フリマアプリと聞いて、何が思い浮かびますか?
おそらく「メルカリ」「ラクマ」「ヤフオク」などが多いでしょうか。
個人間で自由に取引するのが「フリーマーケット」と呼ばれるシステムで、まさしくCoinInfoが理想としている非中央集権的な仕組みだと言えます。
ビジネスモデルに関して言うと、GAFAとメルカリを比較して、より今後の社会に多く普及しそうなものを考察した記事を執筆致しましたので、ぜひこちらもご覧になってください。
その記事内でも触れているのですが、C2Cのビジネスでさえも、まだ完全なる非中央集権的な仕組みとは言えないと考えられます。
そこで今回取り上げるのが「Accept.io(アクセプト)」というイギリスの企業です。
世界初の自律分散型P2Pマーケットプレイスを謳うアクセプトが提供するサービス。
今回はその仕組みから今後の展望までを紹介していきたいと思います。
目次
Accept.io(アクセプト)とは?
まずはアクセプトの概要を紹介していきます。
Accept.io(アクセプト)とは何か?
アクセプトはロンドンを拠点とするスタートアップ企業です。Acceptマーケットプレイスという「ブロックチェーン上で動くフリーマーケット」をメインサービスに掲げています。
ウェブサイトはこちら。
日本語対応をしているTwitterアカウントはこちら。
現在シェアリングエコノミーは世界規模で拡大、浸透しつつあります。
例えばシェアリングサービスの代表格であるAirBnBは、宿泊先が必要な人と貸出可能な部屋を持ち合わせている人をマッチングさせるサービスです。
同じく世界的企業のUberは、車での送迎を必要としている人と、車と時間がある人を仲介することで、双方にメリットをもたらしています。
今回ご紹介するアクセプトも、シェアリングエコノミーの概念に基づいたサービスを提供しています。「モノ」に限らず、「サービス」や「スキル」を提供したい人と、それらを必要としている人を引き合わせるのです。
そのアクセプトの基盤を支えているのは、ブロックチェーン技術です。
ブロックチェーンを利用し、かつウェブブラウザ上で操作できるフリーマーケットは他に存在せず、アクセプトは「世界初の自律分散型P2Pマーケット」ということができます。
Accept.io(アクセプト)では何ができるのか?
具体的には、アクセプトでできることは主に次の3つです。
- 手元にある物品を欲しいものと交換する
- スキルや経験を生かして収入につなげる
- トークンの交換
それぞれ見ていきましょう。
手元にある物品を欲しいものと交換する
皆さんのご自宅には、ずっと使われずに眠っているもの、要らないけど捨てられずにいるもの、ありませんか?
そういったものは「フリーマーケットや中古屋で売る」という方も多いでしょう。ただ、よほどのものでない限り、大した金額で買い取られるケースは少ないというのが現実です。何千円、何万円で購入したものが、数百円程度の評価だった、ということもあります。
しかしそれは「その土地における一般的な価値」であり、個人レベルで見れば、その物品にもっと高い価値を見出している人もいます。世界まで視野を広げた時には、そういう人の潜在的な数は増えると考えられます。
アクセプトには気軽にシェアサービスを利用できるローカルマーケットの他、世界規模で取引ができるグローバルマーケットが用意されています。日本では大した価値がないと思っていたものでも、世界のどこかにはそれを喉から手が出るほど欲しい、という人がいるかもしれないのです。
スキルや経験を生かして収入につなげる
皆さんが「自分のスキルを誰かに提供する場」は、どこでしょう?
職場や家の中、という方が多いかと思います。それ以外の場で、あなたのスキルをもっと気軽に活かし、さらにそれで報酬を得ることができたら?
