平成30年11月12日、coincheckでNEM、LSK、ETHの取扱(入金と購入再開)が始まりました。この結果NEMは一瞬50%を超える高騰を見せました。
そもそもNEMは
- 強固なセキュリティ(マルチシグ)
- 高速な通信速度(将来的なcatapult実装による更なる高速処理)
- PoI(Proof of Importance)によるハーベスト報酬(省電力でエコ)
など、他の通貨と比較しても優秀な通貨であり、将来性が見込まれている通貨です。
coincheckの流出事件により、他の通貨以上の暴落はしましたが、そのポテンシャルは高く、今後復活してくる通貨だと言えます。
このNEMについて今回は書いていきたいと思います。
目次
NEMはどんな通貨?
New Economy Movementの頭文字を取ってNEMと言われています。
2015年3月に開催されたBitcointalkのフォーラムでutopianfutureという人が、NXTを改良したものとして発表しました。
最初のNEMは、Bitcoin Talkでの希望者1600人に均等に配られたと言われています。NEMの発行枚数は約90億枚で、そのすべてが発行済みです。
NEMが仮想通貨の技術のことでXEMは仮想通貨の単位のことです。
NEMの特徴を紹介する
PoI(Ploof of Importance)を採用している
ビットコインではPoW(Ploof of work)という承認方法を採用していますが、NEMでは(Ploof of Importance)という承認方法を採用しています。
PoWやPoSでは、実際に所有している通貨量が承認へのカギになってきます。これでは非中央集権を目指す仮想通貨と矛盾が生まれてしまう可能性もあります。
そこでNEMでは、持っている額だけではなく、いかにたくさん取引を行ったか、いかにコミュニティに貢献しているのかに注目をして、その貢献度の高い(importance)人に承認権を与えることにしました。
そもそもビットコインのようにPoWを採用している仮想通貨ではマイニングという方法によって通貨の新規発行を行います。XEMでは新規発行が行われていないので、取引によって発生した手数料を分配するハーベスティングという方法を採用しています。
ここで重要になってくるのが上記で説明したPoIです。高いImportanceを持っていることでハーベストを得る機会が増えます。
まず10000XEM(正確にはVested Balanceを10000XEM)以上保有していることがハーベストを得ることの最初の段階です。そしてImportanceを上げていく段階になります。簡単に言うと、たくさんXEMを持っていてたくさんXEMを使った、NEMにたいして頑張っている人のImportanceはあがり、ハーベストを得られる機会が増えます。
しかし「いくらもらえるのか」というのはそのときの運次第です。Importanceには依存しません。
PoIのシステムは、より公平性の高い承認方法であるといえます。また、PoWのようにたくさんの電気や労力をかける必要がないので、より経済的であるともいえるでしょう。
マルチシグで管理している
1つのXEMアカウントを複数のアカウントで管理する方法をマルチシグ(MultiSignature)と言います。
これによって万が一アカウントが乗っ取られてもそのアカウントを追放して、他のアカウントでwalletを守ることが出来ます。
また、いくつかのカギが用意されることになるので、たとえ一つカギをなくしてしまってもほかのカギさえ残っていれば、ウォレットを開けることのできる利便性も持ち合わせています。
マルチシグはセキュリティ面はもちろん、利便性という面も高めることが可能です。
専用のウォレットがある
NEMではnano walletという専用のウォレットが使われています。ほかのウォレットを使うことはできません。
上で紹介したPoIによるハーベスティングやマルチシグをするには必ずnano walletを用意する必要があります。
nano walletはPC用のウォレットですが、スマートフォン用のウォレット(NEM Wallet)と簡単に同期することが可能なので、PCを持ち運びできないときでもスマートフォンでウォレットを確認することができます。
カタパルト(catapult)を開発している
カタパルト(catapult)とは、NEMのトランザクションを高速化する技術のことです。
この技術が採用されることにより今よりもさらに早い送金処理を行うことが出来ます。具体的な数字自体はまだわかりませんが、現在の毎秒2件よりさらに優れたものになることは間違いありません。
ちなみに、NEMのプライベートチェーンを利用したMijinにおいてはすでに実装済みのカタパルトですが、こちらの処理速度は一秒間に4000件と高速なものになっています。しかしこれをパブリックチェーンのNEMで実現するのは難しいそうです。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。NEMの開発チームの方へのインタビューを翻訳してくれている記事です。
スマートコントラクトとモザイク
