現在、G20による世界各国を交えて仮想通貨に関する議題が頻繁に行われています。
2008年に初めての仮想通貨であるビットコイン(Bitcoin/BTC)が登場してから、仮想通貨は新しい投資や決済の手段として期待されるようになりました。
一方で、仮想通貨がマネーロンダリングなどの犯罪に悪用されてしまう事例もあり、規制をかけるべきと意見を述べる声も多いです。
G20の参加国の中でも仮想通貨に関する意見はそれぞれ異なります。
規制の度合いや、国内で期待されている度合いも変わります。
G20参加国の一つであるオーストラリアでは、仮想通貨に対してどのような印象を抱いているのかを当記事で解説していきます。
目次
オーストラリアの概要を解説する
オーストラリアはインド洋や太平洋に囲まれた国であり、本土とタスマニア島などの多くの島で構成されている国家です。
首都はキャンベラで、オーストラリア南東部のシドニーが最大の人口を誇る州都です。
人口は2400万人を超えて、世界では51位にランクインしています。
主に中国と日本が主な輸出相手国となっており、鉄鉱石や牛肉をメインに輸出しています。
日本とは1976年に日豪関係を締結しており、それ以降は互いに貿易を積極的に行っています。
世界でも経済が優れており、オーストラリアは先進国と呼ばれています。
G20には1999年より参加しており、日豪関係の影響もあってその経済成長は世界からも大きく注目されています。
オーストラリアでの仮想通貨の保有率は日本より高い
2018年1月に起きたコインチェックのネム(NEM/XEM)流出事件から、仮想通貨の規制に関わるニュースが頻繁に報道されるようになり、仮想通貨の価格が世界規模で急落しました。
しかし急落にも関わらず、仮想通貨に期待する人は世界でも多く、オーストラリア人の仮想通貨保有率も上昇の傾向にあります。
証券会社HiveEXの2000人の調査では、2018年8月の時点で、オーストラリアでの仮想通貨の保有率は13.5%にも上り詰めており、年初のわずか5%に比べると劇的な向上です。
人数に換算すれば300万人は超えます(参照:Number of Australians holding cryptocurrency triples since January despite market plunge—news.com.au)。
ファインダー・バック証券会社HiveExの2000人の調査では、8月の所有暗号が13.5%であったのに対して、1月に同じ調査が実施されたときはわずか5%だった。
一方で、日本でも仮想通貨の知名度は徐々に向上していき、認知度に比例して保有率も上げています。
ダリア・リサーチ(Daliar Research)の調査では、日本人の仮想通貨保有率は11%に達しており、人数に直せば1000万人を超える計算です。
日本とオーストラリア、双方で仮想通貨の保有率向上が今後も期待できます。
オーストラリア | 日本 | |
---|---|---|
認知度 | 2018年に爆発的に向上 | 徐々に向上し、高い |
保有率 | 13.5% | 11% |
保有人数 | 約300万人 | 約1000万人 |
参照:How many people actually own cryptocurrency?−Medium
参照:Number of Australians holding cryptocurrency triples since January despite market plunge—news.com.au
オーストラリアで人気の仮想通貨はビットコイン(Bitcoin/BTC)である
参照:1,200 Australian Newsstands are Now Selling Bitcoin and Ethereum—CCN
2018年3月には、1200を超えるオーストラリアのニューススタンドにてビットコインとイーサリアム(Ethereum/ETH)を購入できる設備が用意されました。
事前にウォレットを用意していれば、店舗でビットコインとイーサリアムを購入することが可能です。
オーストラリアでは仮想通貨を身近なところで購入する環境が整いつつあります。
コンビニでも仮想通貨が購入できるようになり、ビットコインの高い人気が伺えます。
オーストラリアでの仮想通貨の歴史を解説する
オーストラリアでは仮想通貨が流通する環境が整いつつあります。
ビットコイン決済に対応する店舗も増えており、2018年8月には仮想通貨取引所のCointreeと自動決済に利用するプラットフォームのGobbillが提携を発表しました(参照:Cointree and Gobbill partner to let Aussies pay their bills with cryptocurrency―FINANCIAL REVIEW)。
両者の提携によって仮想通貨の支払いが更に進むようになり、オーストラリア国内で仮想通貨の更なる普及が期待されています。
