仮想通貨が日本国内でもブームになった2017年。
投機目的が主たる理由ながら多くの人々が仮想通貨を所持することになりました。
しかし、この仮想通貨は銀行の既得権益を崩壊させる可能性もあります。
以前は、金融や経済を牽引する億万長者から見るビットコインの将来性への見解10選について、書きました。
そこで今回は銀行などの金融機関は仮想通貨をどう思っているのか迫っていきたいと思います。
目次
銀行などの金融機関関係者の仮想通貨に対するネガティブな意見
仮想通貨の人気は良いことばかりではない。
そう考える方々も少なからずいます。
様々な立場の人が仮想通貨に関して否定的な意見を述べていますので少し紹介します。
米大手銀JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は12日、仮想通貨ビットコインは「詐欺であり、崩壊する」と語った。
参照:https://jp.reuters.com/
こちらの意見は耳にした方もいるのではないでしょうか。
世界的規模の金融機関、JPモルガン・チェースのCEOの発言。
ちなみに、仮想通貨を詐欺と言ったことでビットコインの価格も下落しています。
発言を噛み砕いていくと、結局は仮想通貨を怪しいもの(出所がわからないもの)として捉えていることがうかがえます。
「ブロックチェーン技術は皆が期待を寄せる技術ですが、ビットコインがブロックチェーンを通貨へと応用した数少ない例の一つであることを覚えておく必要があります。他の例は基本的にネズミ講でしかないため、もしブロックチェーンを利用するのであれば搾取に使われないよう気をつけなければなりません。」
参照:http://coinpost.jp/
今度は世界総裁銀行のJim Yong kim氏(キム氏)の言葉です。
ブロックチェーンの技術には一定の評価をしているものの、そこから派生している仮想通貨には注意せよとの内容です。
また、仮想通貨の送金処理能力はアリババの処理能力と変わらないことにも言及し仮想通貨の必要性はないとも語りました。
「銀行の手数料は主に、振込手数料、各種ローンの利子、海外送金の手数料などが挙げられます。しかし、注目してほしいのは海外送金の手数料です。(中略)そのためなのか、仮想通貨のおかげで海外送金の手数料から得られる収益が激減するのではと、銀行関係者は危惧していると考えています。」
参照:https://cryptocurrency.theater/)
銀行が仮想通貨の登場で一番懸念しているのはこの内容ではないでしょうか。
仮想通貨であれば海外にも時間をかけずに、さらに手数料も安く送金できてしまいます。
もっと実用的になってしまうと銀行の収入源がなくなるわけですから良い顔ばかりしていられません。
「仮想通貨に総じて言えることは、ほぼ間違いなく悲惨な最後を迎えるということです。それがいつ、どのように起きるかはわかりませんが。」
参照:https://btcnews.jp/
投資をしている方なら誰もが知る、ウォーレン・バフェット氏も仮想通貨には懐疑的な意見を持っているようです。
ビットコインなど仮想通貨の送金システムは蜃気楼とも発言しています。
仮想通貨にはロングもショートもいずれのポジションも取らないと公言し、その理由を仮想通貨について知らないとも語っています。
何か根拠に基づいた理由ではないことが垣間見れます。
「今現在は主として日本人保有者が多いと聞いており、世界的にもっと一般的な通貨となるかは不安がある」「バブルのような気がする」と仮装通貨は一時的なものでは、と不安を露にする声も。
(https://www.excite.co.jp/News/smadan/E1514360938326/)
こちらの意見は不動産投資をしている投資家の声です。
例えば、ビットコインに関して言うと2017年の初め頃は中国の保有率が非常に高くなっていました。
しかし、中国では規制も入り衰退していきます。
変わって、世界一のビットコイン保有率を誇るようになったのが日本です。
取引量でも日本が世界一を誇っています。
ですから、世界中で誰もが保有しているとは言い難く、一般的になるかは不透明です。不動産投資家はその辺りに目をつけているわけです。
以上が仮想通貨に否定的な意見の一例です。仮想通貨初心者であれば、バフェット氏のようにしっかりとした根拠がなくても影響力のある人物が発する言葉も気になってしまうものです。
銀行などの金融機関関係者の仮想通貨に対するポジティブな意見
否定的な意見とは裏腹に金融機関関係者でも仮想通貨に関してポジティブな意見もあります。
カリー氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「これだけの敵意が向けられる理由が分からない」と述べ、証券のような法的責任が本質的に付随していないという意味で、ビットコインは「金と大した違いはない」と発言した。
参照:https://www.bloomberg.co.jp/
投資銀行業務や証券業務を行なっているゴールドマン・サックス・グループ。
商品調査グローバル責任者のカリー氏はビットコイン支持の意見を打ち出しています。投資家が不安視するボラティリティーは流通性がまだまだ足りていない点を金(ゴールド)と類似していると指摘。敵意むき出しにする必要はないとの立場です。
会計事務所、コンサルティング会社のプライスウォーターハウスクーパース(PwC)は11月30日(現地時間)、顧客からのビットコインによる支払いを受け入れたことを明かした。同社は、ウォール街の金融機関よりもデジタル通貨により強い関心を示している。
参照;https://www.businessinsider.jp/