NEMはスマートコントラクトを内蔵しており、イーサリアムトークンのように、モザイクと呼ばれる独自トークンを発行することが可能です。
またモザイクでは、インターネットのドメインのようにネームスペース(namespace)という名前をつけることから始まります。
モザイクには多様な設定を簡単にすることができます。たとえば、供給量や譲渡可能かどうかなどです。
NEMは専用言語にとらわれずプログラムを起動することができることから、開発をしやすいことも特徴です。
以下の記事ではイーサリアムの独自トークンの発行方法などを紹介しているので是非読んでみてください。
XEMが流出した原因
平成30年1月26日、coincheckから580億円に相当する約5億XEMが流出しました。
年末の暴騰のちの下落傾向となっていた仮想通貨が、この影響で一気に下落したことにより、相当な含み損を抱えた投資家投機家が多いのは間違いありません。
そもそもcoincheckがXEMを流出させた背景には、やるべきことをやっていなかったことがあげられます。
- マルチシグを採用していなかった
- コールドウォレットを使用していなかった
マルチシグをしていれば、1つのアカウントが乗っ取られたとしても流出を防ぐことは可能でしたし、ホットウォレットでの保管ではなくコールドウォレットないしはペーパーウォレットを使用していれば、流出は防げたでしょう。
コールドウォレットで保管することは、資産保護の観点からは優秀ですが、即時送金に使えないなどのデメリットもありますので、難しい問題でもあります。
これからのNEMへの不安を考える
風評被害とどう向き合っていくのか
「NEM」と言われると世界最大規模に流出した仮想通貨で、不安があるというこの風評を拭うことはなかなか出来ません。
他のメジャーなアルトコインに比べて、明らかに値段が下がったことからも、この風評の被害は大きいように思います。
しかし今後、仮想通貨全体を見たときに、実用性に目を向ける人が多くなればなるほど、NEMに対しての不安も払拭されていくものと考えられます。
送金の際のミスが起きやすい
XEMの送金時にはメッセージを追加できる機能があり、取引所はメッセージをIDとして活用し、振り分けをしています。
このことを知らずに、メッセージをなにも追加せずに送金手続きをしてしまうと送金分のXEMがなくなってしまいます。
このような事例が多く発生しているのが現状です。送金ミスをしてしまったときに返金されるケースもあるようですが、はじめのうちは少額の取引からはじめてみたほうがいいでしょう。
開発の遅さ
実用的な開発は有志により進められているのは明らかですが、最も期待されている本年中に実装予定のカタパルトは正式なアナウンスもなく、開発の遅れが露呈していることも間違いありません。
他の通貨についても開発は遅れているので一概には言えませんが、発展著しい仮想通貨において、開発の遅さは致命的ですので、迅速な開発状況のアナウンスと開発は今後も課題になってくるでしょう。
今後のNEMへ期待することとは?
コミュニティが多くなってきている
仮想通貨のコミュニティとして、かなり強固なものが構築されている通貨がNEMであると思います。
国内のNEMコミュニティについて紹介します。
NEMbar
NEMといったらこれを外すわけにはいきません。各種仮想通貨で決済することのできるbarです。
現在移転中とのことですが年内に新しい店舗で営業を再開する予定とのことです。
NEMbarの公式サイトはこちら
nemlog
XEMを投げ銭することができるブログサイトです。記事の投稿により、XEMを投げ合うことが出来ます。
もちろん貰ったXEMは取引所に送って売ることも出来ますし、他の人に投げることも出来ます。
個人で作成されたサイトですが、多くの方が参加され記事を投稿しています。同じ国内仮想通貨ブログであるALISと違い、記事に縛りはありません。
nemlogはこちら
少し国内を見渡すだけでも、NEMを主体にしたコミュニティが出来上がっていますし、コミュニティとしての活動も盛んです。
開発に関して
決済ツールとしての優秀性
仮想通貨決済はQRコード決済なのが主流ですが、このようなサイトが無料で公開されています。XEM決済を行う際に簡単に請求書を発行できるソフトです。
まだカタパルトは実装されていませんが、送金速度が早いことから、着金確認についてもすぐに行うことが出来ます。
カタパルトの実装
上にも書いたカタパルトの実装は最も期待される点です。
普段クレジットカードの即時決済速度に慣れている私達に取って、クレジットカードと同等以上の速度で決済できることは、普及につながる1つの要素になり得ます。
NEMについてまとめる
NEMを流出させたcoincheckがNEMの取扱を再開させたということは、犯人は捕まっていなくとも、この問題について一定の幕引きを計ったとも考えられます。
ここまで述べてきたように、不安要素もはらんでいますが、今後の仮想通貨界を代表するようなポテンシャルも持っています。とくにカタパルトが実装されることはNEM自身にも仮想通貨全体にも影響を与えます。
今後の動きに目が離せません!
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