オーストラリアではどのような形で仮想通貨が浸透するようになったのかを解説していきます。
オーストラリアで仮想通貨が人気になったきっかけと時期はいつか
2017年9月にはWooranna Park小学校で仮想通貨の授業が行われており、当時から仮想通貨への期待があったことが伺えます(参照:One Aussie primary school teaches cryptocurrency- and the world is paying attention―NEWS SERVICE NEMFLASH)。
ただの金融商品ではなく、これからの未来を支える新しい技術であるという認識が国内で強まっています。
2018年には1200店舗ものニューススタンドで仮想通貨購入が可能となったことから、最近になってオーストラリアにおける仮想通貨の人気が急激に上昇しました。
オーストラリアでの仮想通貨に関するニュースを解説する
仮想通貨に関わるニュースは明るいばかりではなく、法整備という厳格なニュースも少なからずあります。
仮想通貨を狙ったハッキングや詐欺も世界では多発するため、利用の際にはどうしても法整備を整えなければいけません。
2018年4月には仮想通貨の悪用を防ぐため、オーストラリアで仮想通貨の規制が発表されました(参照:New Australian laws to regulate cryptocurrency providers―Australian Government)。
またオーストラリアでは、2016年より仮想通貨に関する課税の課題にも取り組んでいます(参照:Government response to Australia’s FinTech priorities―Australian Government The Treasury)。
二重課税を改善することで、より利用するためのハードルを下げることも可能です。
オーストラリアでは仮想通貨を積極的に扱えるようにする為、さまざまな取り組みを行なっています。
時期 | 出来事 |
---|---|
2016年 | 仮想通貨による二重課税の法律改正を政府が発表 |
2017年9月 | Wooranna Park小学校が仮想通貨の授業を始める |
2018年3月 | 1200店舗ものニューススタンドで仮想通貨を購入することが可能に |
2018年4月 | 仮想通貨の運用に関する法律が政府によって制定される |
2018年8月 | 仮想通貨の保有率が13.5%に達する |
2018年8月 | CointreeとGobbillが提携を発表/td> |
各機関の仮想通貨への姿勢と見解を解説する
オーストラリアでは仮想通貨の好意的なニュースが積極的に取り上げられて、国内でも仮想通貨決済が増えるようになりました。
オーストラリア政府と銀行、そして企業が仮想通貨に対してどのような姿勢でいるのか。
それぞれの立場と、またどのような施策を行っているのかを解説していきます。
オーストラリア政府の仮想通貨への姿勢と見解を解説する
オーストラリアのクイーンズランド州政府は2018年8月に、仮想通貨促進のために助成金を交付することを発表しました(参照:Australian State Government Invests in Crypto Startup to Promote Regional Tourism―COINTELEGRAPH)。
8月1日に発表された公式発表によると、オーストラリアのクイーンズランド州政府は830万ドルを超えるイノベーション資金の一部として、仮想通貨業界のスタートアップに助成金を交付することを決定した。
2018年7月にはデジタル化を促進させる一環として、IBMとオーストラリア政府は今後5年間で技術パートナーになることを目指し、10億豪ドル(約800億円)の契約を獲得しています(参照:IBM Lands $740 Million Deal to Supply Data Security to Australia—Bloomberg)。
IBMは市民のデータを保護するためのプラットフォームを創出し、サイバー攻撃から個人情報を守るため、ブロックチェーンなどのサービスの活用を目指しています。
政府は仮想通貨の技術に対して非常に好意的な姿勢を示しており、人々の生活に密着させるために様々な動きを見せていることが伺えます。
オーストラリアの銀行の仮想通貨への姿勢と見解を解説する
オーストラリアの銀行は仮想通貨を好意的に見ています。
ブロックチェーンの技術自体を評価しており、ビットコインの決済速度は非効率的であり、現時点ではリップル(Ripple/XRP)の採用を選択する可能性が高いと2018年6月にコメントしています(参照:Central Banks of New Zealand and Australia to Adopt Ripple Soon?—RNT RIPPLE NEWS )。
リップルはビットコインを遥かに超える送金速度が特徴で、海外送金をより効率化させることを目的とした仮想通貨です。
