【素人でもわかる】ブロックチェーンを超える新技術「DAG」とは?



今回は、仮想通貨のブロックチェーンシステムを超える新技術として話題の「DAG(ダグ)」について、その特徴や仕組みを紹介していきます。

国際送金やFintech(フィンテック)市場ではブロックチェーンを活用した次世代取引の仕組みを模索中と、ブロックチェーンは仮想通貨市場にとどまらない注目を浴びています。

一方で、ブロックチェーンには、取引時の遅延問題や手数料の高さなどの課題も指摘されているのが事実です。

そこで大きな注目を集めるようになったのが、今回紹介するDAG技術です。

ここからはDAGに関する特徴や仕組み、DAGを採用している仮想通貨について解説していきます。

「技術的な問題は理解しにくい」という方にも、図解入りで分かりやすく説明していきますので、今後の仮想通貨市場を支えるかもしれないDAGについて把握しておきましょう。

DAG(ダグ)とは何か

まずはDAGの特徴と仕組みについて解説します。

DAG(ダグ)の特徴

DAGは仮想通貨における取引記録の管理方法を表します。
仮想通貨では既に「ブロックチェーン」という仕組みで取引記録を管理しているため、DAGとブロックチェーンは多くの場合にて比較されます。

DAGは「Directed Acyclic Graph」の略称で、「有向非巡回グラフ」とも呼ばれます。
大変難しい言葉ではありますが、つまりDAGとは簡単にいえば「後戻りのできないランダムな点と線の繋がり」のことです。

「ブロックチェーン」と「DAG」の違いについて解説されたこの図がとってもわかりやすかったので、参考にしてみてください。

引用:ココ・コインちゃん#Voicy

ブロックチェーンの特徴

ブロックチェーンの場合は、ある程度の取引(送金や売買など)記録が溜まると、それを1つのブロックに格納し、1つの線上で鎖状(チェーン)によって結ばれます。

取引の承認は1ブロックごとに行われ、その作業が終わるまで次のブロックには進みません。

1つのブロックには約4,000件のデータしか格納することができず、ブロックの生成にも時間がかかるため、決して効率的な作業とはいえません。
事実、ビットコインの場合では、取引の承認を行うのに約10分、つまり、送金や通貨売買を行ってデータが反映されるまで10分という長い時間がかかってしまうのです。

DAG(ダグ)の特徴

一方、DAGの方もブロックチェーンと同じく、取引データは各ブロックごとに収められるものの、各ブロックの接続は多方向に分散しています。
1つ1つの取引の承認を行うのは、実際に取引を行う方自身が担当し、チェーンが分散しているために順番待ちも起こりません。

ブロックサイズに制限がなく、生成時間も極めて速いことから、ブロックチェーンとの比較技術というよりも、既存の技術を超える全く新しいシステム「DAG」として考えることができるでしょう。

DAGとブロックチェーンの仕組みを比較

DAGは取引の承認作業を取引者自身が行い、チェーン上で作業を行う混雑を軽減するという大きな強みがあります。

一方で、ブロックチェーンにはハッキングやデータ改ざんが極めて難しいというセキュリティ上のメリットがあるため、DAGに対して「安全性は大丈夫なのか?」という疑問が持ち上がっても何ら不思議ではありません。

いくら取引承認時間のスピードが速くなったとはいえ、セキュリティに問題があれば安心して取引もできないので、取引の安全性や健全性を確保することこそが第一の主眼となるでしょう。
実は、DAGのシステムにもブロックチェーンに劣らないセキュリティ体制が備わっています。

ブロックチェーンの仕組み

ブロックチェーンの場合はPoW(プルーフオブワーク)という仕組みで取引承認を行います。

実際に取引を行う人と承認作業を行う人は全く別で存在し、承認作業を行う人に対しては報酬が支払われる仕組みです。

承認作業は膨大な計算処理のことです。
その作業を行うには、演算処理能力の高いコンピュータが必要で、多くのマシンパワー(コンピュータ×台数)を提供した人ほど多くの報酬を受け取れるのです。

もし、一部のチェーン上で不正や改ざんが行われると承認作業は行われません。
そして、1本のチェーンで結ばれている性質があることから、全ての作業はストップし、問題箇所を即座に発見することができます。
データ改ざんを行うには、過去の全てのブロックの整合性を確保する必要があるため、事実上ハッキングや不正は不可能とさえ言われています。

DAG(ダグ)の仕組み

DAGのセキュリティ体制もブロックチェーンの仕組みと似ている部分が多いです。
ただし、DAGは実際に取引を行った人が、1つ前のブロックの承認作業を担います。

この作業は、「必ず複数の承認作業を行うこと」というルールが設定されています。

取引を1度だけ行い、1つ前の承認を1度だけ行うとすると、複数の取引者が手を結んで不正を行うことができてしまいます。

しかし、DAGの場合、過去に行った取引は、現在行われている取引者の全てから承認を受けない限り認められない仕組みです。

万が一、チェーン上で不正や改ざんがあった場合、新しく発生する取引者からの承認が得られない状態が続き、問題の早期発見に繋がります。

DAG(ダグ)技術が開発された背景

DAG技術が開発された背景には、現行のビットコインおよびブロックチェーンのスケーラビリティの問題が大きいでしょう。

「スケーラビリティ」とは「システムにおける拡張性、柔軟性」を指す言葉で、スケーラビリティが高いほど、データ処理量が増大した時にシステムの拡張などがスムーズに行いやすくなります。

ビットコインにおけるブロックチェーンのブロックサイズは1MBに制限されています。
1つのブロックを生成するまでの速度は、10分という膨大な時間が発生してしまいます。

