「地方創生のカギは地域通貨である」
前回の記事ではそのように述べました。しかし、そこに至るのは1つ大きな問題をクリアしなければなりません。
欲望の二重一致です。
今回の記事は、日本で地域通貨を普及させるときに問題となるであろう、欲望の二重一致について考察していきます!
目次
地方が抱える問題を考察する
前回の地域通貨の記事でも地方が抱える問題点をいくつか考察していきます。
前回の記事はこちらです。地域通貨が地方創生のカギであると言うことを述べました。
人口減少が起きている
人口減少は日本全土の問題ですが、その中でも特に深刻なのが地方です。
地方の人口が減少する要因はいくつか考えられますが、顕著なのは働く場所が減ってしまったことでしょう。
日本が現在まで発展してきた要因の1つとして、主要な労働現場が第一次産業から第三次産業へと移行してきたことが挙げられます。高度経済成長期に第三次産業が興隆し、若者の多くが都会へ働きに出ていきました。その当時は地方で働く方々も元気に働くことができていましたが、時代が進むにつれて第一次産業の担い手が高齢化していきました。
第三次産業は時代とともに発展し、若者はさらに都会へと流れていきます。
その結果、地方に働く場所がなくなり、人口が都会へと流出してしまうのです。
財源不足が起きている
地方税は年々増収しているのが現状です。景気が回復して、その影響はしっかりと地方にもきています。
しかし、地方財政が苦しい状態なのも事実でしょう。かつてと比べて地方財源の不足額は減少してはいるものの、いまだに4兆円の不足額があります。
これもやはり、税収の仕組みで税金は国へ流れていってしまい、交付税という形で支援をしてもらわないと東京都以外の都市は財政が回らないのです。
ふるさと納税により、多少は地方へとお金が回るようになりましたが、地方が抱える深刻な問題と言えるでしょう。
地域通貨が地方創生のカギとなる
やはり、これからの日本が再興していくには地域通貨の発行が鍵になると考えています。
どのようなメリットがあるのか、逆にどのようなデメリットがあるから今の日本に普及していないのかを考察していきます。
地域通貨を発行するメリットを紹介する
地域通貨を発行することによって、自治体内にお金が滞留するようになります。つまり、外にお金が逃げない状況を作り上げることができます。
そこで可能になるのが徴税です。しっかりと地域内で使われたお金を自治体が回収することにより、新たな財源にすることができるのです。
地域通貨を作ることで、各自治体に自由に使えるお金が多く落ちるようになり、住民の生活もより良いものへと発展していきます。
地域通貨発行により引き起こる問題点を紹介する
しかし、これが日本の全ての都道府県で行われる場合、何が起こるでしょう?
47都道府県が通貨を発行するので、少なくとも47種類の地域通貨が存在することになります。
「自分の住んでいる地域から外に出ることはない!」
そういう人には関係のない問題かもしれませんが、おそらくほとんどの人が地域外に出て活動をすることがあるはずです。
そういったときに、地域通貨の交換を行わなければなりません。
以前までは日本円が、日本のどこに行っても使うことができました。
しかし、地域通貨が乱立している状態だと、それらの交換相場と交換場所が必要になってくるのです。
物々交換の問題点としても取り上げられる「欲望の二重一致」が発生してしまうのです。
Bancor Protocol(バンコールプロトコル)を紹介する
そんな欲望の二重一致を解消する新たな取り組みが、2017年ICOを行い3時間で1億ドル以上が集まり話題になりました。
そのプロジェクトは「Bancor Protocol(バンコールプロトコル)」。
- バンコールとは?
- どういうメリットがあるのか?
解説していきます!
Bancor Protocol(バンコールプロトコル)とは?
バンコールプロトコルは、「スマートコントラクトを用いた、資産の流動性リスクへの技術的解決策」です。
これをもう少し噛み砕くと、「誰か人や機関が介入することなく、欲望の二重一致が達成されるようにシステムを使って解決しよう」ということになります。
スマートコントラクトについては以下の記事で詳しく解説していますので、参照してください。
実際に、バンコールプロトコルではどのような仕組みなのでしょうか?
仕組み自体はシンプルです。運営母体がトークン保有者と交換可能な準備金を用意しておく「準備金(親通貨)本位制」というものです。
- バンコールプロトコルに準拠したトークンを発行します。
- 発行元は親通貨を決め、準備金として保有しておきます。
- 手放したいトークンと欲しいトークンが発生します。
- 手放したいトークンを発行元が準備金で買い、その準備金で欲しいトークンを買います。
- 持っているトークンの交換が成立します。
この3〜5の一連の動きをスマートコントラクトによって自動で瞬時に行います。
一気に売り注文が来た場合、発行元はどうするのでしょうか?
一見、準備金が枯渇してしまうように思えますが、あらかじめ設定されている数式により、その状況が起こらないようになっています。
数式が気になる人はこちらからどうぞ。
Bancor Protocol(バンコールプロトコル)の目指す社会を考察する
バンコールのHPにはこのようなことが書かれています。
“WE are inspired by the chance to redesign the global economy from the ground up.“
直訳すると「我々は、世界経済を新たにデザインし直すチャンスにインスパイアされている」という意になります。
つまり、資本主義社会になってから300年あまり続いてきた今の社会のあり方を変えようとしているのです。まさに、ケインズとシューマッハが提唱したような超国家通貨の誕生を目指しているのです。
Bancor Protocol(バンコールプロトコル)の普及した未来を考察する
バンコールプロトコルを取り入れた状態で、各都道府県が地域通貨を発行する。
各通貨同士で、どのような組み合わせでも取引が可能になるのです。
前回の記事でも述べましたが、地域通貨の発行が地方創生の鍵になるのです。
地域通貨を発行することで、繋がりを産むことができ、地域を活性化することができる。
それを日本全土ですることこそが、日本再興に欠かせないことなのです。
そして、この仕組みがうまくいくと、次は市区町村で、その次はさらに小さなコミュニティで。より小さな経済圏が誕生していくでしょう。
人々は自分のコミュニティが発行する通貨の価値を上げるために働くようになり、今よりも地方に人が流入してきます。
国という大きな支配から抜け出し、分散型の社会になるのです。
Bancor Protocol(バンコールプロトコル)をまとめる
前回と今回で、地域通貨について考察してきました。
テクノロジーの進歩に目をみはる昨今。日本を再興させるには地方にフォーカスしなければなりません。
分散型になることこそ、これからの日本に必要なこと。それがすでに見えているのであれば、あとはそこに進むだけですね。
CoinInfo編集部も、今年の夏に地方創生をかねて鹿児島県の与論島にてイベンを開催します!
興味のある方は、LINE@からご連絡お待ちしております!
コメントを残す