マイクロペイメントやスケーラビリティー問題を調べていくと「ペイメントチャネル」という言葉がでてきますね。
ペイメントチャネルと聞いて、
- ペイメントチャネルってどんな仕組みなの?
- ペイメントチャネルで問題は解決するの?
という疑問を持たれるかと思います。
そこで本記事では、ペイメントチャネルに関する疑問を重要なポイントを順番に説明しながら解決していきます。
具体的には、
- マイクロペイメントについて
- スケーラビリティー問題について
- ペイメントチャネルの仕組み
- Segwitについて
- ライトニングネットワークについて
の順番で紹介していきます。
目次
ペイメントチャネルを知る前に仮想通貨の課題を解説する
仮想通貨では、銀行のような中央集権的な第三者が存在しません。
そのため、第三者を仲介した取引がなく、仲介者に払う手数料もいりません。
つまり、素早い取引と安い手数料の仮想通貨には、マイクロペイメント(少額取引)を実現する可能性があります。
マイクロペイメントとは、数円からの少額決済のことです。
しかし、現在は仮想通貨の取引量が増加したことによりスケーラビリティー問題が発生し、取引に時間がかかり手数料が高くなり、マイクロペイメントも現実的ではなくなりました。
この、スケーラビリティー問題を解決するためにペイメントチャネルができました。
スケーラビリティ問題とは
ビットコイン(Bitcoin/BTC)のブロックサイズは1MBで、その分の取引データしか記録できません。そして、ブロックを追加するのに10分かかります。
通常の取引では、ブロックが6回追加されて初めて承認されるので1つの取引に1時間かかるシステムになっています。
この、ブロックサイズやデータの処理速度では取引量が増加した場合に処理しきれずに、未承認取引が発生し取引がいつまでたっても承認されません。
このように、取引が処理しきれなくなり取引に時間がかかり手数料が高くなる問題をスケーラビリティー問題といいます。
ペイメントチャネルを解説する
ペイメントチャネルは、最終的な取引処理をブロックチェーン上で行い、それ以外の取引処理をブロックチェーンの外で行う技術です。
ペイメントチャネルの仕組みとは
ブロックチェーンの外側のネットワークのことを「オフチェーン」と言い、このオフチェーンで処理を行うのがペイメントチャネルの最大の特徴です。
たとえば、AさんからBさんに1BTCを送金したとしましょう。Bさんは、その1BTCを小口決済(1か月に0.1BTCずつ)で送金してもらうことを希望しています。
本来であれば、毎月0.1BTCずつBさんにビットコインを送ると、その度に送金手数料が発生し、Aさんには大幅な手数料負担がかかってしまいます。
ペイメントチャンネルは最終的な取引処理のみをブロックチェーン上に記録します。
つまり、毎月行われる0.1BTCずつの送金はオフチェーンの中で行われ、ブロックチェーン上には記載されません。
最終的にBさんが受け取る1BTCに達した時点が正式にブロックチェーンに書き込まれるタイミングのため、オフチェーンに記録する際には手数料を支払わなくて済むのです。
その結果、Aさんが支払う送金手数料が抑えられます。
また、ブロックチェーンに何度も記録する必要がないため、Bさんの望む小口決済もスムーズに行うことが可能です。
ペイメントチャネルのメリットとは
ペイメントチャネルのメリットは以下の3点です。
- 送金スピードの上昇
- 送金手数料の低コスト化
- マイクロペイメントの実現
送金スピードの上昇
現状、ビットコインの取引において承認回数6回というのが通常です。
この、承認回数とはブロックがブロックチェーンに追加される回数のことです。
1つのブロックを追加するのに10分かかるため、承認回数6回の取引ですと1時間かかります。
しかし、ペイメントチャネルだとオフチェーン上で取引が完了するため、ブロックの承認をまたずして即座に送金することができます。
取引手数料の低コスト化
現状仮想通貨の取引の一つ一つの取引データがブロックに記録されるため、取引の数だけ手数料がかかります。
しかし、ペイメントチャネルのオフチェーン上での取引はブロックに記録されません。
オフチェーン上での取引が終了しペイメントチャネルが閉じたときに、最終的な効率化された取引のデータ1個だけがブロックに記録されます。
そのため、ペイメントチャネルを使うと最後の1回分の取引手数料だけですみます。
これにより、取引手数料が大幅に削減されるのです。
ペイメントチャネルとその他技術との関係を解説する
ペイメントチャネルはスケーラビリティー問題の解決のための技術です。
とはいえ、
- ペイメントチャネルのセキュリティーはどうなの?
- ペイメントチャネルでスケーラビリティー問題の解決になるの?
- 別の人と取引したくなったら、もう一度ペイメントチャネルを開きなおさないといけないの?
こんな疑問を持たれるかと思います。
その通りで、ペイメントチャネル単体では上記の問題が発生します。
そこで、
- Segwit
- ライトニングネットワーク
の2つの技術と併用することで、セキュリティーの問題やスケーラビリティー問題を解決しオフチェーン上での多人数取引を可能にします。
次からは、順番にポイントを詳しく説明していきます。
ペイメントチャネルとSegwitとの関係とは
ペイメントチャネルは、ブロックチェーンの外のオフチェーン上で複数回取引をおこない、ブロックに記録する取引データを最小限におさえてスケーラビリティー問題の解決になりえる技術です。
しかし、ペイメントチャネルだけではまだ問題が残ります。
- 取引量の削減は可能ですが、依然ブロックサイズは変化していない
- オフチェーン上でのやりとりをメインにおこなうため、常時インターネットに接続されているのでホットウォレットとなってしまい電子署名データを改ざんされてしまうという恐れがある
そこで注目されているのがペイメントチャネルとSegwitとの併用です。
Segwitとは、取引データから電子署名データを分離しサイドチェーンで管理することにより悪意のある攻撃者からのデータ改ざんを阻止することができます。
また、取引データを圧縮して1MBのブロックに記録できる量を増やします。
このように、Segwitとの併用でペイメントチャネルはスケーラビリティー問題やセキュリティー問題解決により近づきます。
ペイメントチャネルとライトニングネットワークとの関係とは
ペイメントチャネルは前述のとおり、オフチェーンを使ったマイクロペイメントやスケーラビリティー問題解決を実現するための技術です。
しかし、このペイメントチャネルは二者間でやりとりする分には非常に便利ですが、別の相手と取引する場合にはあらたにペイメントチャネルを設定しなければいけなくなります。
相手を変えるたびに新しいペイメントチャネルをつくるのは、とても手間がかかります。
そして、オフチェーン上で取引量が増加してきた場合、スケーラビリティーという観点からも問題がおこります。
このペイメントチャネルの問題を解決してくれるのがライトニングネットワークです。
ライトニングネットワークは二者間の取引だけではなく、多人数での取引を可能にする技術です。
デポジット(送金)しペイメントチャネルにつながっている人達の間であれば、第三者を経由してだれとでも取引が可能です。
これにより、スケーラビリティー問題の解決やマイクロペイメントを実現可能だとされています。
ペイメントチャネルのまとめ
ここまでペイメントチャネルが、Segwitとライトニングネットワークとの併用によってスケーラビリティー問題の解決やマイクロペイメントの実現が可能であると説明してきました。
仮想通貨は問題が起こるたびに進化し、より実用性が上がっていきます。
これからは仮想通貨は実用化の時代に入っていきます。
これからも技術の発展から目が離せません。
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