【G20】中央銀行が規制をかけるインドの仮想通貨はどうなる?リップル(XRP)との密接な関係



G20では仮想通貨が議題で取り扱われるようになり、世界的に仮想通貨が大きく知名度を上げています。
世界では仮想通貨が流通しており、利用者の増加に伴って規制が強化されています。

中国やアメリカのような経済大国では仮想通貨に対する法整備が課題となっており、インドも仮想通貨の規制が強まっています

仮想通貨は確かな技術を誇っていますが、技術の悪用を懸念した声も少なからず存在します。
インドでは仮想通貨に対してどんな印象を持っていて、どのような形で仮想通貨の規制が行われているのか。

本記事では、インドでの仮想通貨の立ち位置を解説していきます。

インドの概要

インドの人口は13億人を超えており、人口に比例するように経済成長率も著しいです。

法定通貨はルビーです。

年々、GDP(国内総生産)が上昇の傾向にあり、2016年の時点で2.2264兆ドルもの数値を出しており、世界でもトップレベルの規模を誇ります。

インドはG20には1999年に加盟し、国としての人口やGDPの割合から非常に重要な立ち位置にいます。
アジアでも規模が大きい経済大国であり、貿易における輸入及び輸出の金額も年々増える傾向にあります。

インドでの仮想通貨の認知度と保有率

インドでは仮想通貨の取引が増加の傾向にあり、国民の間でも知名度が高まりつつあります。

一方でインド政府は仮想通貨投資のリスクを警戒しており、国をあげた警告を発表しています参照:Press Information Bureau Government of India Ministry of Finance)。

インド政府は仮想通貨に投資するリスクがあることを国民に発している。

ダリア・リサーチ(Daliar Research)の調査ではインド国民の仮想通貨所有率は4%となっていますが、保有人数に換算すると5200万人にも及びます。
日本では11%と高めの数値ですが、人数に直すと1000万人です。

インドでは仮想通貨の取引が増えており、盛り上がりを見せていることが伺えます。
その分だけ国も警鐘を鳴らしているので、今後の法整備が求められる段階です。

インド 日本
認知度 高い 徐々に増えている
保有率 4% 11%
保有人数 約5200万人 約1000万人

参照:How many people actually own cryptocurrency?−Medium

インドで人気の仮想通貨はどれか

世界的にはビットコイン(Bitcoin/BTC)が人気の仮想通貨として選ばれていますが、インドではイーサリアム(Ethereum/ETH)が比較的人気が高いです。
インドではイーサリアムが検索率の34%を占めており、ビットコインは29%となっています(参照:Report: Ethereum Becomes More Popular Than Bitcoin in India-NEWS BTC)。

イーサリアムはブロック生成速度においてビットコインを上回り、一つのブロックを生成するまでの時間がたった15秒です。
また、自動的に契約を実行してくれるスマートコントラクトの機能がビジネスで大きく期待されています。
更にイーサリアムのブロックチェーンがDAppsと呼ばれる分散型アプリケーションを作成するプラットフォーム(環境)であることも支持される要因です。

インドはIT大国として成長を見せているので、イーサリアムのブロックチェーンにも自然と大きな期待がかかっています。

インドでの仮想通貨の歴史

近年、インドでは仮想通貨に関する規制の表明が積極的に行われています。しかし最近になって大規模な規制が行われたのではなく、ビットコインの流通に伴って規制法案が設立されました。

インドが仮想通貨の市場として成長したきっかけや、法整備が整うまでの経緯を解説していきます。

インドで仮想通貨が人気になったきっかけと時期

2008年に『サトシ・ナカモト』と名乗る人物の論文によって、世界で初めて仮想通貨ビットコインが誕生しました。

ビットコイン誕生までの歴史はこちらの記事をご覧ください。

【ビットコイン神話説】サトシ・ナカモトは何を感じたのか?仮想通貨が誕生した歴史を徹底解説

2018.09.11

当初のビットコインは1円にも満たない価値でしたが、10年の時間をかけて世界規模で流通するようになっています。

インド国内では2013年に初めての仮想通貨取引所Unocoin、2014年にCoinsecure、2015年にZebpay、2017年にKOINEXがそれぞれ設立されて、これらの取引所で仮想通貨が積極的に取引されています。
取引所の増加に伴って、インドで仮想通貨が支持されるようになりました。

