【日産ゴーン事件】資本主義の終わりが見えた



「ゴーン、逮捕」「ゴーン、事件」「ゴーン、追放」

ここ数か月、どんな場所でもどんな時間でもこれらの言葉を聞かない日はありません。

日産自動車、ならびに、フランスの自動車メーカーであるルノーのCEOを務めていたカルロス・ゴーン氏が金融商品取引法違反の疑いで逮捕されました。(以下、この事件はゴーン失脚で統一させていただきます)

このニュースは日本だけでなく、世界中で大きな話題を呼びました。

ゴーン氏は逮捕から二か月たった今でもいまだ勾留されており。長期間の勾留についてフランスをはじめとした諸外国からもたくさんの意見が出ています。

そもそもこの事件、どういった経緯で発生したのでしょうか?また、この事件はなにが原因で発生してしまったのでしょうか?

私の中で得られた答えは、資本主義が問題だったってこと。

今回の記事では、ゴーン失脚から見た資本主義の問題点を考察してきたいと思います。

カルロス・ゴーンとは?

まずは、今回の事件の主役となるゴーン氏について紹介していきます。

誕生からミシュラン就職まで

1954年、ブラジルで生まれたゴーン氏。幼少期をブラジルで過ごし、レバノン、フランスでの教育を経て、フランスの大手タイヤメーカーであるミシュランに就職します。

1985年、ミシュランの南米事業を統括するためにブラジルへ赴任します。1988年にはミシュラングループで最大の利益を出すまでに成長させたのです。

翌1989年には北米ミシュランのCEOに就任。景気の好転やいくつかのM&Aを経て、ミシュランは純利益2億ドルを達成します。

しかし、ミシュランは同族経営だったことと、以前よりルノーに声をかけられていたことから、ミシュランを抜けてルノーで働くことを決意します。

ルノーから3社のトップ

ゴーン氏はミシュランでの実績を買われて、下降していたルノーの再生を担うことになります。そして見事1997年、黒字化に成功し、成熟しきった欧州市場から世界へと参入していきます。

そして1999年、ゴーン氏がルノーから日産に送り込まれます。

ミシュランやルノーの再建に携わってきたゴーン氏が行ったのは大規模なコストカット。当初掲げていた目標を一年前倒しで達成し、ゴーン氏は日産のCEOに就任します。

その後も日産はぐんぐん成長していきます。そして2005年、ゴーン氏はルノーのCEOも務めることになります。

一時は業績を落とすも、三菱自の買収などでもう一度息を吹き返した日産。

ゴーン氏は日産、ルノー、三菱自の3社のトップに立ちました。

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組織のつながりを見る

ゴーン氏の紹介をしていく中で、さまざまな組織が出てきました。

日産、ルノー、三菱自などなど。今回の事件を取り巻くさらに深いところには多くの組織が関係しています。

ここのパラグラフでは、それぞれの組織がどのようなつながりをもっているのか、主要な2つを紹介していきます。

日産とルノーの関係を見る

まずは、日産とルノーの関係を見ていきます。

ゴーン氏が加入する以前の日産は悲惨な状態の組織になっていました。株の持ち合い構造や2兆円にも上る有利子負債など、悪習で蔓延していました。それを感じて、当時の日産の社長はドイツのダイムラーに救済行動を求めましたが、交渉はうまくいきませんでした。

まさに絶体絶命だったといえるでしょう。

それと同時に、ルノーは欧州市場の成熟を感じ、世界進出を狙っていました。そして、ルノーが日産の株を4割近く取得し、資本関係を結びました。

現在ルノーは日産の株式を43%保有し、親会社となっています。

これが日産とルノーのつながりです。

現在のルノーは、その利益の大半を日産からの配当が占めています。

日産がルノーにとってとても大きな存在であることがわかります。

ルノーとフランスの関係を見る

ルノーはもともと民間企業として誕生し、ヴォワチュレットと呼ばれる小型車を販売していました。

第二次世界大戦が終了した1945年、当時の大統領の命令により、ルノーは国営化します。

これがルノーとフランス政府のつながりの始まりです。

国営化している間、「ルノー公団」として活動していましたが、業績は振るっていませんでした。財政再建の一環として民営化の動きが生まれ、国営化から45年後、株式会社へと戻りました。

