仮想通貨を利用するには、『マイニング』が必要不可欠です。
マイニングとは、仮想通貨の取引を承認するための作業であり、報酬が貰えることから数多くの企業が参入しています。
実は、このマイニングの電力消費はとても大きいということをご存知でしょうか?
ビットコインが世間に普及し、取引が活発になるにつれてマイニングの量も増えるので、必要な電気量は年々増え続けています。
世界中で節電の風潮が流れる中、マイニングによる電力消費がどれくらい環境に負荷を与えるかが注目の的となっています。
そこで、本記事ではマイニングにおける電気の消費量、環境への負荷、その対策をまとめました。
目次
マイニングに必要な電力
マイニングと電気消費量について経済学者が以下のように伝えています。
ビットコインのマイニングは、2018年末には全世界の電気消費量の0.5%に到達する
(参照:BTCマイニング、18年末に世界の電力消費量の0.5%に=経済学者が予測−COINTELEGRAPH)。
0.5%と見ると少ない数字のように感じるかもしれませんが、これはアルゼンチンの年間消費電力を上回る数値です。
アルゼンチンの人口は約4385万人ですから、並々ならぬ電力量であることがご理解いただけるでしょう。
この電力消費量をいかに抑え、環境負荷に対応するかがビットコインの今後の課題です。
マイニングの電力使用量を日常のもので比べてみた
マイニング自体はノートパソコンなどで簡単に始めることができます。
自宅でも簡単にできるマイニングの方法はこちらの記事を参考にしてください。
実際にマイニングにかかる電力はどれくらいなのでしょうか。
マイニングにかかる電力と日常的に利用しているものにかかる電力とを比べました。
マイニングを企業として行っている株式会社ゼロフィールドのニュースから、マイニングマシン1台にかかる月間の電力消費量を446.4kWhとします。(参照:仮想通貨のマイニングマシンの消費電力20%カットに成功!ブロックチェーンを支えるマイニングの研究開発および工場施設を異例の東京に設置-PRTIMES)
商品名 | マイニングマシン | 家庭用エアコン | 家庭用冷蔵庫 | コンビニ1店舗 |
---|---|---|---|---|
消費電力/月間 | 446kWh | 122kWh | 33kWh | 13,700kWh |
エアコン、冷蔵庫などは多くても2~3台ですが、マイニングマシンは大企業では3万台以上を設置していますので、非常に多くの電力を消費していることがわかります。(参照:【株式会社和上ホールディングス】3万台のマイニングマシーンが稼働するマイニングファーム第1期の申込み締切迫る!-エムトレ)
世界の電力量で見たマイニング
次は、世界の電力消費量を確認しましょう。
世界の電力消費の年間推移がこちらです。
2016年には20,000テラワットを超える電力(21,191テラワット)が消費されています。
マイニングに必要な電力は2018年末には全世界の0.5%と言われていますので、105テラワット以上の電力を消費しています。
マイニングという新しい分野での電力消費のため、既存の何かの電力が抑えられるわけではありません。
ビットコイン自体が普及しきっていない現状でこの量ですので、電力消費は今後も増え続けていくと予想されます。
マイニングが引き起こす環境問題
マイニングはビットコインの運用にあたって必要不可欠なものですが、それに付随する問題も多く出ております。
最も大きな問題は『電力消費による環境問題』です。
電力を生み出すには、火力発電や原子力発電などの発電装置が必要です。
世界の発電手法の66%以上が火力発電であり、火力発電での電力発生にはそれ相応の二酸化炭素が排出されています。(参照:【エネルギー】世界各国の発電供給量割合[2017年版](火力・水力・原子力・再生可能エネルギー)-SustainableJapan)
つまり、マイニングによって電力消費が増えれば増えるほど、二酸化炭素の排出も増えてしまうということなのです。
2015年の全世界の二酸化炭素排出量は329億トンです。(参照:地球温暖化の基礎知識-JCCCA)
二酸化炭素排出係数を0.6kgCO2/kWhと改定すると、マイニングにおける二酸化炭素の排出量は6,300万トンです。
これは全体の約0.2%の量であり、二酸化炭素排出を目標としている中で、非常に大きな数値と言えるでしょう。
環境負荷を減らす方法とは
マイニングは今後も必要になる手法ですので、マイニングによる電力消費量を減らす方法が求められます。
環境負荷に真っ先に対応できる方法が、『マイニングマシンの電力消費を抑える』というものです。
株式会社TRIPLE-1は、世界で初めて7nmプロセスの技術を使用したマイニング用チップを開発しました。(参照:国産のビットコイン用マイニングASICチップ「KAMIKAZE」開発-BITDAYS)
これにより、従来のマイニングマシンより電力消費を50%以上抑えられます。
マイニングパフォーマンスも4倍以上になるので、量産化が期待される商品です。
他にも、どのような方法で環境負荷を減らしていこうとしているのか確認していきましょう。
POS(Proof of stake)によるマイニング
POW(Proof of work)によるマイニングを行うにはどうしても電力がかかってしまいます。
そのPOWの問題点を解決することができるマイニング方法としてPOS(Proof of stake)という仕組みがあります。
POS方式ではマイニングマシンを用いて膨大な計算処理を行うのでなく、
ブロック承認権は「保有量×保有年数」によって得ることができます。
その数値が高いほど報酬として受け取れる通貨量も増えていきます。
膨大な計算処理を行う必要がなくなりますので、電力消費の必要がなく、環境保全にも貢献することができます。
- Ethereum(イーサリアム、ETH)
- Factom(ファクトム、FCT)
- Cardano(カルダノ、ADA)
- Qtum(クアンタム、QTUM)
エストニアでのマイニング方法
エストニアのPAKRI Science and Industrial Cityで、マイニング施設である“Eesti Mining”がスタートしました。
PAKRI Science and Industrial Cityは再生可能エネルギーから生まれる電力を次世代送電網で供給する最新の環境保全テクノロジー施設です。
Eesti Miningは再生可能エネルギー(太陽光や風力、地熱などの自然界に常に存在するエネルギー)を用いたマイニングを行っており、火力発電を用いたマイニングなどと比べてかなり二酸化炭素の排出を抑えられます。
更にはマイニングで発生した熱を買い取るシステムがある為、より一層電力コストを下げたマイニングを実現しています。
再生可能エネルギーでのマイニングが世界中で発達すれば、二酸化炭素の排出という環境問題の改善に期待が持てます。(参照:エストニアでのマイニング事業-blockhive)
マイニングが引き起こす環境問題への解決策まとめ
ビットコインなどの仮想通貨は利便性が高く、世界で共通の通貨となる日は遠くないでしょう。
しかし新しいものが普及する際にはどうしても多くのコストがかかり、良く思われないことも事実です。
仮想通貨も利便性を追求しつつ、環境問題に配慮しなくてはなりません。
仮想通貨業界はまだまだ発展途上ですので、1つ1つ問題を解決しながらの普及に期待が持てます。
マイニング方法の改善や新通貨の登場などの情報は頻繁に出てきますので、みなさんも常に最新情報はチェックできるようにアンテナを張っておきましょう。
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