顔認証AIトップ企業「センスタイム」。個人情報搾取とテクノロジー発展のせめぎ合い



皆さんは生体認証と聞いてどんなものを思い浮かべますか?
一番身近なのは指紋認証ですが、他にも虹彩認証、静脈認証、顔認証などがあります。

生体認証とは、人間の身体的特徴(生体器官)や行動的特徴(癖)の情報を用いて行う個人認証の技術やプロセスのことを指します。
このように私たちが普段使いするような技術は氷山の一角にすぎません。

その一例として、最近の中国の顔認証システムや生体認証システムの驚くべき成長があります。
中国の巨人と呼ばれるアリババもその1つです。
アリババのアップルを超える技術力についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

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大量のディープラーニングを経てその正確さは日に日に増しているのです。
しかし、その裏には大量の個人情報を企業がどんどん政府や顔認証システムの企業へと提供しているからという事実があります。
個人情報などの情報が特定の企業などに集まり、その企業が情報を活用して権力を持っている状態を、情報の集約が起きている状態と言います。

テクノロジーの発展のためには情報の集約は必要です。

今回はそのジレンマをどう超えていくのか、どのようにして個人が自分の個人情報を開示するかしないか選べる世の中にするのか、考察していきます。

顔認証システムが広く認知され始めている

2018年後半からよくニュースでも耳にするようになり、今や違和感なく日常に溶け込み始めた顔認証システム。
顔認証システムとはどんなものなのか、今注目の企業について解説します。

生体認証の1つ、「Face ID」で知られる顔認証システムとは何か

皆さん、指紋認証はすでに毎日利用するほどあって当たり前の存在になっていますが、顔認証は使いますか?
また、いつどこで使われているかご存知でしょうか?

身近なもので言えば、iPhoneXのFace IDがあります。
端末を見つめるだけで鍵が開くのはとても便利ですよね。

顔認証システム
普段人間が相手を判別する方法をシステムで実現した最も身近な認証方式のこと。

特別な操作は必要なく、一般的なウェブカメラや監視カメラでも使うことができます。
また、照合時に顔画像ログを残しておいたり、既存の顔写真を登録しておくことで、専用装置がなくとも高い不正抑止効果があります。

こういった面で導入しやすく、利便性に優れており、最近は積極的にいろんな場所で取り入れられています。
たとえば、カジノ、入国審査、ATMなどのセキュリティーや、失踪事件などの犯罪捜査、チケットの転売防止、万引き防止などがあります。
意外とすでに取り入れられていることがわかりますね。

そういった顔認証を行う企業はどんな企業はあるのでしょうか。
最近ニュースでよく聞く企業について紹介します。

顔認証AIの中国トップ企業、センスタイムを紹介する

皆さんはセンスタイム(商湯科技、SenseTime)という企業をご存知でしょうか?
この企業は2014年に設立し、香港に本拠地を置く、ディープラーニング(深層学習)を活用した人工知能(AI)と顔認識技術の研究と開発を手がけるベンチャー企業です。

すでにあの有名な中国企業アリババグループも投資しており、2018年末までに合計16億ドル以上の資金を調達しました。
センスタイムの企業価値は45億ドル(約5000億円)と評価されています。
日本市場では自動車メーカーのホンダと協業し、自動運転車用のテクノロジーを開発をしています。

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センスタイムの強みは人や物などの移動体を認識する技術です。
顔や画像を膨大な規模で分析しており、中国の広大な監視システムに貢献しています。

中国では今や約1億7600万台の監視カメラが張り巡らされていると言われています。
多くの中国人の人々はセンスタイムという企業を知らないかもしれませんが、センスタイムは毎日、リアルタイムで人々の顔を認証しています。

政府の警備部門が持つ大量のデータをAIプラットフォームに提供することで、センスタイムはより正確に顔を解析できるようになり、政府はより犯罪防止に顔認証を活用できるという供給と需要の関係が完璧に成り立っています。

