「レターポット」の考案者西野亮廣。今や、ビジネスマンでその名を知らない人はいないのではないでしょうか?
NewsPicksにて、「”体温”のある経済競争」特集をしています。
体温のある経済競争とは、「体温」という抽象度の高い尺度が新しい価値につながり、どのように体温をあげてくのか、そんな競争のことを表しています。
発明が起きるたびに人々は新しい世界に魅了されていきました。
たとえば言葉。最古であり最強のコミュニケーションツールとして今も君臨し続ける言葉は、その誕生とともに感情の伝達ができるようになりました。
望遠鏡の発明から宇宙へ。顕微鏡の発明からミクロの世界へ。
そして2009年。ビットコインの発明。中央集権の世の中から非中央集権へ。「お金」では測れない価値を見出そうとしているのです。
今回は、特集の中から「ことば」を取り上げ、ステーブルコインとの関連性を見ていきたいと思います。
目次
文字を通貨にする仕組みを考える
実際の記事では、キングコングの西野亮廣さんが「レターポット」を例に挙げながらことばについて話を展開しています。
記事はこちら。
文字と通貨の共通点を考える
まずは既存の通貨について考えをめぐらしていったときに、通貨の機能の条件を上げました。
- 保存が可能
- 価値の尺度
- 交換手段
以上の3つは通貨の機能の特徴としてよく知られたものです。
通貨にはこの機能がありますが、ここで逆説的に考えると、この機能を持っていたら通貨の代わりになるのでは?と、なります。
ここで今回のテーマでもある「ことば、文字」にフォーカスが当てられます。
一度文字にしてしまえば、焼失や紛失しない限り、価値を保存し続けることが可能です。
価値の交換手段に関して言えば、形として成立していれさえすればそのものを使って交換可能なので満たしています。
しかし、文字では肝心の「価値の尺度」を測ることができません。その原因として挙げられるのが、文字の流通量の圧倒的多さにあります。言葉を発すること、文字を書くこと、文字を打つこと、それらは何の制約もなく行うことができ、世の中には文字が大量に存在することになります。
無限に近い数の文字が存在していることによって、文字のもつ価値が著しく低下しているのが今の世の中です。
そこで流通量を意図的に制御することによって、文字にも価値を帯びせようとしたのが「レターポット」です。
レターポットの仕組みを考える
レターポットは、1文字5円で文字を購入し、その購入した文字を使って思いを伝えたい相手に手紙を書く、というサービスです。
限られた文字数の中では、与えられた文字で伝えたいすべてのことを伝えきらないといけません。そのため、季節のあいさつや回りくどい表現なんかは無駄です。いかに簡潔に、シンプルに伝えられるのかがカギになります。
1文字が5円になることによって、レターポットの世界では、文字に価値が与えられました。
送るほうも送られるほうも、文字の大切さを理解するようになります。20文字しかもっていない相手が自分のためにその文字を使ってくれている。申し訳なさも感じつつ、必ずうれしさもこみ上げてきます。
そして、伝えたい文字に優先順位が生まれてくるのです。残された文字で何を伝えるのか。相手をけなすのか、それとも感謝を伝えるのか。ここまで来たらわかると思いますが、感謝をみんな伝えようとするはずです。
けなすことに使うなんてもったいない、感謝を伝えたほうがみんなハッピーになる、というような感じです。
文字と信用が可視化される
そしてレターポットを通して、文字に価値をつけたことによって、手紙が送られた人にはどれだけ感謝がされていたのかを見ることができます。手紙がたくさん送られてきていると、その人がそれほど感謝されるに値する人なんだなということがわかるようになります。
その人のことを信用することができるようになるのです。これこそが信用の可視化です。
今までの世の中はその人が持つお金の量で価値が決まっていました。しかし、レターポットの誕生によっていかに感謝されているのか、たくさんの文字をもらっているのかで価値が決まるコミュニティを作り上げることができたのです。
「ことば」とステーブルコインを考える
ステーブルコインを解説する
レターポットの仕組みや成り立ちを考えたときに、まず初めに構想が似ていると思ったのが仮想通貨です。
国家の定めた通貨の価値によって他人を評価するのではなく、不特定多数の人が価値を決めているものなので、共通している概念です。
いわゆるトークンエコノミーではないかと思います。
1人の個人の価値を集まった文字によって決定している状態です。
しかし、同時に思ったのが、完全なるトークンエコノミーではないな、ということです。
それを思ったのが、1文字を5円で買うということ。文字を一種の仮想通貨とみてはいるものの、円によって担保されている状態です。
いわゆる「ステーブルコイン」なのです。
私の考えでは、ステーブルコインは仮想通貨でもあり法定通貨でもあります。仮想通貨であることに変わりはありませんが、法定通貨での裏付けがある状態が、果たして仮想通貨としての在り方を考えたら正しいかと言われたらわかりません。
ステーブルコインに関しての記事は以下をどうぞ。
今後の社会に対してステーブルコインがどういった立ち位置であるべきなのかが書かれています。
レターポットは文字の経済圏として成り立つ
仮想通貨に関する記事を書いている身としては、今回のレターポットによって、文字によって、ことばによって経済圏を作るという西野さんの考えにすごく共感をもちました。
トークンエコノミーを形成するにあたって、そのアプローチはいくつもあっていいと思っています。
たとえば共感経済。記事にしましたのでぜひご覧ください。
どんな形をもってしても、「価値をみんなで形成する」ということが最も重要な考えになっていきます。
その形として文字があるのはとても素敵です。私も、「ごめんなさいよりありがとう」が好きなので感謝によって価値が決まるその形を実現させたいです。
やはりそのためには、円での購入ではなく、仮想通貨での購入がいいのかな、とも思います。
どの記事を書いていても思うのが、信用は最後の最後はなくなるものだと思っています。むしろ、いらないというのが正しいかもしれません。
今の社会において信用を可視化できることはとても大切なことです。信用がないと何もできない社会ですから。
その信用の可視化さえも一つのマイルストーンとして置き、最終的には、可視化しなくてもいいような形が好ましいのではないでしょうか。
文字という媒介を使用することによって、みんなの感謝で価値を決めていく。感謝をされない人間は、自然と社会からも消えていくのです。みんなが互いを感謝しあうことで成り立つ、その感謝の乗った文字が交換媒体になるような経済圏も面白いです。
レターポットの仕組みをまとめる
トークンエコノミーという目指す社会の形の中に、今回紹介した「ことば」の経済圏は必ず存在しているでしょう。
今はステーブルコインのような位置づけにありますが、それすらも意味のあることだと思います。
目指す社会に近づくには、現実社会で最も馴染みのある状態からはいるのが必要です。それを体現してくれているのがレターポットでしょう。
今こうして記事を書いている中でも、「ことば」のチョイス一つで時間をかけて悩む、そんな一瞬があってもいいのかな、なんて思いました。
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