また、2018年5月にはUnocoinが公式ツイッターアカウントにて、新しいプラットフォームを発表しました。
新規のプラットフォームによってユーザーがより安全な取引ができるようになり、今後は更に仮想通貨の取引がしやすくなると予想されます。

2018年4月インドの仮想通貨取引所KOINEXは世界初となるリップル(Ripple/XPR)の基軸通貨採用を行いました。
KOINEXはインド国内最大となる合計23組の仮想通貨ペアの取り扱いを開始したことになります。

KOINEXがリップルを世界初の基軸通貨にしたニュースの解説をこちらでしていますので、ご覧ください。

【5/24追記】インドの仮想通貨取引所KOINEXで世界発となるXRPの基軸通貨採用

2018.05.01

インドでの仮想通貨に関するニュース

インドではイーサリアムが高く支持されており、2018年2月にZebpayでイーサリアムが上場されることが発表されました。

イーサリアムは2017年1月には100万ルビーもの高値で取引されるほどに支持を得ており、イーサリアムの需要が高まっています。
大手の取引所でイーサリアムが上場されるようになれば、今後は仮想通貨がより流通していきます。

しかし、インドでも仮想通貨が安全に取引できる保証はありません
2018年4月ではCoinsecureに預けられた約440ものビットコインが消失した事件が起きました(参照:Coinsecure, an Indian Bitcoin and crypto exchange gets hacked–$3 million wiped off!-AMB CRYPTO)。
インド中央銀行(RBI)が仮想通貨に関係する取引の不参加を声明した後のタイミングです。

時期 出来事
2013年 仮想通貨取引所Unocoinが設立
2014年 仮想通貨取引所Coinsecureが設立
2015年 仮想通貨取引所Zebpayが設立
2015年 仮想通貨取引所KOINEXが設立
2017年1月 イーサリアムが100万ルビーもの取引高に達成
2018年2月 Zebpayにてイーサリアムの上場が決定
2018年4月 Coinsecureにて約440ものBTCが消失
2018年5月 Unocoinにて新しいプラットフォームの発表
2018年7月 仮想通貨規制の覆しが行われるも、最高裁判所によって拒否される

各機関の仮想通貨への姿勢と見解

インドでは政府が率先して仮想通貨の規制を行っていますが、仮想通貨自体はインド国内でも高く評価されています。銀行や一般企業でも流通しているからこそ、仮想通貨取引所がいくつも設立されています。

政府と銀行、そして一般企業が仮想通貨をどのように捉えているのかを解説していきます。

インド政府の仮想通貨への姿勢と見解

まず、インド政府は国として仮想通貨に対して規制の動きを見せています。

ルビーなどの法定通貨と違い、仮想通貨は特定の国家で保護されていません。
また、世界規模で価格の高騰を見せたことにより、慎重な対応を余儀なくされています。

仮想通貨を完全に規制するのではなく、コモディティ(金融資産化)として利用を認めることを2018年7月に発表しました(参照:India May Levy 18 Percent Tax on Cryptocurrency Trading Starting July 2018-CNN)。

価格の変動が著しく、まずは貿易の手段として適切に扱っていくことがインド政府と国民の課題になります。リスクを理解した上で、システムを活かしきることができれば規制が緩和される可能性も上がります。

インド政府は仮想通貨を利用した取引に対して18%もの税金を課す可能性を2018年5月に発表しました参照:India may not ban cryptocurrency after all-QUARTZ INDIA)。