そのため、ビットコイン以上に将来性を期待している声も多くなっています。
一方で、オーストラリアのクイーンズ銀行は不動産のローン購入で仮想通貨の利用を禁止したことを2018年7月に公表しています(参照:Bank of Queensland bans using home equity loans for crypto—FINANCIAL REVIEW)。
仮想通貨は価格急騰のリスクも高いので、全面的に信用する訳にはできないことも事実です。
運用の際にはリスクを回避するための対策が求められます。
オーストラリアの企業の仮想通貨への姿勢と見解を解説する
2018年9月よりオーストラリアでは、法定通貨の価格と連動するStablecoin(ステーブルコイン)を発行する企業が増えつつあります(参照:We’re partnering with Emparta to build and launch Australia’s first Aussie dollar-backed stablecoin—BIT TRADE)。
仮想通貨は暴落のリスクが高いため、資産を失うことを恐れている人には手が出ないでしょう。
リスクを減らせるコインが積極的に採用されれば、採用に伴って仮想通貨も広まっていきます。
2018年9月末に、ネムはオーストラリアのLivenサービスとの提携を発表しました(参照:NEM blockchain selected to power Aussie dining rewards app Liven―CryptoNinjas)。
Livenとはオーストラリア国内で30万人を超えるユーザー数を誇り、国内のレストランの予約と決済ができるアプリです。
ネムが世界に普及することで、不正の無いビジネスが大きく展開されることが期待されており、第一歩としてLivenはNEM財団との提携を行いました。
同時期では、オーストラリアで最も長く運営されている仮想通貨取引所のIndependent Reserveが、オーストラリアデジタル商取引協会(ADCA)から、国内で初めて認可を受けました(参照:ADCA certifies Australian crypto exchange Independent Reserve―CryptoNinjas)。
ADCAからの認可こそがIndependent Reserveが世界的に信頼されている証拠となり、オーストラリアの投資家が仮想通貨の運用を安心して行えるようになります。
オーストラリアでの仮想通貨の将来性とオーストラリアが世界に与えるインパクトを考察する
オーストラリアでは仮想通貨の将来性が大きく期待されており、国内で仮想通貨普及のための動きが頻繁に行われています。
仮想通貨に関連する授業も行われていることから、単なる金融商品ではない新たなるライフラインとして仮想通貨を捉えていることが推察できます。
オーストラリアでの仮想通貨の将来性を考察する
2018年に入り、CointreeとGobbillによる提携や、ニューススタンドによる仮想通貨決済の導入、簡単に仮想通貨の購入が可能になったなど、オーストラリア国内では仮想通貨を決済させるための取り組みが頻繁に行われています。
オーストラリアでは、仮想通貨は投資商品ではなく新しい決済の手段として浸透しつつあります。
オーストラリア国内において、今後仮想通貨を保有する人は増え続け、仮想通貨が生活の一部になる可能性がとても高いです。
オーストラリアでの仮想通貨の発展が与える世界へのインパクトを考察する
仮想通貨の発展を積極的に行っているオーストラリアの取り組みは、世界でも大きく話題となっています。
仮想通貨のリスクはまだまだ大きく、通貨自体の価値が上がるには時間が必要です。
オーストラリアでは、政府・銀行・企業がそれぞれの立場から仮想通貨に対して積極的な支援を行っています。
この3機関の連携によって仮想通貨の普及がオーストラリア国内でさらに進めば、大きな成功事例となって世界的な注目を集めることになります。
そのため、オーストラリアの動向から目が離せないです。
オーストラリアの仮想通貨事情をまとめてみた
仮想通貨に関係するネガティブなニュースは世界で多いです。
オーストラリアも仮想通貨に対してある程度の規制を行っていますが、国内で普及させるための努力を惜しみません。
政府・銀行・企業がそれぞれの立場から仮想通貨に対して積極的な支援を行っています。
仮想通貨は新しいお金として、世界規模で大きな期待を集めています。
オーストラリア国内でも積極的にビジネスで採用しており、国内での保有者数も増加の傾向にあります。
ステーブルコインの登場や、Wooranna Park小学校で行われた仮想通貨の授業も大きなニュースとなっていて、仮想通貨が評価されている証拠です。
今後、オーストラリアは仮想通貨に対して更なる支援を行っていくでしょう。
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