
ヴィタリック・ブテリン氏は、ビットコイン、ブロックチェーン技術について学んでいく内に、ブロックチェーン技術が送金システム、ネット上のサービス、個人認証などにも用いられる技術であることに気付きます。
その後、そんな思いを形にしたものがブロックチェーン技術のプラットフォームとなる、仮想通貨のイーサリアムなのです。
ヴィタリック・ブテリン氏は、ビットコインに出会ってから2年後にイーサリアムの核となるアイディアを生み出しました。その後の2013年に、「イーサリアムプロジェクトのホワイトペーパー(計画書)」をWEB上にアップし、正式な形でイーサリアムが世に出るようになったのです。
本記事では、ヴィタリック・ブテリン氏の経歴から現在まで何をしてきたか解説します。
目次
ヴィタリック・ブテリンの驚きの経歴とは?
有名な仮想通貨イーサリアムの開発、そしてオミセゴー(OmiseGo/OMG)のアドバイザーも務めるヴィタリック・ブテリン氏ですが、大まかにまとめると、以下のような驚きの経歴を持つ人物となっています。
時期 | 出来事 |
---|---|
2011年 | コンピューターアナリストの父親の影響でビットコインと出会う |
2013年11月 | イーサリアムのホワイトペーパーを作成する |
2014年1月 | イーサリアムの開発を北アメリカビットコイン会議でアナウンスする |
2014年7月 | イーサリアムがローンチされる。約16億円の資金調達に成功する |
2018年8月 | 東京ビットコイン会議にスペシャルゲストとして招待される |
イーサリアムの開発については、2013年11月頃から携わっていました。
その後、ビットコインが有名になるにつれて、ヴィタリック・ブテリン氏も有名になったのです。
ヴィタリック・ブテリンは幼少期から天才的だった
ヴィタリック・ブテリン氏は、ロシアのモスクワ州コロマで1994年に生まれました。
ヴィタリック・ブテリン氏の両親は、父親がコンピューターアナリスト、そして母親がビジネスアナリストという、どちらも専門的な職業に就いていました。
そんな両親を持つ子どもとして成長していったのですが、その後、小学生になると父親の影響を受けて、ヴィタリック・ブテリン氏はコンピューターに興味を示すようになります。
このような特別な環境で育った子どもでもあったため、ヴィタリック・ブテリン氏が小学3年生になる頃には、天才児が集まるクラスで学習を行えるほどの人物になったのです。
しかもヴィタリック・ブテリン氏は、数学だけでなく経済学でも非凡な才能を見せつけ、その後は、プログラミングについても理解を示すようになり、同学年の子どもでは習わないような専門的な学習(高度なプログラミング)にも力を入れるようになりました。
ヴィタリック・ブテリンがビットコイン(Bitcoin/BTC)と出会う
ヴィタリック・ブテリン氏は、ティール・フェローシップ(Thiel Fellowship)に参加する形で、ビットコインの学習を進めるようになりました。
このようにしてビットコインに関する知識を深めていったのですが、その後、ヴィタリック・ブテリン氏は、2011年9月に設立されたBitcoin Magazine社の共同設立者になり、しかも翌年の2012年には、Bitcoin Magazineが出版されたのです。
ヴィタリック・ブテリン氏が設立者であるBitcoin Magazineは、仮想通貨に特化した出版物としては、最初の出版物と言われている有名な雑誌でもあります。
ヴィタリック・ブテリンはいつイーサリアム(Ethereum/ETH)を考案したのか
以下は、イーサリアムの天才考案者ヴィタリック・ブテリン氏のコメント、そしてコメントの補足となります。
ヴィタリック・ブテリン氏のコメントは、どのようにしてイーサリアムの考案に至ったのか、インタビューの応答となっています。
──イーサリアムのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
ビットコインとの出合いから2年後、ぼくは大学に通っていた。でもそのとき、週に30時間以上をビットコイン関連のプロジェクトに費やしていることに気づいたんだ。ぼくは大学を辞めることを決め、世界中のビットコインのプロジェクトを見て回る旅に出ることにしたんだ。ビットコイン界でいま何が起きていて、人々はどんなことをやっているのかを知るためにね。
元々は、仮想通貨のビットコインに興味があったヴィタリック・ブテリン氏ですが、その後、ビットコインを通じて仮想通貨のシステムそのものに興味を示すようになっていきます。
──イーサリアムのアイディアを思いついた瞬間、というのはあったのでしょうか。
あるひとつの出来事があったわけじゃない。アイディアは1カ月くらいかけて徐々にかたちになっていったんだ。最初はぼくも既存のブロックチェーンプロジェクトに参加をしていたんだけど、ブロックチェーンをもっと一般化なかたちで使う方法があると気づき始めた。そこでブロックチェーンを、あらゆるアプリケーションで機能させる方法を探したんだ。それから1カ月かけて、まったく新しいプラットフォームをゼロからつくることで総合的な目的に使える仕組みを生み出せるはずだという考えに至った。
ビットコインに関する知識を深めている間も、ヴィタリック・ブテリン氏は、まったく新しい仮想通貨、システムについて考えていました。
その後、あらゆるアプリケーションと連動する仮想通貨は新しい、このような着想に至ったのです。
ヴィタリック・ブテリンの仮想通貨への思想を解説する
ヴィタリック・ブテリン氏が、仮想通貨を魅力的と感じている背景には、SNSのような拡張性の高さ、自由で便利に利用できるシステムがあるからと考えています。
仮想通貨は法定通貨のように、特定の集団によってコントロールされている通貨ではありません。しかも、スピーディーに効率的に人の役に立つ、このようなところも仮想通貨の魅力であると捉えているのです。
仮想通貨の魅力は他にも存在し、ヴィタリック・ブテリン氏にとっては仮想通貨は「公平なマーケット」という位置付けさえも存在します。
