仮想通貨の種類は日夜増え続け、1500種類以上あるとも言われています。
さまざまな仮想通貨が存在していますが、仮想通貨が誕生した経緯を知っているでしょうか。
ビットコインは「反逆者」なのです。
そもそもなぜ仮想通貨は誕生したのか。
なぜ仮想通貨の種類は増え続けているのか。
この記事では、仮想通貨が生まれたきっかけと理由、仮想通貨がここまで発展した理由を解説していきます。
目次
仮想通貨が生まれた経緯を解説する
仮想通貨は最近登場した印象がありますが、実際にはビットコインは10年前には開発され、3年、4年ほどの歴史をもつ仮想通貨が数多くあります。
初めての仮想通貨であるビットコインは、法定通貨(円やドルなど)の問題点を解決するために誕生しました。
ではなぜ、法定通貨の問題点が浮き彫りになったのでしょうか。
法定通貨の問題点があふれ出した代表的な事象は「リーマンショック」です。
ビットコインが生まれるきっかけともいわれるリーマンショックについて、まずは解説していきます。
仮想通貨誕生の背景にはリーマンショックがある
ニューヨークは世界の金融の中心地のため、リーマンショックによる金融危機は、アメリカ国内のみならず、世界的に広がりました。
日本の失業率も、リーマンショック直前には4.0%であったが、2009年7月には過去最悪の5.6%に達した。
リーマンショックの原因はサブプライムローンである
リーマンショックの原因はアメリカのサブプライムローン問題です。
2000年ごろからアメリカでは好景気に後押しされて、住宅ブームが起きていました。
サブプライムローンにより、所得や信用に関係なく多くの人が住宅を購入することが可能になりました。
ローン会社は債券を銀行に売り、銀行は買い取った債券を証券化して投資家が買うことができる流れをつくりました。
しかしローンの利用者の多くは返済能力の低い低所得者だったため、返済が滞り始めました。
さらにこのころには住宅の供給も飽和状態になり、買い手がつかない家もあふれ始めました。
こうしてサブプライムローンの提供側の筆頭であったリーマン・ブラザーズはこの影響を受け、日本円で64兆円ほどの負債を抱え経営破綻することになるのです。
リーマンショックから見えた中央銀行への不信感
リーマンショック後の対応はアメリカ中央銀行による独断により行われました。
法定通貨は中央銀行により操作されているため、中央銀行の利益になるようにお金の動きが左右されてしまったことから、法定通貨への信用問題が浮き彫りになりました。
リーマンショックは銀行が、自分たちの利益のために、価値のないものに価値があるように見せかけ、証券化したことにより起こりました。
リーマンショックの根本的な原因として、金融市場が中央集権的であったことがあげられます。
一部の人の考えのみで、価値のないものに見せかけの価値を簡単につけることができるのが今の金融市場であり、銀行がその中心にいます。
中央銀行によって発行される紙幣や硬貨に信頼のある国家がお墨付きを与えて価値が生まれ売買に使われています。
端的にいうともともと価値のない紙切れに価値をつけているのです。
つまり現在の金融市場は、中央銀行による中央集権的な管理がなされており、法定通貨の価値が決まっているのです。
その価値は国の信用ですからリーマンショックなど国家にとって一大事が起これば望まずとも価値の下落が起こってしまいます。
よって、国家が介入しない通貨、利用者が相互管理する通貨の開発が考え出されたのです。
利用者が相互管理する通貨こそが仮想通貨であり、本来のあるべき通貨の姿なのです。
仮想通貨の誕生:サトシ・ナカモトがBitcoinの論文を発表
リーマン・ブラザーズが破綻した直後、2008年10月にサトシ・ナカモトという人物がとある論文を発表します。
「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System(ビットコイン:P2P電子マネーシステム)」という論文です。
理想的な金融市場とは何か
理想的な金融市場は一言でいうと「非中央集権な金融市場」です。
中央銀行のような第三者がいなくても、信用できるシステムで動く金融市場です。
非中央集権的な金融システムは、今までの中央集権的な金融システムの弱点を解決できます。
中央集権的なシステムでは信頼のおける第三者を仲介にはさむことで以下の問題がありました。
- 送金が遅い
- 仲介手数料の発生によるマイクロペイメント(少額決済)が不可能
- 国境を越えれば違う通貨を使用する
- データ改ざんが起こる
これらの課題を解決した状態こそが理想的な金融市場であるとサトシ・ナカモトは論文を使って訴えました。
理想的な金融市場を達成するためのP2P
送金が速い、マイクロペイメントが可能、国境が関係ない通貨、データ改ざんが起こらない金融市場を達成するにはP2P(Peer-to-Peer:ピアトゥピア)の仕組みを金融市場にも導入することをサトシ・ナカモトは提唱しました。
P2Pはプラットフォームやネットワークに参加する複数の人々で相互管理する仕組みです。
利用者による相互管理であるP2Pが達成されれば、中央管理である銀行は必要なくなります。
全ての技術の基盤となるブロックチェーン
金融市場でのP2P実現においては、ブロックチェーンというシステムが全ての根底になっています。
ブロックチェーンはインターネット上に存在する台帳で一定期間の取引データをまとめた「ブロック」とそれらを繋げる「チェーン」により成り立っています。
さらにブロックチェーンは銀行が管理する台帳のようなものではなく、みんなで管理する台帳です。
取引データをブロックに収めるときにみんなで取引内容が正しいかどうかを確認します。
この取引内容の承認をマイニングと呼びビットコインの場合はPOWという方式をとりみんなでコンピューターを用いて暗号を解く計算処理を行います。
ブロックが相互に関係しているため、悪意のある第三者が取引の内容を改ざんし、事実ではない取引内容を承認するには膨大な計算処理をおこなう必要があります。
みんなで監視しながら取引を承認するので一人の悪意のある人間が取引の内容を改ざんすることが難しくなっています。
このブロックチェーンのマイニングの仕組みがP2Pを金融市場で実現させるために役立っています。
サトシ・ナカモトはブロックチェーンというテクノロジーで金融市場でP2Pを実現するという革新的な方法を提唱しました。
これがビットコインが生まれた背景になります。
非中央集権に共感し、派生した仮想通貨
現在、様々な仮想通貨が出回っていますが、それらは非中央集権に共感した人たちが派生させた通貨です。
大きくわけて二種類があります。
一つはビットコインが目指した通貨として機能を持った仮想通貨、もう一つはプラットフォームの能力を持った仮想通貨です。
ビットコインから始まる仮想通貨発展の歴史は、こちらの記事を参考にしてください。
ビットコインは金融システムを改革するために誕生した
ビットコインは単なる投機の対象でなければ、単なる決済手段でもありません。
ビットコインは現状の金融システムに変革を起こすために生まれました。
なぜビットコインが生まれたのか?を知ることでビットコインが持つ特徴をより理解することができます。
また誕生の背景を知ることでビットコインが存在する意義を改めて感じることができるのではないでしょうか。
ビットコインだけではなく様々な仮想通貨が何を目指して存在しているのか?ということも意識してみてください。
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