仮想通貨を支える技術といえば「ブロックチェーン」。
世界中でなされる取引データを10分ごとにブロックとしてまとめて、また新規のブロックを生成し、それをつなげることで取引履歴を不変的かつ永続的に管理する優れた技術です。
そんな仮想通貨に欠かせないブロックチェーンをアップデートさせる技術、「クロスチェーン」が今注目されている。
刻々と変化を見せる仮想通貨市場を生き抜くみなさんに必須知識であるクロスチェーンを詳しく紹介します。
具体的には、クロスチェーンがどのように既存のブロックチェーンを変えるのか、普及すれば今後の仮想通貨市場はどのような動きを見せるのかを見ていきます!
目次
クロスチェーンについて知る
まずはクロスチェーンの仕組みについてを把握していきましょう。なぜ生まれたのか、どのような意図で利用されているのかを知れば、実際にクロスチェーンを扱う時に役立ちます。
言わずと知れたブロックチェーンの技術は世界規模で期待されており、データの改ざんを困難とするシステムによって多くの人が支持されています。
そのブロックチェーンが発展して誕生したクロスチェーンも、今大きな支持を得ています。
クロスチェーンで新たな取引が可能になる
クロスチェーンとは別々のブロックチェーンを繋ぎあわせる技術のことです。
一つのブロックチェーン内では、一種類の限定されたコインが取引されるのが一般的ですが、クロスチェーンの技術で別々のブロックチェーン内のコインの取引が可能になります。
つまり、コインの種類が違っても取引が可能になるということです。
たとえば、ビットコインとイーサリアムはそれぞれのブロックチェーンが稼働しているので、お互いに取引はできません。
ですが、クロスチェーン技術でブロックチェーンをつなぐことにより、異なるコインを第三者を通さずに取引できるようになります。
メリットについては後ほど詳しく見ていきますが、主に取引所を介さずに仮想通貨同士のやり取りを行えることに加え、データの処理速度や手数料の削減があります。
「DEX」「サイドチェーン」も取引所を介さない点が類似しているのでよろしければご参考にしてください。
クロスチェーンはどのようにしてできたのかを知る
仮想通貨の送金を行うと、仮想通貨取引所に手数料を支払わなければいけません。また、世界各地にて仮想通貨取引所を狙ったハッキング事件が頻繁に起きており、取引所のウォレットにコインを預けることのリスクも指摘されています。
仮想通貨をより安全に使うのであれば、クロスチェーンのようにブロックチェーン同士を繋げる技術の需要が高まります。ブロックチェーンは送金履歴が追跡可能であり、仮想通貨がハッキングされなくなれば安全性がより高まります。
仮想通貨をより安全に使うのであれば、ブロックチェーン同士を繋げて送金履歴の追跡が可能になるなどの安全性を強化する技術の需要が高まりクロスチェーンが生み出されました。
クロスチェーンのメリットとデメリットを詳しく理解する
クロスチェーンは仮想通貨送金の新たなる手段として大いに期待されており、多くのメリットが挙げられています。しかしデメリットも存在しており、幅広く普及しているとは言い難いことも実情です。
クロスチェーンを扱う上でのメリットとデメリット両面を把握しておきましょう。
クロスチェーンが生み出すメリットを知る
上記で述べたようにクロスチェーンのメリットは取引所を介さずに仮想通貨同士のやり取りが可能になること、また、取引所への手数料が削減できることなどがあります。
ここでは、そのようなメリットをさらに多方面から考察していきます。
クロスチェーンを使うことで得られるメリットとして以下のことが挙げられます。
- 情報や価値の送信にけっこうな手数料が掛かる
- セキュリティ上のリスクが増える
- コインを変換する際の手間が減る
- スケーラビリティ問題の解決
ビットコインやイーサリアムなどの異なる通貨を取引所を介さないで、信頼できる取引相手と直接取引が可能になります。
それにより、直接取引によってセキュリティー問題やスケーラビリティ問題の解消、そして取引の手数料が削減されます。
より安全かつ節約を意識した資産運用が可能になるクロスチェーンのように安全性の高いシステムが求められるでしょう。
クロスチェーンが生み出すデメリットを知る
クロスチェーンのデメリットは対応する仮想通貨がまだ少ないことです。現時点では対応する仮想通貨の種類が限られており、またそれゆえに送金速度も取引所に比べるとどうしても遅くなります。
ただし、こちらのデメリットはクロスチェーンの技術が磨かれることで、改善されることも期待できます。
クロスチェーンで注目すべき仮想通貨をチェックする
クロスチェーンに対応している仮想通貨は徐々に増えつつあります。
2017年9月にはビットコインとライトコインによるクロスチェーンが成立し、ユーザーが第三者を介さない取引を開始できるようになりました。
ビットコインを上回る決済速度が期待されているViacoinもクロスチェーンに対応するようになり、2018年1月にはモナコインもクロスチェーンが実施されています。
2018年11月時点ではクロスチェーンを実施した仮想通貨は少ないですが、実用例は確実に出ているので、今後の展開に期待できるでしょう。
クロスチェーンプラットフォームを特集する
さて、非中央集権をさらに前進させる期待のクロスチェーンはどのようなプラットフォームによって支えられるのかを見ていきます。
代表的なものとしては、Polkadot、Cosmosがあります。
両者ともトークンの価値だけでなく、スマートコントラクトに使われるトークン意外のデータも転送することに尽力しています。
