【神対応】バイナンスのハッキング疑惑とその対応を見る



昨年大幅にチャートを伸ばしたこともあり、大きな注目を集めている仮想通貨。
仮想通貨は日本だけでなく海外においても人気が高いことも知られていますが、最近になってとある騒動が起こって話題になっています。
仮想通貨のチャートは当然海外の話題にも左右されますので、投資を行う以上は海外のニュースも積極的に取り入れたいところです。
本稿では、海外の仮想通貨取引所を中心に起こったバイナンス騒動について説明していきます。

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2018.06.11

そもそもバイナンスって何?

まずはバイナンス騒動について言及する前にバイナンスについて説明します。
バイナンス(BINANCE)は中国に所在している仮想通貨取引所のことです。
2017年に設立されたばかりの新勢力ですが、既に世界全体の取引高1位を獲得している世界最大の仮想通貨取引所になっています。

なぜバイナンスは人気なのか

では、なぜバイナンスは1年足らずで取引所最大手となったのでしょうか?
そこには、バイナンスの取引所としての特長が大きく関係しています。
バイナンスの特長は取り扱っている仮想通貨の多様さであり、なんとおよそ100種類に渡る仮想通貨を取引することが可能です。
日本の取引所では10種類に満たない場合が多いので、この規模の大きさには驚かされます。
多様性を生かして顧客を数多く獲得していったバイナンスは、前述の通り世界全体の取引高1位の最大手となり、現在も取り扱う仮想通貨を増やして圧倒的な支持を受けている状況です。
現在ホームページは日本語対応がなされていないものの、取引規模の大きさに注目して利用する日本の投資家もいます。

バイナンス騒動って何があったの?

話をバイナンス騒動に戻します。
騒動の発端となったのは2018年2月で

「バイナンスがハッキング被害にあってしまったのではないか」

という情報が流れたことです。
世界最大の規模を誇る取引所だけにネット上では自分の投資している通貨も流出するのではという不安の声が溢れ、仮想通貨全体のチャートも大幅に下落していきました。

バイナンスがハッキングされた?

では実際にバイナンスはハッキングされていたのでしょうか?
情報が流れて仮想通貨のチャートも全体的に下がる中、バイナンスの趙長鵬CEOはバイナンスが預かっている顧客資産が無事であるという旨のツイートを行うと、無事であることを示すためにウォレットを公開するといった対応を行いました。

記憶に新しいコインチェックハッキング騒動について

日本の投資家の方は

「バイナンスは第二のコインチェックになったのでは」

と不安に感じた人も多いかもしれません。
コインチェックのハッキング騒動が起こったのは2018年1月末で、ずさんな管理体制をハッカーに突かれて、顧客から預かっていた仮想通貨ネム(NEMまたはXEM)がおよそ580億円分盗み出されるという最大の流出事件となってしまいました。
コインチェックはネムの損失分を顧客に返金するとしましたが、騒動の最中に他の仮想通貨の送金や売買を停止して機会損失を引き起こすなど、問題はネムだけのものではなくなっています。
もともと金融庁から正式な認可を受けていない「みなし」状態であったコインチェックは、金融庁から業務改善命令を受けたり、立ち入り検査をされるなど、厳しい対応がなされたことも話題になりました。

結論

大きな混乱を引き起こした騒動でしたが、結論としてはバイナンスのハッキング被害は単なる噂であり、バイナンスの顧客資産は無事ということが分かりました。
この一連の騒動の流れは、

  1. バイナンスがハッキングに遭ったという噂が流れる
  2. 資産流出を恐れた顧客が不安に駆られ、仮想通貨のチャートも下落する
  3. 趙CEO及びバイナンス公式がハッキングの噂を否定
  4. ハッキング被害を受けていないことを示すためにウォレットを公開
  5. 顧客の不安が解消される

というものになっています。
対応をバイナンスが即座に行ったことがとても大きく、混乱から大きな被害が出ることはありませんでした。

どうして大騒ぎになったのか

今回の騒動が大きくなった背景には、大きく2つの要因がありました。

  • 一つ目はバイナンスの2月のメンテナンスが予定以上に長引いたことで
  • 二つ目はセキュリティの専門家である著名人がバイナンスがハッキングされているという見通しをツイートしたことです。

ここからは、これらの詳細について説明していきます。

メンテナンスが長引いた

2018年2月8日にバイナンスはメンテナンスを実施して、顧客側にはアクセス制限が敷かれることになりました。
メンテナンスが行われること自体は定期的なのでいつものことだったのですが、メンテナンスが終了予告の時間を過ぎても続くという今までにない事態が起こり、顧客側はアクセスできない状態にやきもきすることになったのです。

予期せぬ事態に投資家の間では不安が渦巻くようになり、その流れのままに「ハッキングされたのはないか」という噂が立ち、SNSを中心に広がっていきました。

噂を広めたJohn McAfee氏

そして、この噂の拡散をさらに加速させたのがJohn McAfee氏の存在です。
John McAfee氏といえば、セキュリティソフトを販売する企業の最大手であるマカフィー社の創業者であり、セキュリティの専門家の中でも随一ともいえる影響力を持っている人物と言えます。
John McAfee氏は、メンテナンスが長引く状況からバイナンスがハッキングされている可能性が高いことを示唆するツイートを行い、専門家の判断を聞いた顧客はさらに不安を増大させることになりました。
この事態に趙CEOは即座に反応し、バイナンスがハッキングされているという噂を完全否定して、John McAfee氏にはバイナンスの公式ツイッターを通じて虚偽の情報を広めないようにと対応したのです。
その後John McAfee氏の「ハッキングされているのでは」と判断した根拠について即座に回答し、上述の通りウォレットも公開したので、ようやく顧客側の不安も和らいでいきました。

再開

その後メンテナンスは無事終了し、バイナンスでは今まで通り取引をすることができるようになります。
それに加えて、メンテナンスが終了が長引いたお詫びとして全ての取引を70%割引するという破格のサービスを展開したことで、「神対応」と世界中から称賛を受けることになりました。

https://support.binance.com/hc/en-us/articles/360000737572

大きなピンチが到来したにも関わらずそれを取引所としての株を上げるきっかけに変えた結果から、バイナンスのリスクマネジメントの高さを伺い知ることができます。
その後、結果的に間違った情報を流したことになったJohn McAfee氏が謝罪を行うと、趙CEOは快く許すなどその後のやり取りに関しても大きな称賛を受けました。

https://twitter.com/cz_binance/status/962898138829737984

今回のバイナンス騒動についてのまとめ

今回の騒動では、何か問題が起きた時の迅速な対応と、顧客の被った実害に対する補償を行うことの大事さを知ることができます。

仮想通貨の取引に限ったことではありませんが、ネット社会では一度悪い情報が流れてしまうとSNSを通してすごい勢いで拡散され、文字としても残ってしまいます。
「人の噂も75日」と放置してしまうと情報が独り歩きしてしまい、事実として受け取られて結果的に自分たちが被害を受けてしまうということになりかねません。
個人であっても法人であっても何か悪い噂が流れた時は、今回のバイナンスを見習って即座に対応することを心掛けたいものです。

また、今回は仮想通貨取引所の噂ということもあり、仮想通貨のチャートに大きな影響を与えることになったことも大きなポイントであるといえます。
現状、仮想通貨の取引においては、チャートの上下に関係する情報の拡散について法整備がなされていないことが問題点の一つです。
今回はすぐに解決がすぐなされたので特に大きな被害は出ませんでしたが、今後はチャートに影響する情報に関する対応や、株取引におけるインサイダー取引にあたる売買などの取り締まりが必要になってくるでしょう。

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