こちらはすでに仮想通貨(ビットコイン)での決済を取り入れた会計事務所の事例です。
PwCのアジア・パシフィックの会長であるレイマンド・チャオ氏は新しい技術を積極的に導入しているか示すものとして、ビットコインでの決済を導入したと話してもいます。
「暗号通貨は、インターネットと同じくらい世界を大きく変えるだろう。各国の中央銀行や従来の銀行業が取って代わられ、国家が独占している通貨システムに対して挑戦する可能性を切り開くものとなる」
参照;https://coin-otaku.com/
IMF(国際通貨基金)の専務理事、クリスティーヌ・ラガルド氏が発した言葉です。
仮想通貨は銀行業務に取って代わると発言し注目を集めました。
銀行の中央集権管理体制に対しての批判とも考えられ誰もコントロールできない仮想通貨の価値を認めていないようです。
政治と同様、民主主義的な通貨を普及させたいのでしょう。
銀行が従来担っていた預金業務や為替業務は、ブロックチェーンという技術により銀行のような特定の管理者を必要としなくなりました。
参照:http://businessblockchain.org/
ブロックチェーン入門の著者である森川夢佑斗氏の言葉です。
法定通貨を誰かに送金するとき、銀行が仲介者となります。
しかし、仮想通貨はユーザー同士の取引が可能。それはブロックチェーンという技術があるためです。
管理者を通さないため、仮想通貨は手軽なやりとりが可能になるのです。
大手銀行の仮想通貨参入まとめ
仮想通貨に関して否定的な意見を持ちそうな銀行ですが、既に仮想通貨に参入している大手銀行もあります。
事例をあげて紹介して行きます。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、独自に開発中の仮想通貨「MUFGコイン」を発行するため、新たな取引所を開設する方針を決めた。
参照:https://mainichi.jp/
以前から独自の仮想通貨を開発していた三菱UFJ。
その発行にあたり取引所を開設すると2018年1月に発表しました。
MUFGコインは、まだ、自社内での運用にとどめていますが取引所の開設により一層の注目が集まるでしょう。
当初は固定相場の1円でリリースを予定していました。
しかし、法律上電子マネーの扱いになり、送金制限も発生することから変動相場とし、取引所での供給に踏み出すようです。
ちなみに、MUFGコインは専用のスマホアプリでユーザー同士の送金や対応店での決済に使うなど日常生活での利用を目的にしています。
みずほフィナンシャルグループ(FG)はデジタル通貨「Jコイン」を2018年に発行する。来年3月までに実証実験を始める。
参照:https://www.nikkei.com/
今度はみずほフィナンシャルグループの仮想通貨参入発表です。
デジタル通貨と表記されていますが仮想通貨の呼び名の一種です。
Jコインの構想はみずほだけではなくゆうちょ銀行や地銀ともタッグを組み開発していく構想です。
円と同額で交換(等価交換)でき、決済手段やユーザー同士の送金などに使えるようになります。
取引データが蓄積されるため企業や銀行間での商品開発やそのほか様々な戦略に役立てられます。
SBIホールディングスは独自の仮想通貨「Sコイン」を飲食店や小売店などでの消費者の決済手段として普及を目指しており、独自の決済基盤システムを開発。
参照;http://www.oshiete-bitcoin-check.com/
インターネットバンクで有名なSBIも仮想通貨に参入しています。
独自の仮想通貨を開発し、2016年11月1日には仮想通貨取引所(販売所)も設立を発表しています。今の所、一部の顧客の間でのみ運用となっています。また、取引所は2018年2月に一般の顧客向けのサービス開始を延期すると発表しています。
Sコインは他の銀行が発行する仮想通貨同様、決済方法やユーザー同士の取引に対応したコインになります。
以上が銀行3社の仮想通貨参入事例です。既存の仮想通貨に対抗すべく、独自のコインを開発しサービス強化を目指しているのでしょう。
機能が似通っていますのでどれだけ優位性や独自性を出せるかが今後の見どころではないでしょうか。
金融機関とリップルの提携
国内の大手銀行は独自の仮想通貨開発に着手し始めています。
その他、既存の仮想通貨の「リップル」には多くの銀行が注目し、提携を進めています。
各国の中央銀行では
- イングランド銀行
- タイ銀行
- インドネシア銀行
- サウジアラビア金融局
etc…
海外の銀行では仮想通貨に否定的な意見が目立ったJPモルガンも提携しています。
アメリカでいうと大規模な銀行のバンクオブアメリカなども提携しています。
海外の銀行の総数で見てみると50から60くらいはリップルと提携しています。
国内銀行の提携先を見てみると、大手銀行をはじめ地方銀行も続々と提携を進めています。
60行ほどは提携しており、提携していない銀行はないくらいの印象です。
- みずほ
- ゆうちょ
- 三菱東京UFJ
- りそな
リップルとこれだけ多くの銀行が提携しているのは、リップルが国際送金に特化している仮想通貨だからでしょう。
リップルのネットワークを使えば海外送金も瞬時に時間を問わず可能です。
それらのメリットに気づいて銀行が続々と提携しているわけです。
結論、銀行は仮想通貨をどう考えているのか?
仮想通貨に関して銀行は自らの収入源を断たれる可能性もあり否定的な意見もあります。
しかし、ブロックチェーン技術やリップルのネットワークには理解を示し導入姿勢もみせています。
これから、仮想通貨と銀行、金融機関はどのように展開するのか見守りましょう。
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