ALISライターのいぶきち(@alis_ibukichi)です。
今回はビットコイン(Bitcoin/BTC)の仕組みについて、サトシ・ナカモトの論文から学ぼうと思います。
論文を読み解くことにより、仮想通貨について分かる事はたくさんあります。
読めば読むほど難しい論文ではありますが、今回はこの論文を元に、仮想通貨の原理を分かりやすく説明していきます。
参考とした原論文の日本語訳、論文を解説している記事を以下に貼っておきます。
目次
はじめに「ビットコイン(Bitcoin/BTC)誕生の歴史」
ビットコインは、2008年10月リーマンショックの直後に「サトシ・ナカモト」の論文で提唱され、2009年から運用が開始されました。
2010年5月22日にビットコイン1万枚とピザが交換された事が、最初のビットコイン決済だと言われています。
その後もキプロスの金融危機や世界的な規制や緩和によって、ビットコインの価格は乱高下を繰り返し、昨年末には日本円で200万円を超えました。
現状としてはビットコインは当時の約1/3まで価格は下落していますね。
最近は、あまり動きがないですが、ライトニングネットワークが実装され今年は却下されているもののETFの申請が話題となり、金融商品としての価値も認められてきています。
それではこれからビットコインの原論文を解説していきます。
イントロダクション 〜なぜビットコイン(Bitcoin/BTC)は生まれたのか〜
金融機関に頼るインターネット上の商取引の問題点
ビットコインが生まれた当時、そして現在も仮想通貨以外のインターネット上の商取引は、電子取引を処理できる信用できる第三者機関(銀行や証券会社等)を通さなくてはいけないのが現状です。
この現状の問題点として、以下の3つの問題点が挙げられます。
- 業者が仲介に入ることからコストが引き上がり、小規模取引が行いにくい
- 詐欺防止のための個人情報の提供(情報の流出リスク)
- 業者を通さないネットワークが存在しない
金融機関に対するビットコインの利点
この現状を打破し、現状の金融構造の弱点を補完するためにビットコインは生まれました。
以下がビットコインの利用による3つのメリットです。
- Peer to Peer(分散型ネットワーク)により金融機関(第三者)を通さない直接取引により、売り手買い手の両方が守られる仕組みが成立する
- 直接取引により少額決済等も可能にする
- トランザクションが活性化するほど、改ざんされる可能性は極めて0となり、金融機関を通さなくても、その正確性や透明性が担保される
ビットコインはリーマンショックにより生まれた
前項で少し触れましたが、ビットコインは既存金融の問題点を解決する利点があります。
- 既存金融は第三者機関(金融機関等)を通すことから、第三者機関の信用がなくなった時に大きく破綻する事がある(リーマン・ショック)。
- その第三者は国との繋がりが密接であることから、一金融機関の破綻であっても国の信頼に影響を及ぼしかねない。
- 法定通貨は国によって違い、両替等との手続きも必要であり、非効率的である。
リーマンショックはアメリカのリーマンブラザーズ社が行なっていた低所得者等向けの住宅ローン融資が返済の滞りにより破綻したことにより、起きたものです。
金融機関の再検討は国主導で行うことも多く、中央銀行(日本であれば日本銀行)などが深く関与します。
法定通貨は国の信用そのものです。国の信用がなくなれば、価値は無くなります。トルコリラの暴落などが例です。
取引〜ブロックチェーンの仕組み〜
そもそもブロックチェーンとは?