アクセプトのシステムは、その人が持っているスキルや知識を提供して対価を得られるというものです。どんな些細なことでも、それを必要とする人がいる限り、やりがいや収入に繋がります。「犬の散歩」「基本的なプログラミング」「オススメのお店を紹介」程度のことでも十分なのです。
自分が持っているもの、自分にできること。それが誰かの役に立ち、価値があるものとして認められ、報酬という形で自分に返ってくる。これはアクセプトのギグエコノミー・プラットフォームとしての側面でもあります。
トークンの交換
アクセプトでは支払い、または受け取る報酬としてトークンを選択することができます。
使用されるのはFulcrum (FULC)という、ERC20の規格に則った独自トークンです。
アクセプトはBancorと提携しており、FULCはBancor Protocolを採用しているトークンとの互換性があります。アクセプトのプラットフォーム上でトークン交換が可能なので、煩雑な手続きも不要です。
Accept.io(アクセプト)と他のフリマを比較する
冒頭でも紹介しましたが、日本だけでもフリマアプリと呼ばれるプロダクトは多数存在します。
では、今回紹介しているアクセプトにはそれらのサービスとどのような違いがあるのでしょうか。
手数料の削減
一般的なフリマアプリでは、一つ一つの取引に手数料がかかります。最大手メルカリだと10%、それ以外のサービスでも5%、高ければ20%も引かれてしまうのです。
一方ブロックチェーン技術を採用したアクセプトでは、トークンを介した取引では最大でも2.5%、トークン以外のモノやサービスでの取引では、手数料が一切かかりません。
支払い画面で「この手数料がなかったら…」と溜息をついた経験のある方には特に、このメリットの大きさを分かっていただけるのではないでしょうか。
素早く安全な決済
通常、ほとんどのフリマアプリでは口座への振込に1日から数日かかります。イーサリアムのチェーンを使っているアクセプトでは、それが約15秒で完了します。
加えて、スマートコントラクトやネイティブエスクローなどの技術がプライバシーを保護。未払いや詐欺などの行為も防ぎ、安全な決済を可能にしています。
問題解決システム
あらかじめ調停委員をユーザーの中からランダムに認定しておき、何か問題が発生したときには、そのメンバーで構成される調停委員会が解決に当たります。
既存のルールをユーザーに対して押し付けるのではなく、両者の意見を聞くことができる存在を作り上げることで、最適な解決方法を導き出すことができるシステムになっています。
調停委員会への参加など、アクセプトの維持や改善をサポートするユーザーには、しっかりとインセンティブが用意されています。
ユーザー自身が率先してマーケットプレイスをより使いやすいものにしていくという点も、他のフリマアプリとは一線を画する特長です。
Accept.io(アクセプト)の展望を見る
2019年夏にはマルタ共和国にてパイロット版を限定公開し、事前登録をした500人のユーザーに実際にプロダクトを使用してもらう予定です。そこで得るフィードバックから、デザインや機能面でのアップデートを経て、2020年1月に完全な一般公開を見据えています。
現在Acceptマーケットプレイスは英語版・α版のみ稼働中で、ほとんどの日本人ユーザーにとっては実際に利用するのがまだ難しいという状況です。
アジア太平洋地域で先陣を切って公開される日本版は、2019年秋にパイロット版として運用が開始される予定です。日本版公開に先立って海外で一定の評価を確率している場合、ローンチされる前にメルカリなどの既存ユーザーが一気に流れてくることも予想されます。みなさんが実際に使うようになるのにはまだ時間がありますが、早めに情報をチェックしてみてはいかがでしょうか?
これからの経済のあり方を見たとき、シェアリングやトークンエコノミーが主流になってくるという展望については、CoinInfoでも取り上げています。
テクノロジーが発展してきた今の世の中では、個々人がより簡単に繋がることができます。このような時代において、昔ながらの物々交換のような「手触り感のある」取引は、ある意味理想的な経済形態と言えるのではないでしょうか。
今そこに最も近いところにあるのが、アクセプトが目指すマーケットなのです。
Accept.io(アクセプト)をまとめる
今回はアクセプトという、世界初の自律分散型P2Pマーケットについて紹介しました。
既存のサービスに比べ、より非中央集権的でユーザー主導型のシステムを持つアクセプト。
目指しているのは、従来の「手数料で収益を生む」「人々に商売をさせる」というビジネスモデルではなく、「人々が安全に繋がれる」コミュニティの形成を前提としたマーケットプレイスです。
よりユーザー目線で構築されたアクセプト、これからの動向にぜひ注目してみてはいかがですか?
コメントを残す