インドではすぐに仮想通貨取引において、18%の物品サービス税(GST)を課される可能性がある。現在、この提案は、間接税務・税関中央審議会で検討されており、最終決定後にGST評議会に提出される予定である。

今後、仮想通貨による技術は世界規模で広まっていく可能性は充分にあり、その時に法律が用意されていなければ、思わぬトラブルで大打撃を受ける危険があります。
インド政府の仮想通貨に対する動向を定期的にチェックすれば、仮想通貨の流通が活発になるタイミングを掴むことも可能です。

インドの銀行の仮想通貨への姿勢と見解

インドの中央銀行であるRBIは、最高裁に仮想通貨の規制を申し出ています。
2018年7月、中央銀行は違法取引の防止のため、国内での金融に悪影響を及ぼしかねない仮想通貨を懸念して、規制を進言しました(参照:Necessary to regulate bitcoin: RBI to Supreme Court-FINANCIAL EXPRESS)。

インドの中央銀行(RBI)は、「違法取引」を促し、資金の国際的な流れに影響を及ぼすため、インドでのビットコインや他の仮想通貨を規制する必要があると最高裁に提言した。

また、リップル(Ripple)社はインド中央銀行の規制に対して平然とした姿勢をみせています。
リップル社のコメントはこちらの記事で解説をしていますので、ご覧ください。

インド中央銀行は仮想通貨に寛容な姿勢を見せるというRipple社の見解とは?

2018.06.18

2018年4月の発表によると、仮想通貨自体を禁止するのではなく、RBIによる独自の通貨の政策も表明しています(参照:India cracks down on bitcoin and hints it may launch its own digital currency-QUARTZ INDIA)。

リスクを問題視しているのであって、決して仮想通貨自体の技術を否定している訳ではありません。
犯罪や金儲け目的での異様な投資を防止するために、現段階では厳しい規制を表明しているのです。

インドの企業の仮想通貨への姿勢と見解

上記で紹介した政府と銀行の対応によって、インド企業における仮想通貨の運用には痛手となります。
しかし最高裁に禁止を解除する申し出をしたことから、仮想通貨に対して大きな期待を抱いていることも確かです。

Change.orgでは規制を解除するキャンペーンも行われており、2018年8月の時点で4万4千人もの人が署名しました。
ブロックチェーンの技術を何よりも評価しているのは国民自身であり、規制緩和のために積極的な動きが続いています。

インドが与える仮想通貨へのインパクト

インドの人口は世界でトップクラスの規模を誇り、その分だけ市場規模も大きいです。
現時点では政府と銀行の規制が強まっているので普及には時間がかかっています。
しかしマネーロンダリングなどの犯罪を防止することができれば、インド政府や銀行も規制を緩和してくれます。

インドは仮想通貨の取引における大規模な市場の一つになっており、政府自身もブロックチェーン技術を奨励していますNO, INDIA WON’T BAN BITCOIN AND WILL EMBRACE BLOCKCHAIN TECHNOLOGY TOO)。

インド政府はブロックチェーン技術従来の決済システムにて導入すると主張している。

決済手段としては規制されていますが、技術として期待されているので、法整備を確実に整えることができれば、インドにおける仮想通貨の再流行に期待できます。

インドの仮想通貨に関するまとめ

インドでは仮想通貨やブロックチェーンなどの新たな技術に対する扱いは慎重になっています。
近年、仮想通貨を原因とした詐欺や大損が世界規模で続出しているため、リスク回避のためにはどうしても規制が必要です。

一方でインド政府自体も仮想通貨の技術を高く評価しているので、利用者側がリスクを正しく理解した上で運用を行い、国をあげた法整備が機能すれば規制緩和の可能性も上がります。

新しい技術にはリスクが付き物であり、被害を最小限に抑える工夫が必要です。
インドに限らず仮想通貨の規制が各国で強まりつつありますが、技術自体は優れています。

焦らないで、長い目で仮想通貨と付き合っていくことが大事と考えましょう。

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