ビットコインの取引処理数は1秒間に6~7件と言われ、クレジットカード大手ブランドVISAの約4,000件に対して大きな後れをとっています。
特に、将来的な決済通貨を目指すビットコインでの処理能力の低さは致命傷で、商品やサービスの支払いをする時に10分も待たされていたのではどうしようもありません。

また、通貨売買や送金を行う際にも、承認作業を行ってくれる人に対して報酬が発生するので、それだけ利用者は高い手数料を支払う必要があるのです。

しかし、DAGの技術を使うと、従来のブロックチェーンよりもスピーディに、なおかつ無料の手数料で送金や売買が行えます。

【DAGが開発された背景はスケーラビリティ問題】
  • ブロック生成速度の遅さ
  • 処理件数の少なさ
  • 手数料の高さ

DAG(ダグ)のメリットとデメリット

次にDAGを使用するメリットとデメリットをブロックチェーンと比較しながら、解説していきます。

DAG(ダグ)を使用するメリットは?

DAGを採用した仮想通貨は、ブロックチェーンを利用した仮想通貨に比べて以下のようなメリットがあります。

  • 取引(送金や通貨売買)の度に長い待ち時間がない
  • 送金手数料や売買手数料を抑えることができる

ブロックチェーンの場合は、取引を行う人と承認をする人が別々なので、取引数が膨大になってしまうと承認者が不足してしまうという課題を抱えます。

一方、DAGの場合は、取引を行う人と承認を行う人が同じなので、承認者が減ってスムーズな取引ができなくなる(取引遅延が発生する)ことが起こり得ません。

むしろ、DAGを採用する仮想通貨取引が活発になるほど承認者が増えるため、ますますデータ反映時間は短くなっていくでしょう。

また、作業承認者に支払う報酬(=利用者の手数料)も不要なので、コストをかけずに送金や通貨売買を行うことができるようになります。

DAG(ダグ)を使用するデメリットは?

ブロックチェーンを採用したビットコインは2009年に生まれ、現在2018年に至るまでに数多くの問題点を指摘されました。

一方でDAGの場合は歴史が浅く、今のところは理想的な部分だけが取り上げられている実情もあります。

DAGを採用するIOTAやByteBall、ADKなどの仮想通貨でDAGを長期的に運用していくことで、ブロックチェーンのように深層の問題点が表面に現れることも考えられます。

DAG(ダグ)を採用している仮想通貨の特徴を解説

最後にDAGを採用している仮想通貨の解説をします。
DAGを採用している主要な通貨は3つあります。

  • IOTA
  • ByteBall
  • Aidos Kuneen
  • NANO

IOTA(アイオータ)のDAG(ダグ)の特徴


IOTAはDAGを採用する最も有名な仮想通貨です。
2018年6月15日時点の時価総額は9位と、1,000種類を超える仮想通貨市場で大健闘しています。

IoTデバイスによる低コストの支払い手段としてIOTAが誕生しました。
今後は、パソコンやスマホ、テレビ、ゲーム機以外にも様々なモノがインターネットに繋がる時代が予見され、IOTAに対する期待値も高まりつつあります。

IOTAのDAGはPoWの仕組みと併用している点に特徴があります。
IOTAの独自の技術であり、Tangle(タングル)と呼ばれています。

取引を行いたい人は、2つ前のブロックを参照し承認を行う必要があります。

取引者自身が承認を行うことで、IOTAの取引手数料は無料という大きなメリットが存在するのです。

ByteBall(バイトボール)のDAG(ダグ)の特徴

ByteBallという仮想通貨もブロックチェーンではなくDAGによって取引管理が行われています。

ByteBallのDAGはPoWではなく「Witness」という仕組みで、ネットワーク上重要な12人のノードによって承認作業が行われています。
そのため、承認作業の管理費用として、ByteBallの利用者は1バイトに付き1byteトークンの支払いが求められます。

チェーンの再構成や改変を行う権限はWitness側にしかありませんが、利用者ごとに番号付けを行うことで送金の2重支払いを避け、低コストの取引ができるメリットがあります。

Aidos Kuneen(エイドスクニーン)のDAG(ダグ)の特徴

ADKは「Aidos Kuneen」という仮想通貨で、租税回避地に銀行口座を持つ富裕層向けに、高利率の投資商品などの仲介を目的としています。

ADKのDAG技術は「iMesh」と呼ばれ、取引手数料無料や少額送金が何度でも可能という特徴を持ちます。
IOTAのDAG技術と根本は同じで、取引者は過去に発生した取引の2つ以上の承認作業を行う必要があります。

NANO(ナノ)のDAG(ダグ)の特徴

NANOのDAGもIOTAと同様に、取引者自身が承認作業を行うことから取引手数料は無料となっています。

NANOは取引者自身のアカウントからブロックを生成し、送金や売買を行う際は他者のアカウントに取引を記録することでデータ処理を行います。
アカウントのブロック情報が正しければ、取引時の2重支払い問題などが解消されるメリットがあります。

チェーン上で不正や問題が発生すると、NANOのネットワークに参加している人たちの投票によって正確な取引履歴が決定されます。

新技術DAG(ダグ)のまとめ

今回は、ブロックチェーンに変わる新技術として話題の「DAG(ダグ)」について紹介しました。

仮想通貨におけるブロックチェーンシステムには、ブロックサイズやスケーラビリティ問題という大きな課題が散見されています。

DAG技術は、そうした問題から発生する承認作業の遅延や高額な手数料を解消する目的で生まれました。

まだ開発されて間もないDAGは現状では予測できない問題を抱えている可能性もあります。

ただし、IOTAやByteBall、ADKなどDAGを採用した仮想通貨が成功を収めることで、既存のブロックチェーンを超える新技術へと認知されていくかもしれません。

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