仮想通貨とIoTで車産業に革新をおこす「ドイツ」の仮想通貨事情【G20】



ビットコイン(Bitcoin/BTC)の論文が世界で初めて発表されてから既に10年の時間が経過しています。

日本やアメリカを始めとして、仮想通貨は多くの国で利用されており、決済に対応する店舗も増えています。新しい投資の手段ではなく、これからの未来を担う技術としても浸透しつつあります。

もちろん、法整備も必要となっていて、G20の参加国同士による話し合いも欠かせません仮想通貨は世界規模で流通していますが、G20参加国の対応はそれぞれ異なっています。

今回はドイツが行っている仮想通貨の対応や、ドイツ国内で仮想通貨がどれだけ普及しているかを紹介していきます。ドイツでも仮想通貨は支持されており、取引所の立ち上げについても話し合われています。

ドイツの概要を解説する

ドイツ連邦共和国は西ヨーロッパに位置する国であり、人口は約8200万人を誇ります。

ドイツは約3兆ドル(日本円で約30兆円)ものGDPを誇り、アメリカや中国に並ぶほどの経済大国であり、EUの加盟国の中でもGDPはトップです。自動車や機械、または電化製品などの工業がドイツ経済を支えており、自動車はポルシェやフォルクスワーゲンなどのブランドが世界的な支持を得ています。

G20が設立されるよりも以前、1975年にG5が結成された頃よりドイツは加盟しています参加してからの歴史と国の生産量があるおかげで、ドイツはG20でも重要な立ち位置です。

ドイツでの仮想通貨の認知度と保有率はどれくらいか

2018年5月にはダリア・リサーチが仮想通貨が流通している国々を対象に、仮想通貨の保有状況に関するアンケートを行いました。

調査結果では、認知度に関しては日本が世界で二位を誇る83%の割合を示し、ドイツでは61%になります。また、保有率も日本が世界でトップとなる11%を誇り、ドイツは6%です。

人数に換算すれば日本は約1100万であり、ドイツは約500万人となります。数だけで言えば日本の方が勝りますが、国内での普及に関してはドイツは日本に劣りません。

ドイツ国内では仮想通貨の決済導入が進み、観光や公共料金の支払いにも利用されています。日本よりも早くから仮想通貨による公共料金支払いを行っており、普及の速度はドイツが勝ります。

ドイツ 日本
認知度 61% 83%
保有率 6% 11%
保有人数 約5300万人 約1000万人

参照:How many people actually own cryptocurrency?−Medium

ドイツで人気の仮想通貨とは何か

ドイツで最大の規模を誇る仮想通貨取引所のBitcoin.deでは、2017年9月にイーサリアム(Ethereum/ETH)の導入を発表しました。ビットコインだけでなく、イーサリアムの取引も広まれば国内だけでなく海外からも利用者が増えます(参照:Germany’s Biggest Bitcoin Marketplace to Integrate Ethereum TradingーCCN)。

2018年3月にはドイツの観光局がサービスの決済対応にビットコインの追加を発表しました参照:Deutsche Zentrale für Tourismus akzeptiert Bitcoin-ZahlungenーCOINTELEGRAPH)。

観光局のGNTBはブロックチェーンを業務に取り入れることに関心があり、国際決済での利用も視野に入れています。国際的な企業として、観光業界のリーダーになることも目標にしています。

ドイツ国内では仮想通貨の普及が進んでおり、特にビットコインとイーサリアムの2種類が高い支持を得ています。今後は他の仮想通貨の普及も期待できます。

ドイツでの仮想通貨の歴史を読み解く

ドイツでは国家として仮想通貨を認める段階に入っています。2018年の時点では高い支持を得ていますが、初めから仮想通貨が受け入られていたわけではありません。

仮想通貨は少しずつ実績を積み重ねてきたからこそ、今日の信用と評価があります。ドイツ国内ではどんなきっかけで仮想通貨が人気になったのかを紹介します。

ドイツで仮想通貨が人気になったきっかけと時期はいつか

2013年8月、ドイツの財務省はビットコインでの納税や決済の使用を認めました参照:Bitcoin recognized by Germany as ‘private money’ーCNBC

ドイツの銀行規則の元では、仮想通貨は金融商品と認められています。
また、ドイツ連邦議会財務委員会のFrank Schaeffler氏はビットコイン取引における税率の設定も行っていると述べており、2013年より仮想通貨の利益の課税も検討しています。

ドイツでは2016年9月よりビットコインによる公共料金の支払いが可能となりました(参照:Neuer Service: enercity-Kunden können mit Bitcoin zahlenーenercity)。

ハノーファーのエネルギー会社「enercity」が世界で初めて、仮想通貨での公共料金の支払いに対応したことになり、同社は仮想通貨の広がりに大きな可能性を感じているからこそ、ビットコインの決済を採用しました。

政府もビットコインを認めており、またビットコインによる公共料金の支払いも可能となりました。財務省による決済導入が2013年に発表されてから、仮想通貨の人気が上昇しています。

