仮想通貨のトランザクションとは、主に「送金を行う際の取引データ」のことです。
単純に取引そのものを指し示す際に使用されることもありますが、仮想通貨の場合、ブロックチェーン技術によって取引データの管理が行われ、これにより安全な取引を行えるようになります。
取引の完了において「承認を要求される」ところも、仮想通貨のトランザクションの特徴と言えるでしょう。
目次
トランザクションとは
仮想通貨取引記録の特徴は、ブロックチェーン技術によって分散型の台帳を可能としているところでしょう。
つまり、1回毎の取引を台帳に記録し、取引データごとで履歴が存在するのです。
また、多数の仮想通貨取引記録に対して、まとめて承認する機能もあるので、取引は個別のみ許可されるというわけではありません。
総トランザクション数はブロック一つの容量とブロック生成スピードで決まる
総トランザクション数は、仮想通貨によるブロック生成スピードと関係しています。
なぜならトランザクションデータは一つのブロックに詰められてブロックごとで承認されるからです。
そのため、ブロック生成にかかる時間が長い場合は、取引にかかる時間が長くなってしまうのです。
例えば、ビットコインは1MBの容量に対して、ブロック生成が10分かかるとされています。
しかし、ビットコインキャッシュの場合は32MBの容量に対して、ブロック生成が10分しかかかりません。
このことは同じ10分間でも多くの取引をブロックに記載することができるため送金詰まりが起こりにくいことを意味します。
総トランザクション数をあげるための方法
以下の2つの方法を実践することで、総トランザクション数を上げることが可能です。
- ブロック1つが処理できるトランザクション数を上げる
- コンサンサス・アルゴリズムでブロック生成スピードを上げる
ブロックの容量には上限があります。
ですが、上限そのものを引き上げることは可能で、ライトコイン、ビットコインキャッシュは、ビットコインをベースとしてブロックサイズが大きくなっています。
その他にはデータの圧縮をすることでブロック一つが処理できるトランザクション数を増加させることができます。
コンサンサス・アルゴリズムによっては、トランザクション処理が速いものもあり、今では処理速度を高める目的で、新しいコンサンサス・アルゴリズムの研究、開発も進んでいます。
それぞれに関して具体的に見ていきましょう。
ブロック一つが処理できるトランザクション数をあげる
- ブロックの容量を上げる
- ハッシュレートの上昇
- トランザクションデータを小さくする
仮想通貨のトランザクションは、ブロックの容量が高いものを選択する、もしくは、トランザクションデータが小さいものを選択しない限り、トランザクション数を上げることが困難です。
そのため、仮想通貨のトランザクション数が上がるケースでは、新技術の導入、実装などが存在します。
ブロックの容量を上げるためのハードフォーク
ブロックの容量を上げる際に用いられるのが、ハードフォークというものです。
ハードフォークは、トランザクションのブロックの容量を増やす際に、ブロックチェーンが分岐することで、これによってチェーンが変わってしまうことです。
BCH(ビットコインキャッシュ)も、ハードフォークによってブロックの容量が上がり、元々は8MBだったのですが、ハードフォーク後は32MBに拡張されています。
ハッシュレートをあげると収益性が改善される
ハッシュレートは、マイニングマシンの計算速度を表す単位のことです。
単位として用いられるものは、hash/sとなります。
ハッシュレートによってわかることは、マイニングの正確さであり、マイニングが素早く正確に行えるようになると、仮想通貨の収益性が改善されるという特徴があります。
ハッシュレートの計算方法は、1種類だけとは限りません。
そのため、主流となっているCPUを用いた低ハッシュレートの計算だけでなく、他にも、GPUによる計な、FPGAによる計算、専用ハードウェアである「ASIC」を用いた計算が存在し、ハッシュレートの計算技術は日々進化しているのです。
Segwitでトランザクションデータを小さくする
仮想通貨のトランザクションは、Segwitにより小さくすることが可能です。
正確には、データ圧縮をSegwitにより行えるという意味になります。
Segwitは、トランザクションに含まれている情報の分離を行い、独立した署名領域を生成することで、より効率的にデータの運用を行えるのです。
Segwitによって、トランザクションデータが小さくなると、取引スピードが改善されるため、手数料が安くなるというメリットが発生します。
ブロック生成スピードを上げるコンセンサス・アルゴリズム
コンセンサス・アルゴリズムの影響により、ブロック生成のスピードが上がるようになっています。
コンセンサス・アルゴリズムとは、簡単にまとめてしまうと「取引の整合性をチェックする人を定める方式(アルゴリズム)」です。
通常の取引であれば、中央集権的システムで取引を行うため、限られた人物、グループが取引の整合性をチェックし、取引の承認を行う仕組みになっています。
コンセンサス・アルゴリズムは様々な種類がありますが以下の3種類が代表的なものです。
PoW(Ploof of Work) | 仕事量で合意形成 |
---|---|
PoS(Ploof of Stake) | 所有量で合意形成 |
Pol(Ploof of Importance) | 重要度で合意形成 |
コンセンサスアルゴリズムはPOWよりPOSの方が速い
PoWは、演算量の競争でブロック生成者が決まるため、通貨の取引量が多いほど、演算量が増えていくため自然と電力を消費するという特徴があります。
PoSは、保有量によって確率的にブロック生成者を決めるため、電力を消費しないという特徴があるので、エコな取引を行えるコンセンサス・アルゴリズムと言われているのです。
PoSは、良くPoWと比較されるのですが、それは電力消費量、そして承認にかかる時間がPoWより優れているからです。
PoW通貨、PoS通貨の具体的なブロック生成時間は以下の通りです。
PoW通貨(ビットコイン) | 10分 |
---|---|
PoS通貨(イーサリアム) | 15秒 |
コンセンサス・アルゴリズムの中には、PoIというアルゴリズムもありますが、こちらを採用しているのは、NEM(ネム)という仮想通貨のみです。
POIは保有量、取引回数、取引量を基準としてブロック生成者を定めているので、流動性を担保する形で、ブロック生成を行えるという特徴があります。
同じアルゴリズムの中で進化したライトコイン
LTC(ライトコイン)は、同じアルゴリズムのBTC(ビットコイン)が基になって作成されたという経緯があります。
ビットコインを基にしている理由ですが、ビットコインが抱えている課題を補完するためです。
そのため、ライトコインにはScrypt(暗号化技術)が導入されていますし、以下のような面でビットコインより優れている仮想通貨となりました。
ブロック承認時間が2.5分(ビットコインは10分)
発行枚数が8400万枚(ビットコインは2100万枚)
ライトコインに用いられているScryptですが、ビットコインにはSHA256という暗号化技術が用いられています。
Scryptを導入したことにより、GPU(Graphics Processing Unit)耐性を求めることが可能となりました。
これはビットコインにはない耐性であり、ライトコインはScryptを導入することで、CPUマイニングよりも高性能なGPUによるマイニングを可能としました。
そのため、あらゆる面でビットコインの上をいく性能となっているのです。
仮想通貨のトランザクションのまとめ
仮想通貨に用いられている技術は、なにもブロックチェーン技術のみではありません。
近年では、より優れたトランザクション処理を可能とするため、コンセンサス・アルゴリズムの使い分け、そして新技術が導入された仮想通貨も作成されています。
新技術が導入されることによって、ブロック生成だけでなく、ブロック承認時間の短縮も可能となりました。
画期的な技術の中には、日常において使用されるスマートコントラクトのようなシステムも存在します。
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