ブロックチェーンは、わかりやすい言葉を使えば「取引台帳」です。
ビットコインであればこれまでのビットコインの取引履歴を全て記録したものです。
こちらのサイトで過去全てのブロックチェーンを閲覧する事が出来ます。
もしあなたが行なった取引があれば、それは全てここに刻み込まれています。
相互監視と承認
Peer to Peer(P2P)の仕組みを理解
P2Pはサーバー(つまり中央管理者・承認者)がありません。
極端な話をすれば、世界中のネットワーク上にあるパソコンが2台になっても、そのパソコンがネットワークに接続して動いていれば、分散型ネットワーク(P2P)は成立します。
相互監視と承認
P2Pの仕組みはネットワークに接続しているもの全てでネットワークを監視していると言っても過言ではありません。
監視している者が取引内容をチェックし、正規の取引であると確認できた者に対して、報酬が支払われます。
二重支払いの防止(ブロックチェーンの改ざん)
二重支払いの可能性については、ゼロでありません。
現状ビットコインは、既存のノードに対抗することは事実上不可能なため、ブロックチェーンを改ざんをすることは不可能だと言えます。
プルーフオブワーク(PoW)〜マイニングの基礎〜
プルーフオブワークとは、マイナー(採掘者)が計算(仕事)して新しいビットコイ ンを探す(マイニング)ビットコインを送金する作業のことです。
マイニング(採掘)とは?
マイニングとは、新たなビットコインを発見するため計算する作業(かつ、送金されたビットコインを正しい取引であると確認する作業)のことを指します。
難易度(difficulty)は約10分になるように調整されており、現在も上昇しています。
この事がPoWの最も重要な点であり、先項目の二重支払い防止にも繋がります。
難易度が上がればそれだけ高度な計算が必要になり、悪意ある者がブロックチェーン の書き換えを行おうとしても、そのノードを超える計算ができなければなりません。
現状として、現在のノードに対抗できる勢力は存在し得ないことから、ブロックチェーンの改ざんをする事はできません。
ナンス(Numper used once)とは?
ビットコインの新しいブロックを生成するときに一度だけ使用される32ビットの数字でマイニングとはこの数字を早く見つける作業です。
ネットワーク〜取引に反映される手順〜
ビットコインがマイニングされ、ネットワークに反映されるためには以下の手順が行われます。
- 新しい取引は全てのノードに送信されます
- 各ノードが新しい取引をブロックに取り入れるため計算を始めます(マイニング)
- ナンスを見つけ次第、その結果は全てのノードに通知されます
- ノードは、ブロックに含まれる取引が正当であることを確認した場合それを承認します。
- ノードは承認されたブロックの次のブロック作成を始めることで、ブロック承認(ブロックチェーンの台帳への記録)します。
2つのブロックチェーンができていた場合早い方を承認しますが、他のチェーンが発見され、そちらの方が長い場合はそちらに入れ替わる事がある(理論上は可能であるが実現は不可能・上記参照)
インセンティブ〜マイニングをする動機〜
ビットコインのマイニングについては、最初にナンスを発見した人がマイニング報酬として、発見したビットコイン全てを手に入れる事ができます。
また承認手続きに参加することによってトランザクション手数料として徴収された手数料を、インセンティブとして得る事ができるが、その量はマイニング報酬に比べれば少ないです。
プライバシー保護〜個人を特定することは不可能〜
既存金融においては、金融機関に個人情報を提供するものの、個人情報は金融機関が守っています。
ただしこれは、ネットワークに接続されている以上は、個人情報の流出リスクは避ける事が出来ず、必要に応じて、開示される場合もあります。
ビットコインの場合は、取引とウォレット残高は全て公開されています。
ただし、公開されているのはウォレット内の残高と取引履歴だけであり、ウォレットの所有者が紐づけられている訳ではありません。
個人をウォレットから特定することは不可能であり、プライバシー保護の観点は優秀です。
ビットコイン(Bitcoin/BTC)論文のまとめ
今回の文章を読んでもらうと分かることは、サトシ・ナカモトの論文を読み解くと、
ビットコイン(仮想通貨)は、以下の3点が優れていることがわかります。
- 中央集権を介さず、正確性、透明性、確実性を担保する(改ざん不能性)
- 既存金融に比べて匿名性が高い
- 送金能力が高い
P2Pの技術については決してこの論文が最初ではありません。
ビットコイン誕生以前にも著作権法問題で悪とされたWinnyやWinmxなどもP2Pの技術の典型例です。内容が違うだけでデータを分散型ネットワークで取引していることには何ら変わりありません。
今後、様々な用途で活用されていく事が期待されます。
論文は難しい事が書かれていますが、できる限り分かりやすく読み解いたつもりです。
なぜ仮想通貨が期待できるのか、この解説を読んで理解していただければ幸いです。
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