ドイツでの仮想通貨に関するニュースを読み解く

2018年3月、ドイツではビットコインでコーヒーを購入する際、決済に対する課税は行わないことを発表しました。

仮想通貨を利用した決済を行う際、課税の義務が生じます。しかしドイツはコーヒーの決済を例外にすることで、コーヒーとビットコインの普及を促進させる効果が期待されます。仮想通貨の普及には、まずは身近な存在にすることが大切です。

また、同時期には仮想通貨の課税を免除しており、マイニングによる報酬でも非課税になることが発表されています(参照:Germany Treads Lightly on Bitcoin TaxationーBitcoin.com)。

ドイツは仮想通貨への参入のハードルを下げるための取り組みを積極的に行っています。仮想通貨も非課税に設定して、ルールを緩くしているおかげでビットコインの普及と消費にも期待されています。

2018年6月、ドイツ銀行傘下のポストバンクが行った調査結果では、国民のほとんどが仮想通貨に対して強い関心を持っていることを発表しています(参照:German Bank Survey Shows High Percentage of Cryptocurrency Awareness in the CountryーEthereum World News)。

仮想通貨は投資で得られる利益と、全く新しい金融システムが支持の要因になっていることを、ポストバンクのデジタル部門責任者であるThomas Mangel氏は語ります。また、仮想通貨市場に飛び込む前に、仮想通貨投資に設定した税率の影響にも教育する必要があると述べています。
仮想通貨は投資の手段と捉えるには、大きなリスクと隣り合わせになっていることも考えるべきです。仮想通貨のリスクも把握することが大事と、Thomas Mangel氏は語ります。

2018年9月、ドイツを拠点とするブロックチェーンベースの銀行であるBitwalaが、ビットコインとユーロを一つの口座で管理可能となる環境の提供を発表しました(参照:This German Fintech Startup Will Let You Hold Bitcoin in Your Bank AccountーCCN)。
Bitwalaの新しいプラットフォームは2018年11月より稼働を予定しており、既に3万人ものユーザーが登録を行っています。

Bitwalaの口座を利用した給与支払いや家賃の支払いだけでなく、ビットコイン専用の銀行口座で迅速な仮想通貨の取引も可能となります。

時期 出来事
2013年8月 財務省はビットコインによる決済及び納税を許可
2016年9月 enercity社が公共料金の支払いにビットコインを許可
2017年9月 Bitcoin.deでイーサリアムの導入を発表
2018年3月 観光局がサービスの決済にビットコインを導入
2018年3月 ビットコインによるコーヒー購入の際の課税がなくなる
2018年3月 マイニングなどにかかる仮想通貨による課税をなくす
2018年6月 国民の大半が仮想通貨に対して関心を強めている事実を、ホストバンクが発表
2018年9月 Bitwalaがユーロとビットコインを同時に管理可能となる口座を提供

各機関の仮想通貨への姿勢と見解を読み解く

ドイツでは仮想通貨に関するポジティブなニュースが頻繁に取り上げられており、国民が仮想通貨にふれる機会が増えています。

今後も仮想通貨の普及が更に進むことが期待されます。そこで、ドイツ政府とドイツ銀行は仮想通貨に対してどのような姿勢で向き合い、どんな法整備を用意しているのか。

また、ドイツの企業は仮想通貨を利用してどんなビジネスを行っているのか。それぞれの姿勢を紹介します。

ドイツ政府の仮想通貨への姿勢と見解を読み解く

ドイツ政府は仮想通貨に対する強い理解を示しており、仮想通貨に対して非課税になっています。観光局でも仮想通貨決済が導入されています。

ただし、欧州経済研究センターの調査では、2020年までに仮想通貨が大きく普及することは難しいと発表しています。2018年の段階ではコーヒーなどの支払いとしては普及していますが、自動車などの大きな買い物の決済には利用できません。

政府も仮想通貨に対しては好意的な姿勢を見せていますが、慎重な対応が求められています。まずは銀行や企業を始めとして、国民が正しい金融リテラシーを得ることが必要です。

ドイツの銀行の仮想通貨への姿勢と見解を読み解く

2018年1月にドイツ銀行の最高投資の責任者であるMarkus Mueller氏は仮想通貨投資に助言しないことを発表しました(参照:Crypto Investors Risk ‘Total Loss,’ Deutsche WarnsーBloomberg)。
ブルームバーグ・ニュースのインタビューで、「仮想通貨には損失のリスクが存在しており、将来的に資産として確立させるためには多くの規制と安全性が必要」と語っております。

2018年7月、ドイツ銀行はブロックチェーンと仮想通貨業界に関わる顧客に向けた新しいサービスプラン「Blockchain Factory」を発表しました(参照:German Bank Offers Special Accounts to Cryptocurrency FirmsーBitcoin.com)。

