【G20】世界No.1の人口数「中国」が与える仮想通貨への今後のインパクトと将来性に迫る!



仮想通貨は世界的な規模で注目を集めるようになり、G20で議題が上がるほどになりました。
日本やアメリカはもちろんのこと、中国でも仮想通貨の決済が広まるようになり、もはやただの金融商品ではなくなっています。

G20参加国は仮想通貨に対する姿勢が異なっており、仮想通貨への評価は賛否両論です。

中国は2017年に仮想通貨の取引やICOの規制を行いましたが、キャッシュレス社会が進む影響によって仮想通貨の勢いは簡単に止めることができません。

現在、中国政府は仮想通貨に対して規制の動きを見せています。

ここで、中国における仮想通貨の歴史について振り返りながら、中国社会では仮想通貨に対してどんな印象を抱いているのかを紹介していきます。

中国の概要を解説する

中華人民共和国の略称が中国であり、幅広い草原や砂漠、そして14㎞を上回る規模の海岸線を誇る東アジアの国です。

2016年の時点で人口は13億人を超えており、2012年以降に著しい経済成長を見せています。

中国は世界の工場とも呼ばれており、低賃金の労働コストで大量の商品を輸出することで、アメリカの次に大きな規模を誇る消費大国にも成長しました。
中国では製造業の材料が豊富に取れることも大きな特徴です。

1999年よりG20に参加しており、国土と生産量によって大きな存在感を放っています。
2018年の7月ではG20にて仮想通貨に関する議論が行われており、他国はある程度の規制に留めていたことに対して、中国は徹底した規制の姿勢を見せていました。

仮想通貨の技術は期待されていることから、規制に反対する声も多数あがっているので、他国との関係性を慎重に考えなければいけない時期に入っています。

中国での仮想通貨の認知度と保有率はどれくらいか

中国では仮想通貨に対する規制が強いですが、規制の一方で仮想通貨28種の格付け分析を行っています。

格付け分析とは、中国のCCID(情報産業発展センター)の研究員がビットコイン(Bitcoin/BTC)やイーサリアム(Ethereum/ETH)などの28種類の仮想通貨を分析して、仮想通貨の情報を発表する取り組みです(参照:Chinese Researchers Create Index to Rank Blockchain Projects−CCN)。

中国では政府自らが仮想通貨やブロックチェーンに対して高い関心を見せています。
しかし、仮想通貨が悪質なマネーロンダリングの標的にされたり、仮想通貨自体が特定の国家で保障されていない通貨であるため、利用には厳しい規制を設けています。

そのため、国民の保有率はわずか3%に留まっているのが現状です。

しかし人数にすれば4000万人の規模を誇るので、仮想通貨を保有している人口数としては圧倒的です。

日本以上に仮想通貨に対する理解が深いですが、強い警戒を見せていることも事実です。
法整備と仮想通貨の技術を発展させることが現状の課題になります。

日本でも仮想通貨の保有率と認知度は上がりつつありますが、ドイツの世界市場調査の企業であるダリア・リサーチ(Dalia Research)の調査では、日本人の仮想通貨に対する購買意欲は低いと発表しています(参照:How many people actually own cryptocurrency?−Medium)。

一方で日本の保有率は世界最高規模の11%を誇っており、今後の購入意欲の向上に期待できます。

中国 日本
認知度 政府自らが強い関心を示す 徐々に向上が期待される
保有率 3% 11%
保有人数 約4000万人 約1000万人

参照:How many people actually own cryptocurrency?−Medium

中国で人気の仮想通貨は何か

2018年5月に中国政府が発表した仮想通貨の格付け分析では、トップにイーサリアムが位置するようになり、次にスチーム(Steem/STEEM)やリスク(Lisk/LSK)、ネオ(NEO/NEO)、コモド(Komodo/KMD)の順番でランクインしています(参照:工信部赛迪研究院发布全球公有链技术评估指数−中国电子信息产业网)。

ビットコインは13位と、知名度とは裏腹に順位は中堅です。

イーサリアムは分散型アプリケーションのプラットフォームになることで、中国はもちろんのこと世界でも大きな支持を得ています。

スチームはブロックチェーンを利用したSNSの環境となる仮想通貨であり、コンテンツを投下し続けることで報酬が得られます。

リスクはイーサリアムと同じ特徴を持つ仮想通貨であり、イーサリアム以上の送金処理速度を誇ります。

格付け分析で上位にランクインした仮想通貨の特徴を調べてみれば、人気になった理由も理解できます。

順位 仮想通貨
1位 イーサリアム(Ethereum/ETH)
2位 スチーム(Steem/STEEM)
3位 リスク(Lisk/LSK)
4位 ネオ(NEO/NEO)
5位 コモド(Komodo/KMD)
6位 ステラ(Stellar/XLM)
7位 カルダノ(Cardano/ADA)
8位 アイオータ(IOTA/MIOTA)
9位 モネロ(Monero/XMR)
10位 ストラティス(Stratis/STRAT)
11位 クァンタム(Quantum/QTUM)
12位 ビットシェアーズ(Bitshares/BTS)
13位 ビットコイン(Bitcoin/BTC)

