会社で働く上で、日常の些細な社員同士のコミュニケーションや細かな評価制度によるリワードは、仕事のパフォーマンスを最大化するのに非常に重要です。
不特定多数と取引をし、管理者がいないブロックチェーン上の仮想通貨に対して、
社内仮想通貨は企業独自の仮想通貨であり、会社が管理者です。
社員が会社内にて利用可能であり、社内のコンビニや食堂などで使用できるポイントのようなものです。
社内仮想通貨は、会社にとってどのような効果をもたらすのかを実際の事例を通して見ていきます。
また、社内仮想通貨が広まる社会が何を示唆するのかにも触れていきます。
じわじわと広がる社内仮想通貨を知る
社内仮想通貨とは仮想通貨の技術を応用して考案され、企業が自社の社員のために会社限定で使える通貨を発行するシステムです。
スマホなどで管理するポイントなどの形態で、給与としての日本円などの法定通貨とはまた別に企業内限定でサービスを受けられる権利が発生します。
会社内の新しい評価制度としてじわじわと広がりを見せる社内仮想通貨について詳しく見ていきます。
社内仮想通貨のメリットを考察する
以下が
社内仮想通貨を導入するメリットです。
・社員同士のコミュニケーション向上
社内仮想通貨を導入することによって、毎月の給与のみならず、社員仮想通貨を得るために社員が努力するようになれば、仕事において生産性が高まることが期待されます。
また、相手に向けたお礼のために贈ることを目的する社内仮想通貨もあり、お互いに連帯感を高め合うきっかけにもなります。一緒に働く相手が信用できて、感謝の気持ちを積極的に贈ることができれば、社内の雰囲気も良くなっていくでしょう。
・社員の意識向上
職場でモチベーション向上が難航する原因の一つが自分が評価されないことにあります。自分の成果が認められている実感がなければ、やる気を失うでしょう。
そこで、社内仮想通貨であれば自分に対する実績を確実な形として頂けるので、仕事のやりがいを可視化する指標にもなります。
周りの要望に応えようと社員同士による連帯感が増えて、一人一人の責任感も重くなります。
周囲とのコミュニケーション向上に一役買うのが社内仮想通貨のメリットです。
社内仮想通貨のデメリットを考察する
以下が
社内仮想通貨を導入するデメリットです。
・運用のコストがかかる
働き方改革の一種として社内仮想通貨は注目されていますが、運用にはコストがかかります。新しくシステムを産み出し、また店舗との提携にも時間とお金が必要です。
今のシステムを変えるには手間がかかり、運用する側にも知識が求められます。実現するには相応のコストや知識が必要であることも認識しましょう。
・使われないリスク
当たり前ですが社内仮想通貨はもらって、使うことで役割が果たされます。社内仮想通貨を受け取ることもなく、贈ることもせずには意味がありません。
社内で目的を明確にして積極的に利用を呼びかけることも必要です。
社内仮想通貨を採用する企業を紹介する
ビットコインなどが注目されて、「仮想通貨」が人口に膾炙した社会の流れを受けて、社内仮想通貨もますます日本の企業の間で広がりを見せています。
そんな社内仮想通貨が実際、仕事の現場でどのような目的を持って、どのようなアイデアで活用されているのかを事例を通して見ていきます。
毎朝ちゃんと会社に出勤するだけでご褒美がもらえる(株式会社オルトプラス)
株式会社オルトプラスは2018年2月より社内仮想通貨の実証実験の発表を行いました。オルトプラスはソーシャルゲームの開発に力を入れている企業であり、IT技術に優れた企業として評価されています。
実証実験では、社内仮想通貨「JOY」の実装によって社内が活性化するようになり、ジュースやコーヒーなどの飲み物やお菓子の購入にも役立ち、決済用端末のJOY Cashierと提携する飲食店での決済にも利用できます。また、毎朝定時に出勤するともらえる場合もあるそうです。
オルトプラスは2018年10月よりcommunitioのサービスを開始しており、専用のアプリで決済が可能です。
参照:オルトプラス、社内仮想通貨「communitio」のサービス開始 自販機や弁当販売、トレーニングフード宅配など従業員向けサービスも提供