ヴィタリック・ブテリンにとってのブロックチェーンの魅力とは
ヴィタリック・ブテリン氏にとってのブロックチェーンの魅力を簡潔にまとめると、以下のような長所が存在するため、多くの人にとって便利であると結論付けられます。
- 分散型という形で、人々が強調する形式のネットワーク構築が可能
- 人々の取引が透明化されているため、取引を邪魔される可能性が小さい
- 人々のデジタルアイデンティティが企業の管理下に無い
そのため、ブロックチェーン技術には将来性があるという考えがあります。
ヴィタリック・ブテリン氏にとってのブロックチェーンは、人と人とを結びつけている公平なアプリケーションという位置付けです。
ブロックチェーンは誰もが利用できる技術でもあるため、取引を開始することが難しくないです。
また、利用者が良いアイディアを出してシステムを良いものにした場合も、利用者に対してその成果が還元されるため、企業によってデジタルアイデンティティが管理されにくい、こちらも魅力的だと感じています。
ヴィタリック・ブテリンが考えるブロックチェーンをよりよく使うために必要なこと
ヴィタリック・ブテリン氏は、ブロックチェーンで重要となるのは、分散の原理を保つことであると捉えています。
ブロックチェーンによる分散の原理とは、1人の人物がネットワークを支配し、そして利益さえも支配してしまう、このような状態からの脱却を意味します。
今日までのお金のやり取りというのは、限られたプロセスを通じての取引となっていたため、ネットワークが支配されやすく、実際に支配されていたという過去があるのです。
しかしブロックチェーンであれば、まったく新しいシステムで取引できるだけでなく、分散の原理を保ちながら、サービスをより良いものに変えていくことが可能となります。
ヴィタリック・ブテリンが考えるイーサリアム(Ethereum/ETH)の今後とは
ヴィタリック・ブテリン氏は、以下のような機能をイーサリアムに持たせることで、より良いサービスを提供できるようになり、仮想通貨の価値も高めることができると考えています。
- DAICOによる不正ICOの防止
- 莫大な電気代の負担を小さくするPOS方式の導入
DAICOとは、DAO(Decentralized Autonomous Organization)とICOを組み合わせた造語です。
人間の経営者や、管理者、ルールがなくても人間を動かすための仕組みにより事業の自律化ができ、非集権化の枠ぐみが出来上がること。
仮想通貨の投機が絶頂期になった頃、不正ICOが相次ぐようになりました。
不正ICOは、資金だけを集めて逃げるといった詐欺行為そのものなので、そんな不正ICOを防ぐために、非中央集権で自主的な分散型の組織の必要性が問われるようになり、ヴィタリック・ブテリン氏もDAOがイーサリアムの今後にとって必要だと判断しているのです。
さらに、現行のPoW(Proof of Work)方式では莫大な電気代が必要となります。そのため今では、PoW方式は廃止する方向で、PoS(Proof of Stake)方式を導入する流れが顕著になってきました。
最近のヴィタリック・ブテリン氏の取り組みを解説する
ヴィタリック・ブテリン氏はイーサリアムの開発だけでなく、新技術とされているPlasma(プラズマ)にも力を入れていることで有名です。
もしPlasmaの開発に成功した場合、1秒あたりで処理可能なトランザクション量が増えると言われています。
その他の目的としては、Plasmaを開発することで安心安全な取引が、個人であっても行いやすくなるため、ヴィタリック・ブテリン氏はPlasmaの開発に没頭しているのです。
ヴィタリック・ブテリン氏によると、Plasmaには「取引所がたとえハッキングされたとしても、ハッカーは取引所を1週間ほど停止させることはできるがお金を盗むことはできない、という保証が得られる」という力があるため、今では世界中の人々が注目することになった新技術でもあります。
Plasmaの開発については、1つのチームで行うのではなく、すでに複数のチームがPlasmaの実装へ向けて動いている状況です。
またヴィタリック・ブテリン氏は、Bloomberg(ブルームバーグ)のインタビューにて「仮想通貨は再度、1000倍の成長を示す機会はないだろう。」との見解を示しました。
さらに2018年10月現在、ヴィタリック・ブテリン氏は365,003 ETH(約82億円)を保有していることを自身のツイッターで公表しています。それに加え、オミセゴーも約1120万円分保有しています(参照:Vitalik Buterin Reveals How Much Ethereum (ETH) He Owns in Response to Dr. Doom-THE DAILY HODL)
ヴィタリック・ブテリンの紹介記事をまとめる
仮想通貨に使用されている「ブロックチェーン技術」は送金システムのみで機能する技術ではありません。
ヴィタリック・ブテリン氏は、インターネット上に存在するTwitter、FacebookのようなSNS、もしくはクラウドサービス上でも、ブロックチェーン技術を駆使することで、分散型のプラットフォームになると考えています。
このような試みが成功すると、今までは企業の管理下にあったデジタルアイデンティティーが、個人のデジタルアイデンティティーとして機能するようになるのです。
このような構想が机上のものではない、そのようなことも、イーサリアムを通じてヴィタリック・ブテリン氏は教えてくれました。
将来的には、送金システム、限られたネット上のサービスだけでなく、ゲーム、アプリのような生活上で身近とされるものであっても、ブロックチェーン技術の恩恵を受ける日が来るかもしれません。
そのためヴィタリック・ブテリン氏のような人物たちは、今もなおブロックチェーン技術の研究を行っているのです。
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