トランザクションにはIDが存在し、取引ごとでIDが付与される仕組みになっています。
トランザクションには脆弱性が存在し、その一つが外部から変更可能という問題点でした。
その脆弱性のことをトランザクション展性といいます。
このような問題が存在するため、Segwitのような新しい暗号化技術の注目度が上がってきました。
今回はトランザクション展性とSegwitの関係を見ていきましょう。
目次
トランザクション展性とは
トランザクション展性により、トランザクションに含まれるアドレスや取引量を変更せずにトランザクションIDだけを変更することができてしまいます。
その結果仮想通貨の取引で二重支払いが生じることもあるので、問題視されることがあります。
悪意のある外部の人間もトランザクションIDを変更することができるので、大きな問題に発展してしまうことがあります。
二重支払いとは
普通に考えると、二重支払いによってコインの価値の総量は2倍となりますが、誤った操作による取引のため、「通常の取引では発生しない仮想通貨が発生している」という問題を抱えてしまいます。
以下の例を考えてみましょう。
AさんがBさんに1BTCを送金した。
実はBさんは悪意のある受け取り人でありトランザクションIDを変更して二重支払いを引き起こそうとしている。
悪意ある人間ががトランザクションIDを変えて取引を進めたとしてもトランザクションの内容は変わりません。
つまり、内容は同じですがIDの異なる二つのトランザクションが生成されています。
- 変更される前のトランザクション
- 変更された後のトランザクション
変更される前のトランザクションの結果は「送金失敗」となり、
変更された後のトランザクションでは「送金完了」となるため、Bさんは1BTCを受け取ることができます。
しかし変更される前のトランザクションが「送金失敗」であるため、Bさんは再度Aさんに送金を要請することができます。
このように悪意ある第三者により何度も二重支払いさせることが可能となります。
トランザクション展性によって起きたの問題
多額のBTCが流出する結果となった。
時期 | 2011年6月19日 |
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被害額 | 65万BTC(ビットコイン)、28億円 |
理由 | ハッキングによる不正侵入 |
Mt,Goxは、以下のような取引を認めていたため、ビットコインが流出してしまったと言われています。
- トランザクションデータが変更可能であった。
- トランザクションIDの識別のみの取引が完了する
- 外部からの操作でビットコインの誤検出が相次いだ
Mt,Goxは古いシステムで運営していたため、トランザクションデータの変更が可能でした。
さらにトランザクションIDのみで取引の識別を行っていたため、トランザクションが変更された同じ取引を見破ることができませんでした。
そしてさらには外部の悪意ある人間の侵入を許してしまったことが大きな原因といわれています。
一般的な仮想通貨の管理体制は、「オンライン上ではなくオフライン上」です。
しかし、Mt,Goxでは大量のビットコインをオンライン上で管理していました。
そのためハッキングに合うリスクが高まりました。
Segwit(セグウィット)でトランザクション展性を解決
トランザクション展性の問題を解決するためには、ビットコインの問題を改善しないといけません。
簡単にビットコインの問題にはスケーラビリティ問題やトランザクション展性が存在します。
今では、Segwitという新しい暗号化技術が導入されているため、それらのビットコインの問題が改善されています。
Segwitとはどのような仕組みなのか?
そもそも取引データは大きく分けてインプット、アウトプット、電子署名の3種で構成されています。
インプット | 仮想通貨の取引では着金を意味する |
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アウトプット | 仮想通貨の取引では送金を意味する |
電子署名 | 電子的な方法でデータの署名を行うこと |
トランザクション処理で必要となる電子署名を、Segwitで保存しているのでトランザクション展性への耐性が強くなる
Segwitによりデータ量は約60%に圧縮され、第三者が勝手に情報を盗用することができません。
トランザクション展性は、変質する情報が存在することによって起きるのですが、Segwitは、事前にそのような情報を分離して変質できなくしているため、トランザクション展性の耐性が強くなるという仕組みになっているのです。
また、データを別の領域に保存する仕組みによって、トランザクションのサイズを小さくすることが可能となり、従来よりも素早いトランザクション処理が可能となるのです。
Segwitのメリットデメリット
Segwitのメリットは以下の通りです。
- 取引スピードが上がるためマイナーへの手数料を抑えることができる
- 取引スピードが上がることで送金スピードも上がる
- 暗号化技術により取引データの改ざんリスクを抑えられる
メリットが多いSegwitですが、実は、以下のようなデメリットもあるので、メリットと併せて覚えておくと良いでしょう。
- トランザクションごとのマイナー側の手数料が減る
Segwitの実装によりマイナーの手数料が減ってしまうというデメリットが存在しています。
これによりコミュニティ内での分裂なども起きてしまっています。
この分裂によりビットコインとビットコインキャッシュ(Bitcoincash/BCH)の分裂は起きました。
Segwit非対応の場合、仮想通貨のトランザクションそのものが安全でないこともあります。
トランザクション展性、ハッキングといったデータの改竄では、悪意ある第三者が暗号情報(署名など)を盗み出し、勝手に仮想通貨を送金してしまう、このようなトラブルが起きてしまうのです。
そのため、今ではSegwitを用いた安全な取引が増えてきました。
Segwitを導入している通貨とは?
ビットコイン(Bitcoin/BTC)
ビットコインは、インターネット上で取引できる暗号通貨として誕生しました。
インターネット上であれば、自由に送金できるだけでなく、送金手数料を抑えることが出来るという背景もあり、今でも人気の高い仮想通貨として有名です。
ビットコインは、トランザクションに対して電子署名を発行できる技術が導入されているため、送付者のなりすまし、もしくは取引情報の偽造を防ぐことが可能です。
取引情報がブロックチェーンで繋がれているため、二重支払い、改竄を防ぐ技術も導入されています。
ライトコイン(Litecoin/LTC)
ライトコインは、ビットコインの問題点を改善する目的で作成されるようになりました。
将来的な仮想通貨の運用において、さらに大きなブロックサイズが要求されることが懸念され、このような背景があったため、アルトコインとしてライトコインが作成されたのです。
ライトコインにはSegwitという暗号化技術が導入されています。
Segwitは取引データの圧縮を行えるため、ビットコインと比較して、4倍も速いブロック生成速度を誇ります。
モナコイン(MonaCoin/MONA)
モナコインは、海外ではなく国産の仮想通貨として、2013年末に公開されました。
モナコインが作成、利用されるようになった背景は、ビットコインのような仮想通貨の取引を想定してではなく、「掲示板で使用できるチップ」として利用されるようになったのです。
また、モナコインに導入されている技術のほとんどは、ライトコインに導入されているものと同じです。
バージョンアップを繰り返している仮想通貨ではありますが、独自の技術によって作成されたという背景はありません。
Segwit、トランザクション展性のまとめ
仮想通貨そのものの人気もあり、様々な思惑が交錯する中での取引が増えるようになりました。
その中には、トランザクション展性、システムの脆弱性を狙うものもあります。
実際に、これらを活用した第三者による不正侵入、及び事件も発生しています。
ですが、このような事件が発生しているため、ハードフォークによって、より安全な取引を可能とする仮想通貨の作成、そして運用が可能になっているのも事実です。
今では、Segwitのような新しい暗号化技術により、ブロックサイズの大小が懸念されるケースも減ってきました。
仮想通貨は少しずつではありますが、多くの人が安心して使用できるトランザクション、そしてシステムを両立する流れとなっています。
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