やりたい仕事をオークションでコインで勝ち取る(株式会社DISCO)
半導体切断装置の開発が評価されている株式会社DISCOでは社内通貨「Will」が普及しており、半年における換金や上位保有者の成果がHPで発表されることが大きな特徴です。
Willの保有数が多いほど、自分の興味のある仕事をオークション形式で受注することが可能で、より多くのWillを求める社員は更に上の業務を積極的に受けるようになります。あるいはWillを支払うことで、他の社員に仕事をお願いすることも可能です。
自分のスタイルに合わせた柔軟な働き方を可能とすることがWillの最大の特徴です。
残業ゼロとちょっとの運動でリフレッシュできる(カブドットコム証券)
カブドットコム証券は社員の健康のため、社内仮想通貨の「OOIRI」を導入しました。
残業をなくし、1日で1万歩以上歩いた場合など、様々な状況でOOIRIが与えられます。他メンバーに送ることも可能で、社内サービスや会社付近の飲食店での決済導入にも力を入れています。
2016年よりスタートしたOOIRIの取り組みによって、今後の動向には目が離せなくなるでしょう。
感謝の気持ちを匿名で送金できる(株式会社オロ)
株式会社オロでは「Oron」という社内仮想通貨サービスを導入しており、毎月3Oronずつ社員に支給されます。
感謝の気持ちとして社員間で送金することが可能で、Oronは商品やサービスの決済として利用できます。また、送金した相手には自分の名前を伏せることができるので、誰もが気軽に送金ができます。
2014年12月よりスタートしているので、既に多くの社員から高い支持を得ています。
カジノルールで仕事に遊び心を加える(株式会社リンクアンドモチベーション)
リンクアンドモチベーションでは「LIMO」という社内仮想通貨を活用しており、カジノルールと呼ばれる独特のシステムと共に導入されています。
カジノルールは社員の意欲向上とコミュニケーションの流動性向上を目的にしており、ビンゴやポーカーのようなカジノで行われているゲームに見立てて、報酬をルール化しています。カジノルールの実施によって労働意欲の向上が進み、企業の生産性も上昇します。
「GAT」と手書きメッセージでより感謝が見える(株式会社じげん)
株式会社じげんはITに特化した企業であり、転職EXや派遣EXを始めとしたサービスの運営により多くの人から支持を集めています。
じげんでは社内仮想通貨として「GAT」が2008年より採用されています。社員同士で助け合い、月に1回、お世話になった人に手書きのメッセージとともに1000GATを渡せる仕組みです。言語化をすることによってより感謝が可視化されます。
叙々苑のお食事券から自転車まで幅広く選べる(株式会社Wiz)
株式会社WizはITに特化した事業を行っており、IoTやICTの事業に力を入れていて、電気やガスなどのライフラインの設営、あるいは保育士サポートにもビジネスとして取り組んでいます。
「Wizコイン」が社内仮想通貨として取り入れられており、Wiz製のスーツや自転車、あるいは叙々苑のお食事券と交換することが可能です。仕事の他にも挨拶や社内の掃除によって貰うことが可能であり、労働意欲の向上や社員同士のコミュニケーションにも役立てています。
社内仮想通貨は自律社会実現へのほんの一部でしかない
仮想通貨とブロックチェーンによって可能になったことは主に以下です。
・資本主義のもとで埋もれている資源が金銭的な価値を得る
・世界中の人と価値を取引する
このような仮想通貨やブロックチェーンの技術から着想を得た社内仮想通貨は、中央集権が価値を決める社会から、個々が価値を決める自律的な社会に移行していくことを示しているのではないでしょうか。
自由を制限されなくなった個人によって新たなコミュニティや経済圏が形成されて、より自由で自律的な社会が実現するでしょう。
そのほんの一部の動きとして社内仮想通貨は今、社会で求めれているのではないでしょうか。
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