現在は完全に民営化を果たしていますが、フランス政府はルノーの株式をおよそ19%保有しています。

フランスはルノーの株主なのです。

フランスとルノーのつながりで大きな出来事といえば、フランス政府がフロランジュ法を制定したことでしょう。

フロランジュ法
フランスで制定された法律。2年以上保有した株には、通常の2倍の議決権を与えるというもの。

この法律を作ることによって、フランス政府はルノーを通じて日産に影響力を持つことが可能になったのです。

ゴーン氏のおかげで、フランス政府が思い描いていたようにはなりませんでした。しかし、フランスにとってのルノーは大きな存在で、ルノーにとって大きな存在は日産です。

1つ前のパラグラフの内容からもわかることをまとめると、フランスにとってルノーは大切な収益源の1つであり、そのルノーの収益源は日産にあります。

つまり、この3者を結ぶものは単純にお金であります。

お金という面で日産に依存しているのが現状です。

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事件を解説する

そもそも今回の記事を書くにあたって、なぜ事件になっているのかを紹介しておきたいと思います。

以下、事件発覚直後の記者会見による西川社長の発言をそのまま載せさせていただきます。

当社の代表取締役カルロス・ゴーンについて、社内調査の結果、「重大な不正行為」が大きく3点、発覚しました。

①開示される自らの報酬を少なくするために、自らの報酬を減額して有価証券報告書に記載したという不正行為。

②目的を偽って、私的な目的で当社の投資資金を支出したという不正行為。

③私的な目的で、当社の経費を支出したという不正行為。

こういう3つの事実を確認しました。概要について今日は細かく触れることはできませんが、もちろん会社として、容認できる内容ではないと確認しています。

事件の内容としては上記のことで合っていると思います。

この事件の内容が有罪か無罪かは専門家の先生が決めてくれることなので深く言及はしませんが、2019年1月後半になってもいまだに解決していません。

このことからも、ただの法律違反ではないということ、それ以外の部分で問題が生じているなということがわかります。

「集中する」ということの怖さを考察する

では本題に入っていきたいと思います。

私がこの記事を書くにあたって、たくさん調べ、たくさん知っていく過程で、「怖いな」と感じたものがあります。

1点に集中するということです。

この事件の中で、その「集中している」ことが起きてる点を3つ挙げて考察していこうと思います。

日産に集中している

先ず一つ目は日産です。

解説してきた通り、ルノーやフランス政府は日産に対して「依存」しているということが言えます。

日産の親会社であるルノーは、自身の利益の大半を日産からの配当で担保しています。

つまり、ルノーは日産がいないと成り立たないということ。それと同じことを言えるのがフランス政府です。

ルノーの株式の15%を保有しているフランス政府は、大金を生み出すルノーを手放したいわけがないのです。

また、ルノーがフランスにあることによって、雇用も生み出します。

ルノーの存在はフランスにとって大きなプラスに働くのです。

つまり、日産を中心にルノーもフランスも動いています。

「日産がいなかったら、、、」

日産への依存関係から、大きなもつれが生まれていったといえます。

ゴーンに集中している

次は日産という組織にフォーカスを当てて見ていきましょう。

日産内で最も権力を集めていたのは、言うまでもないゴーン氏です。

業績が後退していた当時の日産をゴーン氏は救いました。ゴーン氏のおかげで業績のV字回復を達成しました。

ゴーン氏がいなかったら、今の日産はありません。

日産はゴーン氏がいるから成り立つ組織に育っていったのです。これもゴーン氏への依存が見られます。

そして業績が上がっていったのちにゴーン氏がルノーのCEOも兼任することになり、日産の業績が下降し始めます。

ゴーン氏の介入が減ったと同時にマイナスに働いてしまったのです。

これが直接的な原因とは言い切ることはできません。

しかし、「利益を上げるため」「業績を回復するため」、ゴーン氏が追い求めていたものは偉大であり、日産はそこに頼りすぎてしまっていた。

ゴーン氏に依存していたのです。ゴーン氏にすべてが集中していたのです。

お金に集中している

そして最後に挙げるのが「お金」です。

上記の2つに共通していたものはまぎれもなくお金といえるでしょう。

ルノーと日産もお金。ルノーとフランス政府もお金。ゴーンと日産もお金。

お金にすべてが集まっている状態です。これは資本主義社会である以上、仕方のないことなのかもしれません。

お金に価値がある、とみなが思って行動しているのです。

つまりこの事件から見えるのは、お金にすべてが集中している、お金に依存しているということです。

ゴーン失脚から見る資本主義社会とは?

今回の事件から見えたのは、すべてのものがお金に集中している、そこから事件に発達したということです。

資本主義社会とは?

現代社会は、資本主義で成り立っています。200年前にイギリスで起きた産業革命、そのときから資本主義が世界の中心にあるのです。

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資本主義社会では、お金を持つものが正しく、お金を持つものが強く、お金を持つものが偉い。

正しいことをしている人、社会に対して価値を生んでいる人、そういった人が正当に評価されない社会なのです。

お金で見る手段の目的化

お金の本来の在り方を考えたときに、お金というものは、あくまでも手段に過ぎないということ。それ以上でもそれ以下でもないはずなのです。

しかし資本主義社会では、お金を持つことが正しいとされています。

手段の目的化が起こっているのです。

今回の事件も資本主義社会で起きた、お金に依存していたことを社会に知らせてくれたモノといえます。

世の中で発生している事件の多くはお金がらみなのではないでしょうか。

価値主義の到来

しかしそれと同時に言えるのが、資本主義の終わりも近づいているということ。

テクノロジーの発達により、価値を相手に伝える、届ける手段が多様化してきました。

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かつてはお金が担っていた役割を、ほかのモノでも担うことができるようになってきているのです。

それによって今度は、なにを重視するようになるのか。どれだけの価値があるのか、というところです。

価値主義社会が到来します。

お金に依存している資本主義社会はさまざまな問題を抱えています。今回の事件がいい例ではないでしょうか。

資本主義社会の到来により、テクノロジーが発達し、テクノロジーの発達で資本主義が滅びる。

皮肉にも聞こえますが、資本主義社会の怖さと同時に荒廃も感じたゴーン失脚でした。

資本主義社会に生きているということを考える

今の社会で生きるわたしたちがゴーン失脚をどのように捉えるのか、ここをしっかりと考えないといけません。

単純に、企業のトップが不正をして辞めさせられたと捉えるのか。
はたまた、どこに問題があってどうしてそうなってしまったのかを考えるのか。

私は後者で、この記事内でもそれを伝えてきました。

正しいか正しくないのかは問題ではないはずです。今生きる社会に疑問を持って生きなければならないのです。

資本主義の荒廃を感じ、価値主義の到来を期待する。

今回のゴーン失脚を見て私が感じたこと、私の結論です。

みなさんはどう考えましたか?

資本主義で生きていることをしっかりと受け止めてください。

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