「Blockchain Factory」は仮想通貨及びブロックチェーンを扱う企業に財務管理サービスを提供し、銀行が仮想通貨ビジネスを後押しする要因になります。

ドイツ銀行の取り組みによって、仮想通貨市場に関わる人にとって売買がより安全かつ容易になります。

ドイツ銀行も仮想通貨を支持していますが、投資による損失のリスクを懸念していることが現状です。

ドイツの企業の仮想通貨への姿勢と見解を読み解く

2018年3月、ドイツで2015年に生まれた仮想通貨のIOTAでビジネスを行うオフィスが、東京やトロントを始めとした世界の重要都市に設立が発表されました(参照:22-Year-Old Behind $5 Billion Crypto Is Just Getting StartedーBloomberg)。

IOTAはIOT家電の決済に役立つ仮想通貨であり、フォルクスワーゲングループの最高責任者であるDominik Schiener氏を主導として作られました。IOTAはドイツのみの仮想通貨であるというイメージを変えるため、Dominik Schiener氏は世界に向けたIOTA進出を目指しています。

2018年3月の時点でIOTAはドイツのハイテク企業であるMatch Xを始めとして、多くの企業との提携を行っており、2018年の初めにはIOTA財団は台湾の台北市とも提携しています(参照:German University RWTH Plans to Implement IOTA for Industrial Use CasesーCRYPTOSLATE)。

同時期にはドイツのメルセデス・ベンツの製造を手掛けるDaimler AG社が独自の仮想通貨であるMobiCoinの発表をしています(参照:Auto Giant Behind Mercedes-Benz Launches Crypto Coin To Reward Eco-Friendly DrivingーCOINTELEGRAPH)。

MobiCoinのプロジェクトは2018年2月より始まっており、500人もの優良ドライバーにMobiCoinが渡されました。
ブロックチェーンの技術は自動運転技術にも役立ち、問題が起こった際に情報を外部と共有することが可能です。

IOT化は自動車にも導入される動きがあり、今後はスマートフォンを利用した運転も期待されています。

IOTAとMobiCoinの登場によって、ドイツは世界的な規模で仮想通貨の技術が評価されるようになりました。ドイツ企業も仮想通貨には大きな期待を抱いているので、発展させるために様々な取組を進めています。

ドイツでの仮想通貨の将来性とドイツが世界に与えるインパクトを考察する

ドイツでは国全体で仮想通貨が広まりつつあり、世界からも仮想通貨の話題で注目されるようになりました。

ドイツで仮想通貨はどれだけ将来性があるか、そして仮想通貨が更に発展するようになれば世界にどんなインパクトを与えるかを紹介していきます。

ドイツでの仮想通貨の将来性を考察する

ドイツ国内では仮想通貨の課税が他国に比べて緩く、公共料金や観光局のサービスの支払い、コーヒーの決済にも仮想通貨が導入されています。

ドイツ銀行も仮想通貨のリスク自体は警戒していますが、仮想通貨とブロックチェーンに携わる企業をサポートするサービスも発表しています。今後、仮想通貨の安全性が保障されればサポートの発展も期待できます。

生活の一部として仮想通貨が浸透するには時間が必要ですが、仮想通貨決済は確実に進んでいます。行政や金融企業でも仮想通貨とブロックチェーンが導入されており、現在はドイツ国内で仮想通貨を普及させる環境を整えている段階と考えましょう。

既にIOTAやMobiCoinの発行も行われているので、自動車と仮想通貨が結び付く将来も近いです。公共料金だけでなく、自動車に関係する決済でも仮想通貨が導入される将来も訪れるでしょう。

ドイツでの仮想通貨の発展が与える世界へのインパクトを考察する

ドイツではIOTAの登場によって大きな注目を集めて、既に台湾の台北市でも導入されています。また、自動車と連動したMobiCoinの存在も世界に大きなインパクトを与えました。

2018年9月にはドイツのポルシェが1億5000万ユーロ(日本円にして約200億円)のブロックチェーンスタートアップへの出資を発表しました(参照:Porsche increases investment in start-ups by EUR 150 millionーPORSCHE)。
ポルシェほどの世界的な人気を誇る大手企業もブロックチェーンに対して高い関心を持っています。

ドイツは車に関係する業界が仮想通貨に対して強い関心を持っています。ドイツで仮想通貨が発展することで、ドイツ国内に限らず世界の仮想通貨や交通機関が大きく発達するほどのインパクトも与えられます。

ドイツでは車の技術だけでなく、銀行口座やサービス決済にも仮想通貨が密接な関わりを持つようになり、世界にとって仮想通貨普及のモデルとなりつつあります。

ドイツの仮想通貨事情をまとめる

ドイツ国内では仮想通貨に関する規制は他国に比べて緩く、税率も非常に低く設定されています。サービスの決済にもビットコインが導入されており、イーサリアムの普及も進みつつあります。

ドイツで誕生した仮想通貨IOTAは、わずか3年という時間で世界的な支持を得られるようになり、ドイツは仮想通貨の技術も他国に比べてリードしつつあります。IOTAが台湾で成功すれば、他国でも提携されるケースが増えるでしょう。

ドイツは産業だけでなく、仮想通貨の技術でも優れた国家になろうとしています。仮想通貨のことを知るのであれば、ドイツの今後には目が離せなくなります。ドイツの状況を知ることで、仮想通貨の進化もリアルタイムで目にすることができます。

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