参照:工信部赛迪研究院发布全球公有链技术评估指数−中国电子信息产业网

中国での仮想通貨の歴史を解説する

仮想通貨が中国で流通するようになった歴史を紹介します。

まず、世界で初めて仮想通貨ビットコインが誕生した2009年から、少しずつ世界で仮想通貨決済が広まるようになりました。
普及に伴って時価総額が膨れ上がり、イーサリアムやリップル(Ripple/XRP)などの仮想通貨が開発されました。

中国でも初めはビットコインによる取引が行われていましたが、2013年12月より金融機関がビットコインの取扱を規制するようになりました。
その影響でビットコインの相場が11万円から8万円規模にまで下落しています。

仮想通貨が特定の国家で流通すると、国の貨幣の価値が下がってしまい国民も海外に流出する恐れもあります。

国力の低下を避けるために、中国はビットコインの規制を行いました。

しかし、規制の一方で仮想通貨の技術を認めていることも事実です。
仮想通貨による詐欺の横行に対策を立てることが優先されます。

中国で仮想通貨が人気になったきっかけと時期はあるのか

中華系の仮想通貨取引所のHuobi(フォビ)が2013年9月に創業されました。
さらに同年にはアメリカの投資家より多額の融資を受け、仮想通貨取引所OKCoin(オーケーコイン)が設立されました。

2017年の7月には上海で仮想通貨取引所Binance(バイナンス)が設立され、仮想通貨の流通は5年以上続いています。

中国発の仮想通貨取引所が2013年にいち早くできたことで、中国国内で仮想通貨を買うことが簡単にできるようになりました。

中国政府は仮想通貨を規制していますが、ブロックチェーンの技術を期待しており、2018年3月には国をあげたプロジェクトも発表しています参照:区块链技术国家标准将制定 业内:安全性须高度重视−新浪首页)。

中国ではキャッシュレス社会に向けた取り組みが盛んです。

キャッシュレス化の一環としてビットコインの決済も進みますが、仮想通貨の普及には課題が多いです。
ICOの規制が緩和されれば、中国国内でも仮想通貨が更に流通していきます。

中国での仮想通貨に関するニュースをまとめてみた

2017年9月にICO(仮想通貨による資金調達)の規制がかかっています(参照:中国人民银行)。

中国国内での異様な投資や詐欺が繰り返されたことが、規制の大きな原因です。

そこで中国は2017年10月、仮想通貨取引所に対してライセンス制を導入して、審査にクリアした取引所を管理下に置く条件で運用を認めました参照:China Will Likely Resume Cryptocurrency Trading by Licensing Bitcoin Exchanges-CCN)。

政府だけでなく、PBoC(中国人民銀行)でもブロックチェーンの活用には好意的な姿勢を見せていますが、現段階では取引所のライセンス化などによる規制の対象も見せています。
2018年6月にはPBoCは仮想通貨ウォレットの特許を出願しており、実現されたウォレットが普及すれば中国国内で仮想通貨の再活性化が期待されます。

過去には中央銀行が国家主導による仮想通貨の発行を表明したので、仮想通貨の可能性には大きく期待していることが伺えます参照:中国が独自の仮想通貨を導入? ブロックチェーン技術は採用しない見通し-excite.ニュース)。

2018年3月にはBinanceがハッキング疑惑の被害に遭い、出金停止の対策を取っています。

そして中国警察は同年の8月にて8700万ドルを超える規模の仮想通貨を盗んだハッカーグループを逮捕しており、今後のサイバー犯罪に対するセキュリティ強化も発表しました。

仮想通貨は世界で流通して10年が経過して、現在でもトラブルは絶えません。

しかし政府も仮想通貨に関する法案をいくつも出し、企業や銀行も安全な運用に向けた動きを見せています。
公的機関の動きに合わせながら、投資者も仮想通貨を守る工夫をしていくことが求められます。

時期 出来事
2013年 OKCoin(オーケーコイン)設立
2013年9月 Huobi(フォビ)設立
2016年1月 中国銀行(中央銀行)が仮想通貨発行を表明
2017年7月 Binance(バイナンス)設立
2017年9月 ICOの規制導入
2018年3月 Binanceにてハッキング疑惑
2018年6月 PBoC(中国人民銀行)がウォレットの特許を出願
2018年8月 中国警察がハッカーグループを逮捕

各機関の仮想通貨への姿勢と見解を解説する

中国では仮想通貨の規制がされていますが、仮想通貨が期待されている事もまた事実です。
中国の政府・銀行・一般企業ごとで仮想通貨に対する姿勢と見解を解説していきます。

中国政府の仮想通貨への姿勢と見解を解説する

中国政府はICOによる詐欺の被害や、仮想通貨の事業による電力消費も問題視していたため、ビットコインやICOの規制を行いました(参照:中国人民银行)。

仮想通貨の普及による悪影響を懸念する一方で、仮想通貨を新たなる決済として認める部分もあります。

現在は法整備を整える段階であり、異様な加熱を原因とした詐欺の被害や破産を防止する手段を整えている段階です。
格付け審査で人気の仮想通貨を調査したり、ブロックチェーンを教育に取り入れる動きも見せています。