このようにセンスタイムは他国ではできないほどの詳細な追跡を行うために、顔認識技術を利用した実験を行なっているのです。

しかし、私たち日本人の感覚からすると、防犯のためと言われても常に顔認証をされて行動を追跡されるのは決して気持ちのいいことではありません。
テクノロジーの進化のためと言われても、個人情報が勝手に集められ、特定の人の権限によって利用されているのです。

私たちが本来目指すべき社会は、自分で個人情報の価値を決めて、開示するかしないか選べる社会です。
テクノロジーの発展と、個人が自分の情報の価値を決められる社会の両方の実現はできないのでしょうか。

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個人に価値が帰属する社会とテクノロジーの発展はどうやったら両方を得られるのか

テクノロジーの発展も、個人が個人情報の価値を決められる社会もどちらも捨てたくないのが本音です。
どうすれば両方を叶えられるのでしょうか。

テクノロジーの発展には情報の集約は必要である

センスタイムだけでなく、GAFAなども現在大量の個人情報を蓄えています。
彼らはその情報をもとに利益を上げ、それとともにテクノロジーの進化を巻き起こしてきました。

現在の世の中では、個人情報を集約して活用することによってテクノロジーを発展させる道しかないのが現状です。

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生体認証などのテクノロジーが発展して便利になることで新たな未来が見えてくる

情報の集約によるテクノロジーの発展は、より便利でスマートな生活を私たちにもたらしてくれます。
そうなった時、私たちは2つの選択肢を得ます。
1つは、自分の個人情報を対価により便利でスマートな生活を得るというものです。
冷蔵庫を例に考えてみましょう。
冷蔵庫の中は、その家の人が何を食べているのかわかる大事な個人情報の塊です。
しかし、その個人情報をAmazonやUber eatsに提供すれば、冷蔵庫の中身が減ってきたら近くのスーパーなどから自動的に配達されるという便利なサービスを得ることができます。

そして2つ目は、新たな便利さを提供する企業に個人情報を提供せず、既存のものを利用しながら生きていくというものです。
これは、上のような冷蔵庫サービスができた時、自分で個人情報を提供しないと決めれば、今まで通り自分で買い物に行き、例倉庫に補充する生活を送ることになります。

このように私たちが自分の個人情報を提供するかしないかを決められる状況こそ、個人に価値が帰属した社会と言えるのではないでしょうか。
上に記述したサービスの他の例をこちらの記事で詳しく解説しています。

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トークンエコノミー導入で、個人情報に価値がつく未来が来る

個人情報の価値を個人が決められるようになリ始めた時、さらに必要となるのがトークンエコノミーだと私たちは考えます。
トークンエコノミーは、トークンという法定通貨ではない尺度で物事の価値を測る経済のことを言います。
トークンは、みんなでそのトークンに価値があるのかないのか判断します。
このようにみんなで価値を決め、少額でもやりとりできる経済の仕組みがトークンエコノミーです。

今の世の中では、少額の取引はあまり積極的に行われませんが、トークンエコノミーが普及すれば、個人情報を開示したインセンティブとして少額のトークンを受け取ることができます。
そうなれば、より個人情報に価値がつき対価を発生させながら交換することが当たり前になっていくでしょう。

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トークンエコノミーは生体認証に価値をより生み出す

現在、センスタイムやGAFAのような企業に情報が集まっているのが事実です。
しかしこのおかげで大量の情報が集まり、劇的にディープラーニングやテクノロジーが進化しています。
この現象は私たちが目指す「個人に価値が帰属する社会」にたどり着くまでのステップとして必要なものです。

テクノロジーが発展して便利になることでワンランク上の生活ができるようになり、個人情報を提供して、その生活を得たいかを選べるようになるのです。
今は個人情報を提供してもインセンティブは発生しませんが、トークンエコノミーがもっと普及することで、個人に価値が帰属する社会の実現により近づけるでしょう。

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