つまり、チェーンA内でのスマートコントラクトの契約がチェーンBのスマートコントラクトの入力に使われるので、全てが自動的にスマートコントラクトで処理完了されます。
主な違いとしては、別々のブロックチェーンの仲介になるのがCosmos、独立したブロックチェーン同士を安全につなげるのがPolkadotです。
チェーンのつなぎ方とブロックチェーンの抱える問題に対してのアプローチが主な違いですが、比してCosmosはスケーラビリティ問題に大きなポテンシャルがあります。
また異なるブロックチェーンの接続を目指すWanChainも注目されています。
世界規模でクロスチェーンのプラットフォームが展開されており、
またクロスチェーンを実現させるためのアトミックスワップと呼ばれる技術も注目を集めるようになりました。
クロスチェーンを支えるアトミックスワップについて見る
アトミックスワップとは、取引所などの第三者が介さない形でブロックチェーンの仮想通貨を交換する技術です。
仮想通貨取引所を介さずに、コインのやりとりができることがクロスチェーンの利点の一つです。
ですが、仮想通貨保有者同士でコインの交換を行っても、片方から送られてこないケースが想定されます。
つまり、取引所の目を盗んでバックれようとする人がいるかもしれないということです。
そんな問題を解消するのがクロスチェーンに欠かせない技術、「アトミックスワップ」。
アトミックスワップは仲介者を必要とせず、また仮想通貨を持ち逃げされるトラブルを回避した上で取引が可能です。
仮想通貨の持ち逃げを防ぎ、そして迅速な取引を可能とするのがアトミックスワップです。アトミックスワップが広まれば、今後はより迅速な仮想通貨取引が可能となるでしょう。
クロスチェーンについて著名人たちは前向きな姿勢を示す
クロスチェーンに関連するニュースが報道される機会も増えており、著名人のコメントも増えています。
どのような考案を立てているのかも知っていきましょう。
イーサリアムの生みの親、Vitalik Buterin氏は語る
イーサリアムの生みの親であるVitalik Buterin氏は2018年5月に『SHARDING』の発表を行い、取引の処理能力が爆発的に向上することを語っています。
Sharding is coming.https://t.co/Aqo9MBiCj0 pic.twitter.com/FXEQeiKGDr
— Vitalik Non-giver of Ether (@VitalikButerin) 2018年4月30日
複数のネットワークコンピューターが取引にかかる負担が軽くなるので、取引の処理数を増やすことが可能です。結果、スケーラビリティ問題の解決にも役立ちます。
23歳という若さで仮想通貨イーサリアムを開発したVitalik Buterin氏だからこそ、ブロックチェーンに限らずクロスチェーンの技術の進歩にも力を入れています。
エンゲート株式会社の代表取締役社長、城戸幸一郎氏は語る
エンゲート株式会社の代表取締役社長の城戸幸一郎氏は、2018年10月に仮想通貨NEMのブロックチェーンを応用したギフティング・コミュニティの『エンゲート』のベータ版を発表しました。
NEMのブロックチェーン技術にも大いに期待しており、将来的にはクロスチェーンの移行も簡単に行えることにも期待しています。NEMも世界的に注目されている仮想通貨であり、将来的にはより大きな発展も期待できるでしょう。
Metronomeの開発者、Jeff Garzik氏は語る
Jeff Garzik氏はクロスチェーンが実施されている仮想通貨Metronomeの開発者であり、ブロックチェーンのみによる仮想通貨の移動をより確実にすることを目指しています。
BloombergでもMetronomに関するプロジェクトを発表しており、世界で始めてとなるクロスチェーンを採用した仮想通貨として注目されています。
長期的な稼働も視野に入れており、Metronomが発展することでビットコインやイーサリアムを始めとして、多種多様の仮想通貨とのやりとりが展開されていくでしょう。
ブロックチェーンを進化させるクロスチェーンは今後さらに発展する
クロスチェーンは日本の株式会社富士通研究所からも発表されており、国内でもより大きな発展が期待できます。
株式会社富士通研究所(注1)(以下、富士通研究所)は、異なる仮想通貨の交換や決済を簡単・安全に実行できるセキュリティ技術として「コネクションチェーン」を開発しました。ブロックチェーン同士を安全につなげるセキュリティ技術を開発
「コネクションチェーン」は、クロスチェーンの働きを持ち、個人や企業が仮想通貨を販売して資金を調達するICOや、仮想通貨の発行が今盛んになっていることを受けてさらなる安全性と汎用性を高める目的で開発されました。
また、DApps(ブロックチェーンを使ったアプリ)が増えている現状を考えると、「ブロックチェーン同士」の接続が重要になってくるのでクロスチェーンはますます需要が高まるでしょう。
実際に、Blocknetは今年5月12日にTwitterにてライトコイン(LTC)がBlocknetプロトコルで利用可能になることを発表しました。
つまり、Blocknetプロトコルはブロックチェーンのノードをつなぐ機能があることから、クロスチェーンDAppsの生成が可能になるということです。
現段階ではクロスチェーン取引の実用は少なく、普及には時間がかかるでしょう。
しかし取引所に依存しない多様な取引、また、利用用途に応じて資金を様々な仮想通貨を使用を可能にするクロスチェーンは今後さらなる広がりを見せると予想されます。
コメントを残す