時間をかけて、仮想通貨の技術を国に広めている段階と考えましょう。

中国の銀行の仮想通貨への姿勢と見解を解説する

中国銀行も政府と同じく、仮想通貨運用のリスクを指摘しているので、現時点では規制を進めるべきであると意見を述べています参照:Working Paper−中国银行业监督管理委员会)。

しかし新たな仮想通貨を発行するメリットも表明しており、脱税やマネーロンダリングを始めとした犯罪の削減にも役立つことを見込んでいます。

中国より発行された仮想通貨が広まれば国の評価も上がり、景気が向上する可能性も期待できます(参照:中銀デジタル通貨発行の展望)。

中国の企業の仮想通貨への姿勢と見解を解説する

中国では、仮想通貨取引所関連の企業は市場を韓国に異動させており、それにより韓国で仮想通貨の流通が活発になっています。
中国政府や銀行が仮想通貨の規制を行っている影響で、拠点を移す企業が増えています。

一方で中国のスマートフォンメーカーのHuawei(ファーウェイ)がビットコインウォレットの配信を2018年5月に発表しました(参照:Huawei to Offer BTC.com Bitcoin Wallet in App Store-Bloomberg)。

仮想通貨の規制緩和が進めば、中国企業も市場を自国に割り振るでしょう。

2018年6月、アジア最大の決済サービス企業であるAloGateway(アロゲートウェイ)が仮想通貨ダッシュ(DASH/DASH)と6月20日と提携したことを発表しました。
アロゲートウェイは決済サービス市場において、中国を中心にアジアで大きな力を持っています。

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2018.06.24

またアリババ子会社のAnt Financial(アントフィナンシャル)は、ブロックチェーンによる送金試験を行い、約3秒で取引を完了させました。
中国発の世界的大企業であるアリババが、ブロックチェーン技術を開発していることは中国での導入を推し進めます。

アリババ、3秒で香港からフィリピンに送金!ブロックチェーンベースの送金技術

2018.06.27

中国での仮想通貨の将来性と世界に与えるインパクトを考察する

中国での仮想通貨の現状と出来事を踏まえた上で、中国での仮想通貨の将来性と世界に与えるインパクトを考察します。

中国国内での仮想通貨の将来性を考察する

中国ではキャッシュレス化がすでに進んでおり、仮想通貨決済の基盤が整っています。
その背景には、アリババの子会社が提供しているアリペイの存在があります。

仮想通貨は本当に必要なのか?アリペイなどの電子マネーと徹底比較

2018.06.28

中国国内では、デパートはもちろん露店でさえも、バーコード決済が主流になっています。
バーコード決済は、仮想通貨決済において一般的に使用されます。

すでにバーコード決済、仮想通貨決済の基盤が整っていることから、仮想通貨の規制が緩まれば、仮想通貨の普及が一気に進むと考えられます。

ITの進化に伴えば、世間はより効率的なモノを選ぶようになり、海外送金の手数料を節約できる仮想通貨は期待されています。

中国政府は2019年にまでブロックチェーンのハイテク化を目指しており、開発に必要なセキュリティを重要視しています(参照:China to Establish National Blockchain Standards by 2019: Govt. Official-CCN)。

セキュリティが高まり、人々が安全に仮想通貨の運用ができるようになれば、ICOの規制緩和がされることが期待されています。

中国での仮想通貨の発展が与える世界へのインパクトを考察する

中国は世界で一番の人口を誇り、なおかつトップクラスの物作り大国のため、仮想通貨業界に与えるインパクトはかなり大きくなります。
現在は、仮想通貨の認知度は日本に劣っていますが、仮想通貨の保有人口数を比較すると、日本は約1000万人なのに対し、中国は約4000万人です。

法整備などの課題をクリアすれば、中国国内での普及がより活性化する可能性も見込めます。
政府や銀行も仮想通貨に関するプロジェクトを掲げているので、市場規模は大きくなっています。

中国発の仮想通貨やウォレットが多く開発されており、国をあげたブロックチェーンの普及が成功すれば、仮想通貨の市場がより一層活性化することは間違いないです。

中国で本格的に仮想通貨の流通が進めば、中国の人口数を考えると市場規模は大変大きなものになります。

中国で仮想通貨の規制が緩まるニュースが発表されれば、仮想通貨の価格に大きな影響を与えることが予測できます。

中国の仮想通貨事情をまとめてみた

中国では仮想通貨に対する規制の動きが見られますが、政府・銀行・企業の全てが将来性を見込んでいます。

同時に仮想通貨のリスクも注視しています。

2018年9月時点では仮想通貨の相場は低迷していますが、仮想通貨自体の技術は評価されています。

仮想通貨をただの金融商品と考えず、支持される理由と技術を学びながら投資する姿勢が大切です。

世界的にインパクトの大きい仮想通貨の中国市場から目が離せません。

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